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清蓮と鬼火




     ❖ ❖

 



 

 すっかりものでも落ちたかのような顔をしている豆苗之進。


 途中まで送りたい、という申し出を丁重に断り、清蓮は後日の報酬の受け取りを約束。


 連なったホオズキの提灯を貸してもらい、直志と清蓮は暗闇を歩く。



「お前が契約中、明日の公演、豆苗之進君が、ぜひ、見てくれてっ」


「ほうほう、呼ばれよう。お前がチケット代出せ」


「何を言っている?菊子嬢と秀春兄さんと俺とお前、四人分無料だ。特等席だぞっ」


「なぜ、菊子嬢と秀春殿まで・・・」


「ん?まぁ、いいじゃないかっ」



 橋の側に、柳の木が生えている。


 風に揺れ、さわさわさわさわ、と葉のれる音であたりを奏でている。


 清蓮が伏目ふしめがちになり、するとすぐに清蓮のまわりをくるくると鬼火が現れた。


 橋の欄干に触れる清蓮。


 踊る鬼火。



「ここが、豆苗之進が拾われた橋か・・・」



 ふわ、っと、一陣の風が吹いて、直志は目を細めた。


 かぶった前髪を直していると、清蓮がいつの間にやら欄干らんかんに立っているのを見つけた。


 鉄色に光る長い黒髪が、風になびく。


 うれう瞳は、どこを見ているのか。



「な、何をしている。清蓮っ、はやまるなっ」



 刹那的にその姿になぜか見惚れた直志は、あせってけ寄った。


 清蓮はつぶやく。



「直志・・・」


「どうしたんだ?」



 風を感じている清蓮。


 鬼火が川の水面に、光として潤み映っている。


 清蓮は、独り言かのようにつぶやいた。



「わたしはな・・・・・・・・・母上を、知らん・・・」



 しばらくの間、直志はぽんやりとした。


 瞬く。


 答えに困った。


 しがみついた足の主、清蓮を見上げる。



「それが、なんだと言うんだ?」



 清蓮は直志の方を見て、さびしそうにそして少し嬉しそうに微笑した。



「いや、なんでもない」


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