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怒りは簡単に収まらない

黒鈴様から剥がされ、何故かアレクさんに後ろから抱き締められた。

これで落ち着くのだから謎だ…人間の姿に戻ったし。

普通ならば不敬罪になるが、この依頼を陽菜にも受けさせることになったので、ここに来る途中でとある条件をつけている。

それは「家族の誰かがスクレッツァの王族か、キアーロ王国で事件に巻き込まれたら敬うこともしない」。

だから不敬罪にならない。



「……敵って、抹殺していいのか?」



私の言葉に、キアーロの国王が慌てている。



「月華、落ち着け」


「……わかりました」


「(この二人、既に夫婦か?)」



優しく頭を撫でられた。

神狐は家族以外だったら、伴侶にしか頭を触れさせないが……アレクさんは友人だ、伴侶ではない!



「で、何で陽菜は拉致された?」



そう、陽菜は拉致されたのだ。

ここに来る途中で。

目撃者も何人かいる。


怒りを込め、瞳が金になりそうなレインはキアーロの国王を見ながら言った。

レインが悪魔だと悟ったのか、国王が怯える。

……情けない。

思わずため息を吐きそうになった。



「……父上に代わって私がお話します」



紫凛様の隣にいて肩を抱いてて、国王に似た青年が呆れながら言った。


背の真ん中までの白髪をポニーテールにしていて、瞳は星のような銀。

整った顔立ちで、眼鏡を掛けている。

細身だが体格は良さそうだな…身長は175くらい。

白い、シンプルだけど王子だと分かる衣装。


前に紫凛様が言ってた、婚約者様か。

……この人がいない、行き帰りの紫凛様の護衛が私達の仕事だけど。



「お前は?」



鈴蒼の発言に動揺する、キアーロ側。

紫凛様から説明か何かされてたのか、気にしないよう様子の紫凛様の婚約者。



「私はキアーロ王国の王太子、カルミネ・ベネッツァ・キアーロという。よろしく頼む」


「……陽菜と月華の養父チチ、レイン・フェリスだ」



あ、レインが律儀に返した。



「天宮月華、陽菜の妹だ」



未だにイライラするが、冷静ではいれるので一応名乗る。

敬語じゃないのは今更取り繕うのも無理だし、神狐姿を見せてしまったから。

神狐って、ホントは王族より上の立場なんだよね……一時期、紫凛様と黒鈴様との間で様付けするなしますの攻防もあったくらい。


鈴蒼は興味なさげにしていて、リアンは情報収集をしているのでいない。


さて、カルミネ様の話を聞くか。

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