↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/57

因縁の再会と、伝説の勇者 ①

「もう王都(ここ)には戻らないと思っていたんだが、戻ってきてしまったな」

「す、すみません、無理言ってしまって。……ところで、クリスティーナさんはどうして変顔なんてしてるんです?」

「だ、だって、奴隷商に見つかったら大変だしっ」


 晴れ渡るセントクロヴィスの城下町。

 城下町の城門のチェックを通った三人は、人通りの激しい大通りを歩いていた。


「それなら門番が言っていただろ。一つの街にとどまる商人ではないから、もう遠くの地に旅立ったと」

「念には念をってやつだよ、ご主人さまっ」

「変顔してるのにちょっとかわいいのズルイですっ!」


 クリスティーナは奴隷商から逃げ出した身。

 見つかれば即捕縛の身なのだが、その奴隷商はもう旅立っていた。

 見つかることはなさそうだったが、クリスティーナは顔をくちゃくちゃにして、苦しまぎれに誤魔化していた。


「そういえば、ジーノさんも戻りたくなさそうでしたよね? ――はっ、ジーノさんが体臭のことをすごく気にしちゃうのと、なにか関係があるのでは……!」

「おいやめろ臭いのことは。ただこの街に、クビにされたばかりの鍛冶屋があるだけだ」


「傷つくぞ……」と無表情に言うジーノ。

 リリィは、「そんなに臭くないですよ」とフォローするが、「臭いってことじゃん……」と、ジーノはますますへそを曲げてしまった。


「それにしても、ジーノさんがクビですかぁ……よっぽどお店の経営が苦しかったんでしょうねぇ」

「いや、連日行列で大盛況だったぞ」

「………………えっ!?」


 思っていた事情とは違ったのか、リリィは心底驚いていた。

 へそを曲げるのをやめたジーノが「まぁ俺は採取地へ行ってるばかりで、大盛況になったのはクビ直前のころだったが」と補足し、さらにこう続けた。


「なんでも勇者が魔王を倒したらしく、その勇者が使っていた剣が、親方の――俺が勤めていた、『バルフォア錬金鍛冶工房』の名前を世界的に有名にしたらしい」

「えぇーっ!? ジーノさんって、あの『バルフォア錬金鍛冶工房』の店員さんだったんですかー!?」

「リリィちゃんリリィちゃん、その店って有名なのん? 私、魔王討伐の時期、ちょうど奴隷やってたからあんまり知らないんだけど」


「まだ変顔してるんですね……」とツッコまれつつ、変顔クリスティーナが話に入ってくる。

 リリィは咳払いを一つして、話を戻した。


「有名も有名、超有名店ですよ! 魔王討伐は勇者さんの手で達成されたんですけど、そのとき使われていた剣が、『錬金鍛冶』という独自製法によって生み出された剣で、話題になったんですっ」

「へー、あの勇者の技術(スキル)に耐える剣、見つかったんだぁ」


 よく知らないと言うわりに、勇者についてはどことなく知った素振りを見せるクリスティーナ。疲れたのか、変顔はやめていた。

 リリィは、不思議そうな顔で続ける。


「で、でもでも、不思議ですっ。いくら超有名店でも、ジーノさんほどの腕前の人をクビにするなんて」

「私もそこは疑問なんだよね。S級冒険者だって苦労するヴァンパイアを楽々倒して、錬金術の腕だってすんごいのに。……いったいなにをやらかしたのご主人さま」

「どうも親方は、前から俺のことが気に入らなかったらしい」


「六つくらい理由を言われたよ」と言うジーノ。

 リリィとクリスティーナは、不思議で仕方ない様子だった。

 ジーノはそんな二人に、「とにかく、だ」と、区切り、こうつなげた。


「バルフォア錬金鍛冶工房は、連日大行列の人気店なんだ。親方も忙しくしているだろうし、もう会うこともないだろう――」

「むっ、お前は――!? まだこの街におったのか、このバカタレが!」


 言いかけた矢先のことだった。

 ジーノ一行の目の前には、派手な格好をした老人――


 バルフォアが、立っていたのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。