旅路の描がき ▶︎タオルドライ(ターボ)
町間の移動について教えてもらい、地図で現在地と目的地を指で指し示すような風に、まっすぐ進むわけではないことも教えてもらった。
「この地図にはないけど、外には踏み固められた道もあっただろ?」
ゴルーダに言われて、ルルルフは採取へ出かけた時、森の近くまでは踏み固められた道があり、そこには雑草はさほど生えていなかったことを思い出す。
地図にはない、というのは、見ている地図に道は描かれていないためだ。
「ドドでも、そういう道を通っていくから、たいてい町から町への道はまっすぐにはなっていないんだ」
「そうニャのね」
山を迂回したり、川に掛かった橋へ行くため、モンスターの縄張りを避けるために、踏み固められた道は曲がっていたりすることを教えてもらう。
「迂回なし」
モクレンやゴルーダは、モンスターの縄張りだろうと突っ切っていくこともあるため、ドド車より早く目的地に着く事もあるそうだ。
そして次に教えてもらうのは、北の地域について。
「北の地域に行くのに、船で行く必要がある話はさっきしたが、この陸と陸の間、海ってのがあってそこは、波があって風があって、まっすぐ進めるわけじゃないんだ。ナナヤの目的地である町はここにあるが、一番最短に見える町から船が出ているわけでもない」
北の地域の港町から見て、かなり遠い場所を示して、船が出ている町を教えてくれた。
「ニャー! 遠くニャってる!」
潮の関係を伝えるにしても、ゴルーダやモクレンは詳しく説明できないため、ざっくりとしか伝える事ができないが、目的の町から近そうな町からの方が、船での移動日数がかかることを教えてもらい、ルルルフはさらに驚いていた。
「マジミャ?」
ナナヤもそれは初耳だったようだ。経路も聞いていないそう。難しいことは考えずに、護衛すればいいと思っていただけのようだ。
「ちなみに、王都レタハトを出たら、こっちに行かないと、だからな。多分ナナヤの相棒はわかっていると思うだろうけど」
地図を示すも、ナナヤに覚えられるとは思えない気がしたので、モクレンは紙とペンとインクを持ってきて、見ている地図と似たような絵を描きつつ、道と通るであろう町の名前も書いてくれている。
あと、今まで行った町や村の位置も描いて、別の紙に今まで行った町で食べた美味しかったものを書き出す。こちらの方がナナヤには思い出せる項目だろう。
一緒に行っていないけれど、これから行くであろう町のおすすめご飯処とおすすめメニューも書いている。
モクレンが描いている間、ゴルーダは北の地域へ行くにあたり知っていることを、ナナヤとルルルフへ説明した。
「この辺りから、寒さが厳しくなってきて、毛皮の外套とか買い時だな」
「ミャー」
「ニャー」
その後も色々説明を受けて、気がついたルルルフ。
「さっきから、ほとんどがご飯のことばっかりニャ」
「それは仕方ないと思うミャ。こいつら町や村を飯で覚えてるミャ。ナナヤもだけど」
そして、アドバイスとモクレンが描いたお助け地図をもらうナナヤは、2人にありがとうと伝え、地図をリュックのサイドポケットにしまう。
「そんで、ナナヤがホルス専属になったのは、平たくいうとルルルフと同じ状態だ。ホルスは衣食住の面倒を見るから、護衛して。ってやつだ」
「ニャ!」
自分と同じ状態になったのだと理解したルルルフ。
ギルドに所属せず、ホルスと一緒にいながらハンター活動もする。お互いにお互いを支え合う相棒になる状態だ。
ホルスはギルドに払う金は必要なくなるため、お財布にも優しい。これはナナヤがホルスに提案したそうだ。
「ナナヤ、ホルスの飯に惚れたミャ」
カーチェのトリマーという副業をやって生活をするくらい、本業の薬屋では暮らしていけてない状態。
ナナヤがハンター活動でクエストをこなしたり、素材を売ったりしてお金は稼ぐ。そしてホルスはナナヤの生活の面倒を見るという条件で合致したらしい。
「そんで、ナナヤは細かい生活が苦手だミャ」
「わかるわー」
「同意」
毛の手入れ、ご飯支度、お洗濯、お家の掃除、できるけど得意ではない。ハンター業で稼いでいることもあり、家事代行を雇ってもいいと思っているくらい、どちらかというと、やりたくない分類の生活行動である。
その点ホルスは、細かで丁寧な生活をしているので、バランスが取れているそうだ。
「こういう人やカーチェがいるから、家政仕事が潰れニャいでいるのニャね」
「そういうこと」
ドヤ顔でモクレンが答える
「ふミャ〜……」
ナナヤから大きなあくびが出る。
ルルルフはナナヤの手を引いて、お風呂へ行った。
「……あくび見たら、もう寝るかって声かけそうになった……。無言で風呂に連れていくルルルフの圧すげぇな」
「きっちり」
=˘꒳˘ =˘꒳˘ =˘꒳˘ =
そして風呂から出ると、モクレンがルルルフを、ゴルーダがナナヤをタオルドライしてくれる。
「ニャニャー、ニャー」
ゴロゴロ喉を鳴らして、タオルドライを受け入れるルルルフ。モクレンの拭き方はとても心地がいいようだ。
「ミャミャミャミャミャミャミャミャミャミャーーーー!!」
一方のナナヤ側は喉が鳴るどころか、悲鳴が上がる始末。
いつものことなので誰も気にしない。
「……目が覚めたミャ……」
ナナヤはポカポカお風呂でさらに眠気が増えたところに、ゴルーダのタオルドライ(ターボ)が入り、眠気どころではなくなった。
一方のルルルフは気持ちいいタオルドライに船を漕ぎ出し、さっきとは逆になる。
「ナナヤも、モクレンにふきふきしてもらいたいミャー!」
「ゴリ、ルルルフだめ」
モクレンの短い言葉にハッと覚醒するルルルフ。
「それはイヤニャ」
「ゴリじゃねぇ」
「ま、そらそーミャろな」
モクレンは「ゴルーダが拭くと、ルルルフが死ぬ」と言っているので、ナナヤ・ゴルーダは納得だ。
「モクレンのふきふき、子守唄みたいだニャ〜」
「今度、拭いてもらおって思ったけど、ナナヤ明日出発ミャ。しばらくお預けミャね」
「次のお楽しみ」
「そうするミャ」
お風呂も入り、歯磨きもして、荷物もまとまっている。
あとは寝るだけ。ルルルフの部屋にあるベッドで、ふたり丸まってくっついて眠りに入った。




