巫女の理由(レイン視点)
今回はレイン視点です。
月華も陽菜も鈴蒼も知らないことを、唯一深くまで知ってるので。
「巫女は私じゃなくて月華よ、紛い物は私だったの」
結城からの言葉に月華が固まる。
まぁ、俺も結城が巫女だとこの三年間思い込んでたから仕方ないが…。
そうなると何故、フィアンマータの王族は王子と結城を結婚させようと?
「それで王族達は本物の巫女である月華を探す間、私を巫女として偽って結婚しようということにしたんです。そして見つけたら、私を巫女を騙った罪人として処刑するつもりなのも知りました」
……そこまで堕ちたのか、フィアンマータは。
ここ何十年かはいい噂は聞いていなかったが。
この世界で王族が異世界から巫女を召喚し、結婚するのには理由がある。
千年前に魔王を倒した巫女は創造神の力を有している。
その力でもって世界は安定しているのだ。
巫女の血筋を王族が取り込むことで百年は世界が安定している。
けれど百年ほど経つと巫女の血は消える。
だからか各王国の王族は順番を決め、巫女を召喚して結婚していた。
前回はネヴァートだったしな。
千年前、巫女を召喚したのは当時のフィアンマータだが……これじゃ、潰れるかもな。
この世界では十五からなら男女ともに結婚が可能だ。
だから結城も結婚されそうになったのだろう。
「……陽菜、これからどうするの?」
そう言って結城を見る月華。
自分よりも他人か、こいつは。
「可能ならこの国に住もうと思っ」
「お父さん、私は陽菜と住みたい」
「いきなりすぎるわよ、月華!?」
結城、突っ込み入れても疲れるだけだぞ。
許可はするけど。
「許可するって」
「何も言ってないよ」
「目を見れば分かる」
さっきから静かな鈴蒼はもそもそと菓子を食っている。
明日は結城の必需品を買いに行くしかないな。
「とりあえず、結城……いや、陽菜。この国に住むなら月華と同じく俺の娘にならないか?」
にっ、と笑ってやれば陽菜は驚いた表情をしていた。




