↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/57

錬金土偶VS神造要塞 ① ――歴然の性能差

 土の肌を持ち、木よりも高いところに頭を持つ神造――いや、錬金土偶。

 対する神造要塞は、山にも迫る巨大さで、太陽は覆い隠されている。

 あちらは一つ手足を動かすだけで、地面は大きく揺さぶられていた。


「体格差は、こっちの倍どころじゃないな」


 S級相当のモンスターとはいえ、こちらは所詮土偶だ。

 神造シリーズには王、城、要塞とあり、相手はその最上級である要塞級。

 性能差は歴然だろう。


「だ、大丈夫なんでしょうかっ。神造土偶はモンスターで、人間に対して攻撃的なはずです。最悪敵が増えるだけになるかも……!」

「うーん、見た感じ、あんまり大丈夫じゃなさそうっ……!」


 坑夫たちを残らず回収し終えたリリィとクリスティーナは、土偶のてっぺん。頭にいるジーノを見る。

 彼は膝立ちの状態で、土偶の頭に手を埋めている。

 きっとそれで、土偶を操縦しているのだ。


「さすがにこんなことは初めてだ、なかなか難しいな。生命体でもなければ意思があるわけでもないから、コイツが抵抗をしているわけじゃないんだが」


「生きたままの生き物を素材にはしない」とは、かつてジーノが真祖戦で語ったこと。

 〝人の道を外れる〟ことはしない彼は、このモンスターが生物でも意思があるわけでもないから、迷わず操ったわけだ。


 だが、土偶は一つも動かない。


「これは、腕の見せどころだな」


 単純に自分の力不足。

 だったら、この場で慣れるのみ。


 洞窟内でリリィが見せたようなことを、ジーノは極限の状況で実行するのだった。


テキ()ハッケン(発見)ハイジョ(排除)カイシ(開始)


 要塞級が、どこからか音声を発する。

 奇妙なイントネーションの言葉の後――続いて、奇怪な音を周囲に響かせる。


「っ! 嫌な音ですっ!?」

「ご主人さま、来るよ!」


 奇怪な高音は、敵の魔法攻撃の前兆。

 要塞級は一つ目を赤く光らせる。

 間もなくして、致死級の光線が飛んでくる。


ハッシャ(発射)

「――動け、錬金土偶!」


 ジーノの両腕を纏う無色のオーラが、最高潮の揺らめきを見せた。

 土偶の両目が、目覚めるように赤く輝き――


 似たような高音とともに光線を発射。

 敵の光線にぶつかり、どうにか相殺していた。


「っぶなーい! ほ、本当にギリギリのタイミングだったよご主人さま!」

「で、でも、完全には防げてはいないみたいです!」


 直撃を免れたものの、そこには土偶と要塞という格差がある。

 要塞は無傷だったが、土偶の土の肌は、四散した光線でわずかに削られたあとが残っていた。


「――まいったな、こちらの光線は、あと一発が限界か」


 膝立ちで頭に乗るジーノにも、ダメージが入っていた。

 腕から、わずかながらだが出血している。


 土偶の光線はあれが限界なのか、少しだけ顔を出していた『魔動コア』の輝きが、一気に弱まっていた。


 こちらの武装は何一つない。

 性能差は歴然。


 だが、頭上のジーノは――


「だがなるほど。動かしかたは、今ので理解した」


 自信をみなぎらせて、そう言う。

 そして、次のときには、土偶の片足が一歩前に踏み出していた。


「う、動きましたですっ!」

「待って、また高音っ! 要塞は、何回でも連続で魔法撃てるんだ!」


 再び奇怪な高音が辺りを駆け巡る。

 赤い一つ目は、一歩、一歩と歩き出す土偶を射貫くが――


 なんと土偶は、次の一歩で走り出していた。


「こっちは土偶だ、武器もしょぼい(・・・・)


 そして、その体格からは信じられないような機敏さで、魔法をよけていた。


「けどお前は、動きがしょぼいな!」


 土偶が勢いのまま、要塞の腹部分にタックルを決める。

 要塞は魔水晶の一部を飛び散らしながら、鈍重な動きで体を傾かせていた。


「お前は別に、硬いだけで、魔法しか効かないわけじゃないからな」

「ふわわーっ! も、もしかしてもしかしたら……勝てるかもです!?」

「おしゃーっ! やれやれご主人さまーっ! 私の名誉のためにがんばれーっ!」


 リリィとクリスティーナは、その様子を見て勝機を見出す。

 凄まじい振動で地面は揺れ、クリスティーナらと一緒に避難していた坑夫たちは、立ってはいられなかった。


 巨大な怪物のぶつかり合いを見た彼らは、口を揃えてこう言った。


「お、俺たちは……神々の戦いを見せられているのか……!?」


 歴然の性能差を持つ、錬金土偶と神造要塞。

 それを覆すのに必要なのは、ジーノの腕である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。