憧れのビジュアル ▶︎不思議アイテム
「あ、そうだ。ルルルフ、あの卵」
パッとルルルフへ顔を向けるゴルーダ。
たまご、でルルルフに通じるものは『たまごさん』である。ルルルフからアレやコレやと詰めるのも違うと、ゴルーダから聞ける日を待っていた。
「あ、たまごさん! 帰れたニャ?」
「あぁ、無事に故郷へ帰って、元気に転がっているぞ」
「よかったニャー」
この国を離れるときに、たまごはジタバタ暴れたが、ゴルーダは「元気に孵ったら、ルルルフのところに遊びに行けばいいだろ」と伝えると、おとなしくなったそうだ。
あと何年たまごのままなのかは、誰にもわからないけれど、いつかルルルフのところへ会いにくることだろう。
「ニャ〜……たまごさんが会いにきてくれる頃には、ルルルフはオトニャにニャっていて、たまごさんがルルルフを見ても、わからニャかったらどうしようニャ〜」
ルルルフは、自分の将来像をパイセーンみたいな背が高く、手足もスラリと長く、キリッとした雰囲気で浮かべているようだ。
パイセーンは、ヒトヘビ族の血が入っているのもあり、シュッとしているが、見た目はカーチェなのでルルルフは身近なかっこいいカーチェと認識して頭に浮かべており、自分の将来を重ねて妄想してしまう。
「俺の予想では、ルルルフはあと頭ひとつ分デカくなったあたりで成猫になる気がする」
ゴルーダは、ルルルフがそこまで大きくならないタイプと予想した。
「同じく」
モクレンも同じく、ルルルフは小さめを予想。
「ニャー!? ルルルフ、ちゃんと食べて寝てしっかり健康管理してるニャ! 大きくニャれる!」
思っていたよりも大きくなっていない予想を立てられて、ルルルフは慌てて、もっと大きくなれる予想をしてもらいたいのか、きちんと規則正しく生活をしているので、成長を阻害するような生活はしていないことをアピールする。
ただの予想ではあるものの、多くのカーチェを見てきているのもあり、特に別種との混血でもなさそうなルルルフは、カーチェらしい成長をして成猫になる気がしているようだ。
「じゃあ、ナナヤはあと頭半分くらい大きくなったら、成長止まるミャんか!?」
「ナナヤは〜……アネイゴより頭ひとつ大きいくらいになる気がするぞ。あくまでも俺のカンだが」
ルルルフ、ナナヤの両親のことを知らないため、勝手な予想であることもきちんと告げるが、ルルルフとナナヤ自身も親の大きさを正確には知らないため、どこまで大きくなるかはよくわからないそうだ。
「も、もしかしたら、ルルルフだってパイセーンより大きくなるかもしれニャいことだって……」
「「「ない」」ミャ」
3ゴリトリオから否定の言葉が入った。
パイセーンは特殊であることを、ゴルーダが丁寧に説明してあげる。
「ルルルフ、村のおとなたちを思い出すミャ」
ナナヤが言う言葉に、ルルルフは記憶を手繰り寄せる。
1番大きいカーチェは、縦の大きさはパイセーンに及ばず、横の大きさはパイセーンの2倍くらいあった。ずんぐりという言葉が似合うカーチェが、頭にぽやんと浮かぶ。
他のおとなも、アネイゴくらいの大きさな者が多かった記憶だ。
そして、体型はほぼみんな同じような感じで、かっこよくスラリとしたカーチェはいなかった。
「多分、ルルルフもナナヤも、村のおとなとおんなじよーな感じになると思うミャ」
「ニャー……」
耳が折れるくらいしょんぼりしてしまうが、ふとゴルーダを見るルルルフ。
「…………ルルルフ、ニャんの変哲もニャいカーチェでいい気がしてきたニャ!」
「なんで俺見て言った!?」
ゴルーダは背が高いけれど、筋肉もりもりで知らない人が見たら、威圧感がありちょっと怖いのだ。
警戒されることが少ないカーチェらしいカーチェでいることの方が、周りの人を怖がらせることがなさそうで、そっちの方がいいと判断したルルルフ。
憧れはあるものの、見た目よりも技術を磨こうと拳を握る。
「しかし、パイセーンに憧れるカーチェって多いよなぁ」
「そうなんミャ?」
「むしろお前は憧れてないのか?」
いろんなカーチェと顔見知りなゴルーダたちは、話を聞いていて感じたことを述べる。
「別におもわミャーよ。パイセーン、ナナヤのハンマー持ち上げられミャーし」
「あれは重すぎるっつーの」
一緒に狩りをしたので、ナナヤが使う武器も知っているゴルーダたち。
ナナヤの憧れの基準はハンマーなのか? とゴルーダが苦笑いをする。
「あのハンマーが、いちばん狩りしやすいミャ」
「ナナヤ、結構怪力」
その会話を聞いて、ルルルフは首を傾げる。
「ナナヤがそんニャハンマーを、持って帰ってきたことニャいよね??」
「そりゃそーミャ。ハンターが使えるアイテムボックスにしまってるミャ」
ハンタータグを使うと、なぜか中身がその人の持ち物になる箱が、ハンターギルドや、街の関連施設に置いてあるらしい。
ハンターではない一般人らは、使えない事を教えてもらった。
「ハンター、狩猫、サポ猫のハンタータグを持っている奴らが使えるんだ」
「初めて知ったニャ」
ハンターには、色々不思議アイテムを使える権利が与えられているらしい。
「あニャ?? すっごく便利そうニャお箱があるのに、どうして前のお家は散らかっていたニャ?」
もっともな疑問を投げかけられて、ゴルーダは慌てて答えてくれた。
「壊れた武器は、アイテムボックスに入らないんだ! 入れるのがめんどくさかったわけじゃ無いからな!」
「女神の祝福」
モクレンの単語が全く理解できないルルルフは、首を傾げた。




