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第4話 お外は危険がいっぱい

今朝のミサイル速報にはビビりました。



さて、勢いよく外に出てきたんだけども真っ暗だね外。というか俺夕飯食ったことも忘れてんのか?夕飯食ったんだし外暗いのは当たり前だよね。夕飯食ってから色々していたしもう真夜中近いんじゃないの?どうしよう。戻ろっかな…今日はもう戻って寝て明日再出発にしようかな。


いや待て…何かが近くにいる。俺の聞き耳スキルにははっきりと足音が聞こえる。しかもこの音の感じは囲まれている?今出てきたばっかりだというのにか?もしかしてなんかの群れの中心に出てきちゃったとか?


何かいるのは間違い無いんだが明らかに危険という感じはないな。なんというか高位モンスターと敵対しているという感じはない。まあゲームの時とは違うんだし俺の感覚なんて全くあてにならない。とりあえず探知が先か?それとも照明で辺りを照らすこと?


意外とパニックになっているらしいな。全くもって正しい判断ができそうにないぞ。とりあえず深呼吸して落ち着こう。なぜかは疑問だが未だに俺の存在に気づかれた様子はない。いや、もしかしたら周囲から俺のことを伺っているのか?だとすると中距離タイプのモンスターか。これは意外と厄介かもしれないぞ。


とりあえず探知して周囲を探ってみるか。俺はピアスに手を触れ発動するようにイメージする。するとピアスの周辺がうっすらと光りだし魔法陣を形成する。マジックアイテム『蝙蝠の音を拾う者』。半径500mまで届く音波を発生させそれによって行うエコーロケーションで周囲のモンスターを含めた生物全ての情報を入手する。


これは一度でも他の同系統のマジックアイテムでエコーロケーションをして情報を入手していないアイテムは???で表示される。俺の知っているアイテムは全て登録されているのでもしも???で表示されるものがあればそれは新アイテムである。


発動させてから情報が入るまでに2〜3秒かかるがアイテム探しにはもってこいのマジックアイテムである。しかし2秒後俺は後悔することになった。この世界はもうゲームではない。現実のものなのだ。そんな世界でこのようなマジックアイテムを発動させるとどうなるのか。


ゲームの頃はただその情報が画面にわかりやすく表示されてそれを見て必要な情報だけを確認すればよかった。しかし今は違う。マジックアイテムによって得られた情報は全て使用者に還元される。それは画面や別の形で表示されることはない。

使用者の脳に直接情報が送られて来るのだ。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」


割れる。頭が割れそうだ。脳みそをまるでお菓子を作るかのようにミキサーで泡だてられているような。直接火であぶられ針を何本も刺されたようなそんな激痛。あまりの痛みに胃の中のものがこみ上げて来る。脂汗を滝のようにかき、手足が小刻みに震える。こんな苦しみは生まれて初めてだ。


しかしとっさに立ち上がる。それはなぜか。ここは異世界。危険生物が蠢く世界。ならばあんな大声をあげ縮こまっている俺など格好の標的だ。目の前に弱った餌がいるのに狙わないアホはいない。


しかし立ち上がったまでは良いがその後何もできないしそれ以上考えるのも難しい。目を開いて周囲を確認することさえ辛い。俺はやけくそで周囲に殺気を放つ。さっきの放ち方なんてものは知らないし、聞いたこともない。殺気を自由自在に操れる人間なんてそうそういないだろう。いるのかどうかでさえ怪しい。だから俺はなんとなく歯を噛み締め近づいたら殺すと心の中で強く思う。


それのおかげかなんのおかげかわからないが少しづつ落ち着いてきた。未だに吐き気も脂汗も震えも収まらない。だが少しづつ考えられるようになってきた。とりあえずわかることは探知系のアイテムは危険ということだ。


俺に何が起きたかというと『蝙蝠の音を拾う者』を使用し情報が入ってきた直後情報量が限界に達し強烈なんて言葉が優しく聞こえるくらいの強い痛みが脳内を駆け巡った。このマジックアイテムは半径500m以内に存在する全ての情報を得るというマジックアイテム。


つまり何が起きたのかというと聴覚という普段何の音かを聞き分ける程度の情報しか入らない器官から視覚で得られる情報よりもはるかに多い、それでいて複雑かつ鮮明な情報が一気に入り込んで来る。頭の中に直接鮮明な立体的な地図とそれに伴う情報をねじ込んできたのだ。そんなもの人間が処理しきれるわけがない。途端に俺の脳はオーバーヒートを起こし激痛を引き起こしたというわけだ。


本来、普通の人間だったら死んでいてもおかしくはないし後遺症くらいなら残ってもおかしくはなさそうだ。もしかしたら俺の今の体はゲームの頃のレベル200という超位的な肉体のおかげでこれだけで済んでいるのかもしれない。もしかしたら今後も使い続ければ慣れて何の問題もなくなるかもしれない。それまでは辛抱して使い続けるか。


さて、ようやく五感の全てが復活したようだ。もしかしたら今ので第6感も生まれているかもしれない。いや生まれている方が自然のような気さえする。それほどの体験をした。今はそんなことよりも今目の前にいるこいつらをどうにかするべきだろう。


正直今入ってきた情報はほぼ断片的にしか情報を得られてはいない。ただ何となくわかったことはこの周囲にいるモンスターはめちゃくちゃ弱いということ。俺の目の前にいるモンスターはレッサーゴブリン。通常のゴブリンよりも弱い種類のモンスターだ。レベルは5程度。駆け出しのプレイヤーが倒すようなモンスターである。正直この程度ならどれだけ攻撃されたとしてもかすり傷一つおうことはないだろう。


こいつらはなぜか俺の目の前でそのまま突っ立っている。距離にしたら10mはあるだろうがさすがに夜であたりが暗くても俺の存在に気がついていないはずはないだろう。これだけ低レベルだと声を出すまで俺の存在に今まで気がついていなかった可能性が出てきた。何も気づかずただ突っ立っていたので先ほどの俺の声に驚いたのだろう。


もしくは俺の殺気で止まっている可能性も、なんて考えたがそんなことはないだろう。あんなに適当にやったことでモンスターが動きを止める可能性は少ない。これだけの低位モンスターだ。考えられる可能性はいきなり俺が現れたことによって驚いて動きを止めたかそれなりの知能はあってどうするか俺の出方を伺っている可能性あたりだろう。


まあ前者の場合でも後者の場合でも相手が動きを止めてくれているのならばありがたい。せっかくなので俺の実験に付き合ってもらおう。俺の武器がちゃんと通用するのか。ゲームの頃と変更されている点はあるのか。俺がこの世界においてどの程度の強さなのか。


俺はベルトに装着しておいた瓶の一つを取り外す。消費系マジックアイテム『魔蟲の紫毒煙』。ランクは4ほどでそこまで強力なものでもないし同じものを大量に持っているので1個や2個なら全然惜しくもない。


効果は単純で1分間一定範囲内に留まり毒の煙を立ち込めさせる。10秒間に200ぐらいのダメージなんだけど正直雑魚狩りにしか使えないようなアイテムだ。ゲームの頃ならばこの程度のレッサーゴブリンならば触れた瞬間に死んでいく。これならば相手の体力などもわかりやすいので敵を調べるのにはちょうどいいだろう。


俺はそれをレッサーゴブリン達のいる方へ投げる。『魔蟲の紫毒煙』はゆっくりと弧を描くように飛んでいきレッサーゴブリン達の群れのちょうど中心へ落ちる。投げるコントロールは昔よりもだいぶいいみたいだ。こういったのはある程度感覚でどうにかなるかもしれない。


そんなことを考えながら見ていると落ちた瓶が割れて、たちまち周囲に何とも毒々しい色の煙を発生させる。その煙はまるで生き物のように周囲にいるレッサーゴブリン達にまとわりついてその命を奪っていく。触れた瞬間にレッサーゴブリン達は苦しむことも何か思うこともなく死んでいく。どうやら俺の力はこの世界でも十分有効なようだ。


周囲のレッサーゴブリン達はそれを見ても何一つ動こうとはしない。むしろ震え、怯えるようにその光景を見ている。あ、あれ?もしかして俺の威嚇ってちゃんと効いていたのか?何だか悪いことをした気持ちになる。


そんなことを思いつつ眺めていると周囲のレッサーゴブリン達も『魔蟲の紫毒煙』の有効範囲内に巻き込まれていく。いや待てよ。これ何だかどんどん広がってきていないか?俺の方にも近づいているし。もしかして現実のものになったせいで一定の範囲内という縛りが消えて風に乗って周囲に拡散されていくのか?


今は森の中にある草原なのでほぼ無風状態だ。だから全体に広がるように『魔蟲の紫毒煙』はその有効範囲を広げているのか。のんびりしている場合じゃないか。このままでは俺も巻き込まれてしまう。いや…どうせならもう一つ実験を済ませておくか。


俺はゆっくりと『魔蟲の紫毒煙』の有効範囲内に近づき、そしてその中に入る。周囲は毒々しい煙に覆われていて何も見えない。その中に入っての感想は正直煙たいということだけだろう。この実験は俺の耐性スキルが有効なのかどうかの実験だ。


作成系職業は他の職業に比べ状態異常耐性スキルが高い。それは実験失敗の際に状態異常として作成者に帰ってくることが多いので仕様として状態異常耐性スキルが高く設定されているのだ。まあ状態異常耐性用のマジックアイテムもあるのでものすごく有用というわけでもない。耐性スキルだけでは対処できない状態異常もあるので基本的には状態異常耐性マジックアイテムは必須である。


さて、問題もないことがわかったので煙の中から出ようとしたのだが予想以上に広がっているためどこもかしくも煙たい。しょうがないので風系のマジックアイテムを使用し煙を散らす。そして俺は再び後悔することとなる。この『魔蟲の紫毒煙』は1分間の間消えることはないのだ。つまり俺が起こした風によって周囲に拡散されモンスター達があちらこちらで死に絶えていくのだ。


「…やっちまった……これまずくないか。」


思わず冷や汗が出る。もしもこの周囲に人がいたらあっという間に巻き込まれる。そして俺のせいで死んでしまうかもしれない。一応浄化系のアイテムも持ってきてはいるがここまで周囲に拡散されてしまってはどうしようもないだろう。俺はとりあえず消えるまでの間人が巻き込まれないのを祈るばかりだ。




1分後。周囲に停滞していた『魔蟲の紫毒煙』の煙が消えたことを確認し時間通りに効果が切れることも確認できた。消えた理由も考えたがおそらく魔法による煙なので魔力が切れて効力を失ったのだろう。もしも魔力抜きでこのような毒煙を作った場合一生消えないかもしれない。その手のアイテム使用には気をつけなければならないだろう。


「とりあえずこのアイテムは使用禁止だな。というよりこの系統全てが禁止だな。今後は色々使うものにも気をつけないと大量殺戮者になるな。」


さて、それよりもこの周囲のモンスターの死体をどうしようか。ゲームの頃ならば死体は消えアイテムだけが落ちていたのだが今は死体がちゃんと残っている。解体なんてゲームの頃にはなかったため全くやり方がわからない。いや、レッサーゴブリンでは解体しようにも使えるアイテムなんて存在しなかった。せいぜい身につけているボロ切れくらいだったがそんなものは必要ない。


まあ他にも倒したモンスターがいるかもしれないので回収をするか。しかし自分でやるのは面倒なのでマジックアイテムを使おう。自動制御式マジックアイテム『働き蜂の奉仕』。マジックアイテムのレベルによって出現する数は変わるのだが俺のこれならば大体100匹程度だろう。戦闘力などは皆無だが周囲のアイテムを回収してきてくれる。


「ゴブリンはいらないからそれ以外のモンスター及び有用なアイテムと未発見アイテムを回収してきてくれ。」


俺の言葉を聞いてすぐに行動を開始する。一匹一匹がサッカーボールほどの大きさでほのかに輝いているのを見ると何だか美しいものを見ている気がして和む。こいつらはモンスターではなく精霊に近い種類のものだ。


そもそも俺にはモンスターは手なづけられない。モンスターを従えるのはテイマーなどの特殊な職業についていない限り難しい。いや、ほぼ不可能と言っても良いだろう。テイマーは他の戦闘職に比べるとプレイヤー自体の戦闘能力はかなり弱い。しかしテイマーとしてモンスターを従え戦うとその力はたった一人でレイドボスを倒すほどの力を持っている。


ただしそれほどの力をつけるとなると普段のモンスター維持にかかるコストがバカにならない。その上そこまでの強さを手に入れるまでには戦えるようになるまでモンスターを倒し、手なずける必要がある。そのため羨ましがられるがあまり人気のない職業だ。


そのため俺のような作成系職業と生産系職業では魔法によって一定の行動をする魔法生物を召喚する。今回のマジックアイテムのその一つだ。召喚されたものは何かに特化した性能だがほとんど戦闘用ではない。何かの作業の手伝いばかりだ。ちなみに種別もはっきりしておらず精霊やら妖精などと呼ばれているが精霊も妖精もモンスターでもいるのでゲーム内77不思議の一つである。ただモンスターでないことは確からしい。


そんなことを考えているとどんどんとアイテムを回収してきた蜂達が帰ってくる。どのように俺に渡すのかと見ていると俺の周囲1m以内に入った時点で抱えていたものが消えた。試しにアイテム欄を確認してみるときちんとアイテムが回収されていた。なるほどこれはゲームの時のままか。


「しっかしこれは…シュールな見た目だなおい。」


蜂にしては大きいがそれでも小さな蜂が自身の体の数倍もあるモンスターを運んでくる。運ばれてきたのは熊や鹿、ウサギに狐などのモンスター。珍しいものでもなくごくごくありふれたものである。ただ初期の頃のモンスターなので名前などは忘れてしまった。


しかし蜂がでかい熊を運んでくるというのはなんとも見ていてシュールだ。何かクレーンゲームでぬいぐるみを取っているようなそんな気分にさえなってくる。他にも抱えるように何かの植物を運んできている。薬草やそれに順ずる何かだと思うが正直見ただけでは判断がつかない。一応アイテム欄で確認してみるが今の所珍しいものはない。


しかしこのまま待っていても暇なので今日はここでキャンプにしよう。ちょうど食料も確保できたのでワイルドなキャンプになりそうだ。ちなみに『魔蟲の紫毒煙』の毒は効果の使用時間、つまり1分を過ぎた時点でどんな形でもなくなるので今取れた肉には全て毒性は含まれていない。


テントを張りながら明日の予定を考える。本当は探知系のアイテムで人を探そうと思ったのだが今はまだ危険だろう。もう少し効果の少ないもので慣らしておく方がよい。まあ地道に歩き回って周囲の地形を記録しながら探索しよう。


夕食については料理人職業のおかげで皮を剥ぐのも下ごしらえするのも簡単にすんだ。そしてウサギを丸焼きにしながら俺は思い出す。さっき散々夕食を食べたことを。あんだけ食べたというのに『暴食の指輪』のせいで満腹感がないので夕食を食べたことを忘れていた。


正直空腹感も満腹感も何もないので食事を取らなくても全く問題ないのだが目の前で焼かれているウサギの丸焼きを見ているとここで夕食を止める気は起きない。


まあこれは夜食だ。ひと暴れしたし『暴食の指輪』のおかげで食べても太ることもなさそうだし問題ないだろ。こういうところを誰かに見られると意地汚いおっさんとか思われるのかな。今後食生活については気をつけよう。



ということで初戦闘?です。ものすごい魔法とかアイテムは簡単には使わせないようにしていきます。


明日も12時に投稿します。宜しくお願いします。


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