ピクニック ▶︎初時忘れ草
「じゃあ、ハンターさんが拾ってきたのも……」
「多分、偶然見つけたのと、草の形を知っていたからだと思いますニャ。ついでにその絵、ルルルフが知ってるのとちょっと違いますニャ」
欲しい素材は、自分で取りに行くことも増えたけれど、今度の欲しい素材は難易度が高そうだ。
どうしようと、ホルスは眉を下げる。
「ルルルフ、明日ピクニック行こうミャ」
突然、ナナヤから遊びのお誘いが入る。今はそうじゃないだろうと思って声を上げようとしたら、ナナヤは言葉を続けた。
「ホルスにお弁当作ってもらって、ピクニック行こうミャ」
「「え?」」
ここで、またもそうじゃない。な言葉と思われるものが出てくる。が、ルルルフは気づいた。
「そ、そうニャね!! それがいいニャ! ホルスさんとピクニックして、お弁当食べて草原や森で、素敵な草なんか見つかっちゃったりするかもしれニャいよね!」
「なんミャっけ……落ち葉のクローバーミャっけか??」
「それは、四葉のクローバーニャ。ルルルフ、よくクローバー見つけるニャ」
ホルスはびっくりして目を見開き、ナナヤとルルルフを交互に見る。
「ちなみに……ちょっと前にホルスの護衛した時、ホルスが作った弁当がめっちゃ気になってたミャ。で、ナナヤ食べてみたいんミャ」
「ピクニックにお弁当は必要だニャ!」
ナナヤが護衛、ルルルフが素材探索・採取、ホルスが食事提供。これで時忘れ草の採取・護衛を受け持つということだ。
あえてダイレクトに言わないのは、ハンターギルド所属の状態で、ギルドを通さずに護衛を引き受けるということを、周りの誰かに聞かれてしまっては、後で怒られる可能性があるのだ。
そのため、ピクニックに行きたい、ご飯を欲しいとおねだりをしているナナヤ。
「そ、そうだね。早朝からいいかな? 絶景スポットを知っているんだ!」
「早朝! それは素敵ですニャ! きっとホルスさんはすんごい絶景スポットを知っている気がしますニャ! 楽しみニャー!」
道ゆく人には、遊びに行く話をしているように見える様を装う。
家政カーチェも同様で、休日に友人宅の家事のお手伝いをするのを聞かれたりすると、厄介な人が嗅ぎつけるかもしれないので、なるべく誤魔化した表現をするそうだ。
「そんじゃ、弁当頼むミャ。ホルスの弁当食ってみたいミャ」
狩猫として護衛を引き受けてお金をもらうよりも、ホルスの弁当を食べられそうな機会を狙っていた雰囲気であるナナヤ。
ルルルフはそれを察するが、ホルスはまだナナヤの性格をそこまで把握していないため、護衛を無料(ご飯のみ)で引き受けてくれる優しさを見せてくれたと勘違いしている。
「わかったよ。それじゃあ早朝になるけど、待ち合わせは西門で」
「オッケーミャ」
「はーいですニャ」
=・ω・=・ω・=・ω・=
「ホルスのべんとっ♪ おべんと♪ 楽しみだミャー」
翌朝の早朝、寮を出たナナヤとルルルフ。
ナナヤは本当に弁当が楽しみで、スキップしながら小声で歌っている。
「そんニャに気になってるのニャ?」
採取用の道具をしっかりと持ったルルルフは、ナナヤの浮かれっぷりがいつもと違うため、ちょっと自分も楽しみになってきている。
「ミャ! なんかすげーのミャ!」
ざっくりすぎてわからないので、お昼を待つことにする。
朝ごはんは採取用のカゴにサンドイッチを入れてあるので、ホルスと合流したら現地に向かいながら食べようと思っている。
そしてお昼ご飯を、今から待ち遠しく思いながら西門へ足を進める。
「おはよう」
「おはよーミャ!」
「おはようございますニャ」
合流し、採取情報が提供された場所へ向かう。
途中でルルルフは足を止める。
「どしたミャ?」
「時忘れ草の匂い、あっちからもするニャ」
ルルルフは道なりに歩いている最中、道を逸れて草むらへ入っていった。
ナナヤとホルスもそれに続くと、辺りはわっさわっさと雑草が生えている。
「あったニャ!」
ナナヤの背丈を超えるほどの草が生い茂っている場所まで来ると、ルルルフは草に埋もれてしまっている。
しかし、ナナヤが音の方向をきちんと聞き取り、草をかき分けて歩いていくと、ルルルフがちょこんと座っていた。
時忘れ草をホルスへ見せるように、周りの雑草を手で押さえて座っていた。
「これが……」
いつもは粉の状態で見る草。自分のその目で初めて見ることができた。
「時忘れ草は、葉っぱが劣化遅延、茎がお茶、根っこは煮物で食べるといいですニャ」
無駄にする箇所がないらしい。ほほうと感心の息を落とすホルス。
「ニャので、根っこもきちんと掘り出しますニャ」
採取カゴに入っているスコップを取り出して、周りの雑草を抜き始めるルルルフ。
「ずいぶん広い範囲の雑草を抜くんミャね」
ルルルフの真似をして、雑草を抜き始めるナナヤとホルス。
「すぐにわかるニャ」
時忘れ草から半径25センチほど、周りの雑草を取り払った。
そして、土が見えているエリアを、外周からルルルフは手で掘り始めた。
「え、す、スコップは!?」
せっかく取り出したスコップを使わないため、ホルスは声をかける。
「ルルルフとナナヤは、手で掘ったほうが早いんですニャ」
スコップは人間用のようだ。ひとつだけあるスコップはホルス用だと告げられる。
草を3人で囲むようにしゃがみ、各々掘り出した。
「ナナヤ、そこは今の深さでストップニャ」
「わかったミャ」
パワーがあるナナヤは掘る速度も速い。ルルルフからストップが掛かったので、他のエリアも掘る。
「ナナヤがいると速いニャー。ありがとうニャ」
「多分、ナナヤにできるのここまでミャ。あとは繊細な掘り作業な気がするミャ」
「そうニャ」
「んじゃ、ナナヤはその辺にモンスターいないか、見てくるミャー!」




