衣装チェンジしたい! ①
「いいのかリリィ、俺たちについてきて」
「ええと、その……依頼を受けたのは私ですから、行かないことには」
「一緒にいられるってことだね! えへへっ、よかった!」
冒険者ギルドを出たジーノは、リリィに確認を取る。
クリスティーナは包帯が巻かれているリリィの手を取って、喜んでいたが――
リリィは、決して『ついていく』とは答えてはいなかった。
「ところで、依頼ってどんな内容なんですか?」
リリィは「洞窟スライムってことしか確認してなくって」と言う。
「歩きながら読むか」と、三人はセントクロヴィスの人をかき分けながら、依頼書を読んだ。
「鉱山に洞窟スライムが沸いて困っているとのことだ。鉱山労働はドワーフが行っているようだが、軟体系の魔物は物理攻撃が通りにくくて苦戦しているとか」
「ふーん、簡単そうな依頼だね。で、S級の方は?」
「暴走した神造土偶――ゴーレムが、街道近辺を荒らしているとか。まぁ、鉱山までの通り道だな」
「ふーん、簡単そうな依頼だね」
「一応ゴーレムの方はS級なんですよクリスティーナさん」
クリスティーナの余裕そうな返事に、常識人リリィはツッコミを入れる。
ゴーレム――それは、神が造ったとされる人形のことをさす。
ゴーレムにも人形型、土偶型、兵士型などがいて、それによってゴーレムの行動や攻撃手段は変わる。
今回は土偶型だが、それでも神が造ったモノだ。
S級に指定されるだけの危険度はある。
「しかし……妙だな」
「どうしたのご主人さま、道のど真ん中で立ち止まって」
「な、なんでしょう、依頼になにか不穏なことでも」
ジーノはふと、足を止める。
腕の立つジーノが「妙だな」と口にしたことで、クリスティーナとリリィは、にわかに緊張感を漂わせる。
「なんか俺、街の人からさけられてる気がするんだが」
「依頼のことじゃないんかい!」
が、全然依頼とは関係なかった。
ツッコんだクリスティーナが続ける。
「避けられるのも当然だよご主人さまっ。だってご主人さま、格好が貧乏すぎるんだもん!」
「しかもやっぱりちょっと……臭いますしね」
「臭う……だと……!?」
はっきり言われたジーノは両膝をついてうなだれた。
クリスティーナは自身の肩にある奴隷の焼き印を見せる。
「私はまぁ奴隷だから、多少汚い格好しててもスルーされてるけど、ご主人さまは奴隷じゃないし」
「たぶん、物乞いさんとか、乞食さんに間違われているんだと思います」
「乞食にだと!? ――それはいつものことだからいいか」
「いいんです!?」
落ち込む基準が分からないリリィは、軽く混乱していた。
そのとき、クリスティーナが元気よく手を挙げた。
「はいはいはーいっ! 私、お着替えしたいでーす!」
「あっ、それいいですね! クリスティーナさん変顔しててもキレイな人ですし、奴隷だからっていつまでもその服なのもったいないですよ!」
「でへへー、そうでしょー? 私も、結構自分のことキレイ系だなって思ってるんだー!」
「あははっ、ちょっとムカつきますねっ!」
なにやら楽しそうな女子チーム。
そんな二人に、ジーノはポケットを裏返す。
銅貨一枚だけ取り出して、リリィに聞いてみた。
「俺の全財産で買えそうか?」
「無理です」
現実は非情である。
短くてすみません。
なんかオチがついてしまったのでこんなことに。
何時間か後にまた投稿します。




