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第14話 勝利の報酬


騒動から2週間が経過した。今日は初めての薬草採取の日だ。約10日前、騒動も終わり俺は村人達から今回の礼をしてもらうため、村の中に大規模な薬草農園を作り上げた。


薬草は農業職の初級栽培作物の一つである。ただし薬草を栽培させるための土壌は作成が難しいため農業職の初期レベルではなかなか栽培できない作物の一つである。しかし土壌作成程度なら俺の職業でなんとでもなった。


薬草はある意味モンスターの発生と似ている。モンスターは基本的に魔力にから生まれる。その魔力は自然発生するもので特定の周波数というか特定の何かがあるらしい。薬草も魔力がその特定の何かになった土壌から生えて来るらしい。


土壌の改良は錬金術でなんとかなる。魔力の調整は空間ごと専用のマジックアイテムでなんとかなる。ただし俺には栽培はできない。もしかしたら見よう見まねでできるかもしれないと試しにやってみたが薬草の発生も何も起きなかった。何か特殊な力が要因となっているらしい。


この村には農業職を持っている村人が多くいる。だから彼らに栽培の全てを任せている。ゲームの時は薬草を栽培する場合、農業職を持ったプレイヤーが土壌中の魔力が薬草栽培に適している畑を耕しそれを一定期間放置すると勝手に生えてきた。雑草に近いもので一部のプレイヤーには毛嫌いされていた。


今回もその要領で畑を耕してもらい水を与えてそのまま放置しておいた。雑草も生えてきたが4日ほど経った頃急に薬草の芽が生えてきた。それも一斉に生えてきたので村人全員が驚いていた。正直俺も何か種でも蒔いたのではないかと思うくらいだ。


それから1週間後の今日、鑑定してみたところ収穫に適した大きさまで育ったらしいので村人全員で収穫をする事になった。薬草は葉の部分も使えるが根の部分も使える。本来は根を残さないとまた生えて来ることがないので葉の部分のみを収穫しようと言っていた。


だがこの薬草自体何もないところから生えてきた。ならばこの畑の中の魔力を調節されている状態ならばどうせまた生えてくる。それを伝えたところ「確かに!」と鳩が豆鉄砲を食ったような表情で言っていた。


まあ根を残しておけばおそらく通常より早く収穫ができるのだろうが根の部分は回復ポーションを作る際に回復効果を高める効果がある。品質の良い薬草を作る際には必須なアイテムだ。


まあ正直なところそれを作る前にもっと良い素材から回復効果の高いポーション作れよと突っ込みたくなる。まあ現状で手に入るアイテムがそれだけならば仕方のないことなのだけれど。


村人達の薬草の収穫が始まった。俺が事前に説明しておいたので収穫は慎重に行われている。薬草は生の状態だと葉からの蒸散によって水分だけでなく薬効も抜けていくので高品質のまま状態を保持するにはすぐに加工してやる必要がある。


そうは言っても難しいことではない。収穫されたものは水分と一緒に薬効が飛んでいくのだ。つまり水分さえなくなってしまえば薬効は失われずそのまま保持される。だから俺は収穫されてきたものを速やかに回収して錬金術のスキルの一つ『乾燥』で水分のみを一瞬で飛ばす。これによって全て最高品質の状態で保持される。


ちなみに村人全員が慎重に収穫しているのは収穫の際に薬草を傷つけないようにお願いしてあるからである。薬草は水分の多い植物だ。だからちょっとした傷から水分が流れていってしまう。そうすると薬効が薄まるので気をつけるようにいっておいたのだ。


しかしこれがなんとも難しい。薬草は重なり合うように生えてきたので薬草同士が擦れて傷がつくのだ。なので俺は素早く回収し乾燥させている。おかげで全て最高品質で維持されている。


収穫は丸一日行っても半分もできなかった。正直薬草ばかり作りすぎた感はある。なんせ村の中の村人達が普段使う家の周りと道以外は全て薬草畑にしてしまった。こんなに薬草ばかり作って正直余りそうだがまあポーションにしておけばきっと売れるだろう。

……いつか…な。


しかしこのままでは村人達も大変だろう。なんせ薬草採取は神経を使うし中腰で作業を行うのでかなりきつい。俺も採取を手伝おうといったのだがこれは私たちにやらせて欲しいとのことなので手は出さない事にする。その代わり畑を少し減らそうという事で話は落ち着いた。


なんせ10日ほどで毎回これだけの薬草が採集されるのだ。はっきりいってもういらないくらいなのにこれ以上増えても困る。俺のこの提案には賛成してくれたらしく畑を半分まで減らす事になった。そのぶん自分たちが食べる作物を栽培する事にするらしい。それはいい事だろう。この村は今だに周囲の森の恵みを採集して生活をしている。


まあこれだけの森の広さなので食い尽くすことはまずありえないが取りに行くのは戦えるものだけになってしまう。そうなると働けない人も出て来るだろう。それに何より農業職がいるのに畑をやらないのは勿体無い。モンスターを倒すことによってレベルは上がるかもしれないが、職業レベルは専門のことを行わない限り上がることはない。


それと俺はもう一つ思い出したことがあったので村の一角を俺の土地として貰った。これに関しては誰も文句を言うこともなくむしろ大賛成だった。


俺は早速村の一角に建物を建てることにする。建てる建物は二つ。一つはでかい倉庫。もう一つは小さな小屋だ。作成は瞬時に終えた。なんせ建物自体は隙間さえなければなんでも良い。あとは必要なマジックアイテムを設置する。


倉庫の中には乾燥の魔法を組み込んだ乾燥機。これさえあれば俺がいなくても薬草を乾燥させることができる。乾燥機には魔石を組み込む。本来魔法を使うにはアイテムに魔法的加工を施す必要がある。それは魔力を多く含むモンスターの素材であったり特殊な金属でもある。


しかしこのくらいのものにはモンスターから取れる魔石を使う。この魔石はあのゴブリンオーガのものだ。通常のオーガのものより小さくイマイチだがまあなんとかなるだろう。もう少し乾燥機そのものを小さくすれば俺のスキルを合わせることで魔石など必要なかったのだがまあ薬草の数が多そうなので少し大きめにした。


その周りには収納ボックスを設置する。この収納ボックスも見た目よりはるかに多くのものが入るボックスで中身を一定の環境で保持することができる。と言うより中の状況が環境によって変わるボックスなんてゲーム時代にはなかった。だいたいそんなゲームは鬼畜すぎるだろう。今日は雨で湿気が多いのでボックスの中身が腐りましたなんて酷すぎる。

……それはそれで面白いかもな。


ま、まあ、今回はそれを計5つ設置する。これにも収納量を増やすために魔石を用いた。ちょうど手頃なのが手に入ったのでそれを使わせて貰った。魔石なんて属性付きとかでもない限り魔力含有量さえ同じならばどれも同じだからな。


これで俺がいなくても薬草の処理に問題はないだろう。それともう一つの小屋の方にも処理を施す。これに関しては魔石も必要ないほど簡単だ。マジックアイテム化された鏡を設置するだけだ。この鏡は土壌から鉱石を抽出し加工したものだ。かけられている魔法も簡単で位置情報を登録するだけだ。


これは俺の『異次元の夢の国』の副次効果を使うためのものである。異次元の中は全ての場所につながっている。だからその異次元を経由してこの鏡の位置情報を特定しこの場所に移動できるようにするための魔法だ。ちなみにゲームの時に設定してあった場所に移動しようとしてみたがすでに登録情報自体が存在せず移動はできなかった。世界そのものが違うから不可能なのだろう。


これだけしておけばいつでもこの村に戻ってこられる。一応鏡が割れた時のことを考えて念のために何枚か土の中に鏡を設置しておこう。鏡が割れても俺が出入りできる大きささえ残っていれば問題はないけどね。


さて、これだけやっておけばこの村から出ていってもなんの問題もないだろう。この村は好きだが俺の目的はこの世界で未知のアイテムを発見することだ。だから俺はこの村に居ついてのんびり過ごすつもりはない。


まあ今すぐに出て行くわけではない。まだやることもある。あと1週間ほどこの村に滞在したのちにこの村を治めているという今だになんの連絡もない国の方へ行ってみよう。


もうすぐ夕飯の時間なので広場に集まろう。最初のうちは俺が飯を作っていたが徐々に俺がいなくなった時のことも考え村人たちに料理を教えている。まだまだ俺のレベルには程遠いがまあ家庭料理としてはそれなりにうまい方になっていると思う。


足りない調理器具や食器などは俺が自前の素材を持ってきた。手持ちに何もなかったので一度自分の家に戻り宝物庫から持てるだけ持ってきた。そのおかげで生活水準はそれなりに良くなっている。


村人たちに職業の訓練と称し色々と働かせたので今では自分たちの家もかなりしっかりとしたものになっている。すきま風や雨漏りはもちろんなくなったし見た目もおしゃれなロッジ風になっている。


ここまでのものを作るのに村人たちが数人過労で倒れたがさすがは異世界。回復魔法ですぐに治った。大工職持ちがこの村には8人しかいない上、男はその半分しかいない。まあ俺の手助けがかなり必要となったが無理やり支援魔法でステータスを底上げしたらまともな家ができた。


ちなみに俺は作成の時のお手本として村長の家を建てておいた。そのせいか村長の家だけ耐久度も見た目もはるかに良いのだが村人たちはいざという時にここに逃げ込めば良いとのことで批判はなかった。村長は村のみんながいつもに増してよく遊びに来てくれると喜んでいたしなんの問題もないようだ。


それと村の中心に村の全員が使える共用の作成場を作っておいた。鍛冶場に大工の作業場、薬剤の作成場に食堂などがある。ここで作成したものは俺が将来金を稼ぐ時のための商品となる。暇な時に使いたかったら使ってもいいよと言っておいたら狩に行く男たち以外は村に娯楽がなかったのでこの施設に入り浸っている。


おかげでどんどん商品が増えていっている。品質は悪いがまあこのくらいの方が売りやすいだろう。あまり良いものを売っても目立つだけだからな。しかしあまりにも品質の悪いものはさすがに売り物にもならないので分解して素材に戻している。


ここに隣接するように乾燥付き倉庫を作ってもよかったがここでは薬草畑から離れすぎているため薬草の状態が悪くなってしまう。だから俺の移動場所とともに畑に近い別の場所に作ることにした。


明日からはこの乾燥場所を使って薬草を加工してもらおう。俺は空いた時間で今後の活動計画でも立てるか。



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