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ジーノパーティVS神造要塞 ③ ――守りながら戦う唯一の手段

「んもうご主人さまは! さぁ行こうリリィちゃん、私たちは早く坑夫たちを集めて避難しないと!」

「ま、待ってくださいクリスティーナさん、ゴーレムが、こっち向いて――!」


 神造要塞――ゴーレムは、戦う気満々のジーノではなく、逃げるクリスティーナやリリィ、そして大勢の坑夫にしか興味がなかった。


 赤い一つ目は、逃げる彼女たちの背に、光線を放っていた。


「この嫌な音――こっち狙いってわけ!」


 リリィの声と敵の気配――そして発動前の音で、クリスティーナは気づく。

 逃げる坑夫やリリィもいるため、殿(しんがり)のクリスティーナは力を全開させ、ジーノ製の木剣で受け止める。


「ぐぎぎ――んがぁっ!」


 剣を力いっぱいに、天に向かって振り上げると、赤い光は天空に消える。

 邪竜形態(バハムートフォーム)のクリスティーナでも、方向を逸らすのが精一杯の様子だった。


「ふいぃ~、さすがご主人さまの作った剣、傷一つないけど……んーもったいない! あいつを私が倒したら、なかなかの名誉になりそうなのにー!」


 桁違いの攻撃も、ジーノ製の木剣だけは無傷だった。

 クリスティーナは名誉を惜しみつつも、ジーノの命令を優先して会議場跡を目指す。途中、逃げ出した坑夫も隊列に組み入れながら。


 そしてジーノは――


「おい、そっちじゃない、相手は俺だ」


 ゴーレムの膝部分に飛び乗って、無色の技術(スキル)で装甲を剥がしていた。


「こいつの動きは鈍重だが……だめだな、このやり方じゃ坑夫が巻き込まれるか」


 無色のオーラで、紫色の魔水晶を適当な道具(アイテム)にクラフトしていたのだが、あまりにもゴーレムが巨大すぎて、クラフトしても間に合わない。

 おまけに、ゴーレムはすでに坑夫やクリスティーナのほうに向けて動き出している。

 ということは、体重はそちらに傾いているわけで、この状態で支えの足を削り取った場合、坑夫に直撃する恐れがある。


「なんにしても、まずはこちらに注意を向けないと、か」


 ジーノは別の手段を取るため、ゴーレムの足から飛び降りる。

 そして両手を地面につけて、土を素材に、巨大な壁を作り上げる。


技術(スキル)・壁建築――どうだ、こっち向け」


 大きさは要塞級ほどではないものの、それでも注意を向けるには十分すぎる大きさだった。

 ゴーレムは壁に視線を向けると、奇怪な音を出す。

 光線を放つ事前動作音だ。


「よしよしそれで――って、これじゃあ、また前を向かれるだけだな」


 ジーノ自身は飛んで光線を回避できるが、この壁は、文字通り壁でしかない。

 一度攻撃を浴びれば瓦解し、ゴーレムは再び坑夫たちに狙いを向けるだけ。

 考えている間に放たれた光線が、壁を貫通した。


「注意を逸らしつつ、戦いつつ、最後に奴に勝つ。なかなか、難儀だな」


 ジーノは飛んで回避していたため、無傷だった。

 空中で頭を叩き、考えを巡らせるジーノ。

 光線で崩れつつある土壁に着地すると、元の形に成形する。


 打つ手はなし。

 ――かのように思われたが。


「なら」と言ったジーノは、大きく息を吸って、直後――大声で、叫んだ。


「クリスティーナ!! 俺の()をここまで投げろ!!」

「声デカーっ!?」

「ま、まるで狼さんみたいですっ!?」


 普段寡黙なジーノの大声に、リリィもクリスティーナも驚いた。

 ジーノは別に、大人しい男、というわけではない。

 ときと場合によっては、大声だって出す。

 その雄叫びは、森を駆け抜ける狼の遠吠えだった。


「ご、ご主人さまの宝? ――も、もしかして、これのことーっ!?」

「それだ!! 『魔動コア』を、俺に投げろ!!」


 クリスティーナは、ジーノの宝にすぐに当たりをつけて、手に取り掲げていた。

 赤く輝く、細長の結晶――『魔動コア』。

 神造土偶の動力だった、あの『魔動コア』である。


「い、嫌な予感してきました……」

「わ、私もだけど――大勢を守りながら戦うには、これしかないかもっ!」


 神造要塞の攻撃にさらされながらも無事だった魔動コア。

 リリィは、ジーノがなにをしようとしているか、気づき始める。

 それはクリスティーナも同じだったが――選択の余地はない。


 クリスティーナは力いっぱいに、魔動コアをジーノに向かって投げ放った。


「ナイスコントロールだ、クリスティーナ」


 奇しくも真祖戦とは逆の構図となったジーノとクリスティーナ。

 ジーノは無駄に勢いのある魔動コアをキャッチする。


「注意を引きつつ戦うには、これしかない」


 そして、赤く輝く魔動コアを――

 技術(スキル)で作った高い壁に、埋め込んだ。


「神が造った神造要塞と、無職(おれ)が作った錬金(・・)土偶。どっちが上か。勝負しようじゃないか」


 それまで壁だった土の塊が、徐々に徐々に姿を変えていく。

 それは土の肌を持ち、巨大な体と、二つの赤い目を持っていた。

 出来上がった姿は、クリスティーナがワンパンで倒したのぞき魔以下略モンスター。


 その名も神造――いや、『錬金土偶』。


 土偶の頭の上に乗るジーノは、即席で作った錬金土偶で、神の造りし神造要塞に戦いを挑むのである。

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