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乱世の転生者  作者: 情熱のデンプシー
第一部 乱世転生編  第2章 友達
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問題解決サイクル


「馬鹿じゃないんですか馬鹿じゃないんですか馬鹿じゃないんですかっ!!!!勝てるわけないじゃないですか馬鹿じゃないんですかっ!!!」


 医務室で治療を受けながら、俺はアイシャに徹底的に絞られる。


「うん、じゃあどうしたら勝てるようになるのか考えようよ」


 治療を受けている今でも、頭の中ではもう一度ローランに挑むことばかり考えていた。

 

 今の俺の環境において、彼の存在は貴重だ。


 というのも、乱世の世界だというのに俺の環境はあまりにぬるすぎるのだ。

 周りの人間は誰も俺に厳しく当たってこない。

 

 子供とは思えないほど聡明で、気遣いができて、自分より目上の王族。

 それが周りからの俺のイメージ。


 皆が俺に優しく接する。

 イリーナも、ほめて伸ばそうとするタイプだったしね。


 それに対してローランは実にいい。


 あの尖り切った目つきには、むき出しの反骨と執念が燃えている。


 この世界に生まれてから、忘れてしまっていた気持ちを取り戻させてくれる。


「これが俺の今世での、最初に超える壁ってわけだ」


 彼を倒す、それがディムル・エメラルドとして成す最初のビジョンだ。


 面白くなってきたね!



*



    問題解決サイクル①『挑戦』



「さあ、いざ尋常に勝負だ!」


「あ?」


 俺は次の日の早朝、ローランを探し出し勝負を挑んだ。


「ちょっと王子王子王子ぃっ!昨日あんだけボコられたじゃないですか!何か策でもあるんですか!?」


「んなものは無いっ!」


「ええっ」


 策なんてない。


 俺は武術の完全な素人だ。

 前世においてもほとんど経験がない。

 そんな俺が大した策を練れるはずもない。


 しかし、勝てないことは諦める理由にはならない。


 思い立ったが吉日。

 当たって砕けろ。

 捲土重来。

 虎穴に入らずんば虎児を得ず。

 七転八起。

 いつやるの、いまでしょっ。


 古今東西のことわざからも分かるように、何でもやってみることが最も合理的だ。


 対して知りもしないことを机の上でうんうん唸って机上の空論を考えるよりも、やって失敗してそこから学んだほうが効率がいい。


 特に俺の場合ケガをしても治癒魔法で治せるんだ。

 挑むことに客観的リスクはほとんどない。


 失敗して、痛い目みて、恥をかいて、そこから変わっていくんだ!


「ぷ、ぷしゅう……」


「おーい王子。生きてますかー」


 5秒でやられた。


 指一本動かせなくなるくらい徹底的に。


「雑魚が!手間とらせるんじゃねえよ!」


 今日も容赦のない仕打ちだ。

 俺が王子だということは伝えられたはずだが、なんと有望な。


「……さあ、次だ」



    問題解決サイクル②『反省』



「右…!左…っ!また右っ!!」


「ほほ、これはこれは。守りは形になってきましたな」


 ラモスの打ち込み、剣を縦に寝かせながら間一髪で防ぐ。


「やぁっ!はぁっ!」


「しかし攻めはへなちょこですな。もっと力を入れて振りなされ」


「はあっ、らあっ!」


「肝はへそですじゃ、へそ。へその下に力を入れて振りなされ」


 ローランとの一戦。

 勝てない、ということが学べた。

 まず真っ先に力も技も違いすぎるのだ。

 ああしたら勝てる、こうしたら勝てる、なんてレベル差じゃない。


 ならばまずは当初の予定通り、ラモスから剣を学ぶ。


 戦闘力の土台を上げる。


 焼け石に水でもやらないよりは100倍いい。


 焦らず地道にやれ。一日一㍉でも差を埋めていくんだ。



    問題解決サイクル③『再挑戦』



「しつけえんだよっ!チビ助ええぇっ!!!!」


「ふ、ふぐぅ…」


 本日の結果、4秒KO負け。


「ちょっとお、王子ぃ!悪くなってるじゃないですか!前回よりも1秒悪くなってるじゃないですかっ」


「ま、まあそう簡単にはね。1日1㍉。三歩進んで二歩下がるだよ」


「いや四歩下がってますよ!」


 実戦は、何にも勝るトレーニングだ。

 どれだけボコられても治癒魔法であらかた治せばいい。

 挑むリスクよりも得られるリターンの方が大きい。


 このように3~4日に一回ペースでローランに挑む。


(振り……足運び…目線……へそ!)


 ラモスから学んだこと、盗んだことを実戦で身に着ける。


 挑戦→反省→再挑戦。


 この自己流問題解決サイクルを当面は回してみよう。

 それでも上手くいかないようならプランを根本から見直してみる。


「くたばれ!」


「ぎゃ、ぎゃっふ!」


 直に効果は出るはず……出るよね?




 こうして俺の『対ローラン月間』が始まった。




 例え、土砂崩れが起こる強雨の中でも



「勝負だ!」


「うぜえっ!」


「ぺぶらっ!」



 例え、ぽかぽかとした陽気の昼下がりでも



「やろうか!」


「死ね」


「げっふん!」



 例え、目も開けていられぬ台風の中でも



「っしゃ来いっらあっ!」


「だぁっらっはあっ!」


「ぶえっ、げえっ、ぶべぼびっ!」



 日々、怠ることなく何度も何度も。


 こんな日々を繰り返し、数か月がたった。



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