連休明け ▶︎ナナヤ
お休みが終わるのはあっという間。
今日から再び、各々の仕事へ向かう日だ。
身支度をして朝ごはんを食べたら、総合カーチェギルドへ出勤。
そこからルルルフは家政カーチェギルドへ、ナナヤはハンターギルドへ足を向けた。
「おはよーミャー」
ハンターギルドの建物に入って挨拶をすると、パイセーンがいた。
「おはようニャッチ。ナナヤ、そろそろ見習い卒業するニャッチ」
「ミャ? ナナヤまだこどもミャ。見習いのままの方がいいミャ」
成猫になるには、後2年くらい必要だ。ちょっと身長が伸びても、まだ仔カーチェである事には変わりない。
「どこの世界に、大型を単独討伐できる見習いがいるニャッチか」
「運がよかっただけミャ」
「大型モンスター討伐してる時点で、見習い・銅ランクってのは無理があるニャッチ」
しれっと気軽な立場のままでいようとするナナヤ。それを見破っているパイセーン。
「アネイゴさんに、ランク上げの監督してもらうニャッチ」
「やーミャー! 銀ランクになったら、報告書の枚数増えるから、いやミャー!!」
本音が聞けた。
ランクが上がれば、もっと報酬の高い依頼も受けられるというのに、銀ランク昇格への拒む理由を聞けて、パイセーンは脱力する。しかしナナヤらしい理由でもあるので、納得もしてしまう。
ナナヤはクエストボードの方へ走って行った。
「ミャ?」
クエストを受けようと思ったが、見知った顔を発見するナナヤは足を止めた。
とてとて近寄って、ご挨拶だ。
「おはよーミャ」
「あ、ナナヤさん。おはようございます」
「ナナヤでいいミャ。ホルスもクエスト受けに来たミャ?」
カーチェサロンの店員さんであるホルスがいた。
「ううん、私は護衛を依頼しに来たんだけど……どう依頼すればいいかわかんなくて」
クエストボードを見て、依頼の仕方を勉強しているらしい。
「どっか行きたいんミャ?」
「うん。この街と北の街にある間の山で、薬草の採取をしたいんだ。あそこはモンスターがかなり出るので、護衛を雇わないといけないと思って」
「ナナヤが一緒に行ってもいいミャよ。ナナヤ、見習いだからお安い料金でお得ミャ」
モンスターもひとりで倒せる話は、カーチェサロンで聞いたし、この国1番のハンターたちと、半年もパーティーを組んでいた実績もあるナナヤ。
モンスターも怖がらない狩猫だ。そして、お安い。
「お財布が助かるのは嬉しいけど、ナナヤの報酬が少ないんじゃない?」
「別にいいミャ。ナナヤお金目当てで狩猫してるわけじゃミャーし」
だからと言って、ボランティアをするわけではない。ギルド所属の狩猫でもあるので、きちんとギルドを通してのお仕事依頼なら受けると伝える。
「それじゃあ、ちょっと甘えちゃおうかな」
「狩りは任せろミャ!」
顔見知りということで、気さくに引き受けたナナヤ。
ホルスも、お財布の冷え方が少なくてありがたいと胸を撫で下ろす。
「ホルス、金ないんミャ? カーチェサロンで働いてるミャろ?」
「あっちは副業。本業は薬師なんだ。薬を作るのもお金がかかるからね」
材料を採りに行くのに護衛を雇うか、採取依頼をかけるか、になると教えてもらった。
採取依頼をした場合、品質が悪い場合もあり、赤字になってしまうこともままある。
なので、護衛を雇うのがいいけれど、身の安全のためにお金の出し惜しみはできないため、それなりに高額になる。
「んじゃ、ナナヤがピッタリミャね。きちんと大型モンスター倒せるから安心してミャ」
「でも、なんか悪いような……」
安く済むには嬉しいが、申し訳なさもある。
「出るかもわかんミャいモンスターのために、お金たくさん使うのもアホらしーミャろ」
「まぁ、それは……」
護衛は何を倒そうが、何も出なかろうが同じ料金である。
出た時のために、高め料金に設定されているから、1度の出費はなかなか厳しいものだったりする。
「カーチェは人間よりお安いお値段設定ミャから、近場の護衛なら狩猫がおすすめミャ」
ゴルーダやモクレンと行ったクエストは等分だったが、それはナナヤがきちんと1ハンターとして活躍していたからのことだ。
サポ猫だと討伐補助になるので、取り分は下がることもある。一緒に組むハンター次第でもあることを教えてもらったので、ナナヤもそれを伝える。
=・ω・=・ω・=・ω・=
山にやってきたホルスとナナヤ。
木が生えているところ、岩肌のところ、さまざまな場所へ。ナナヤにこの草はこういう薬になるんだよ、と説明もしてあげる。ナナヤは3種類目を超えたあたりから、覚えられなくなったが。
ひとたび外に出れば、小型モンスターに分類されるものですら、戦闘能力がない一般人には脅威となり得るが、ナナヤはビンタで追い払う。
「すごいね……」
「あいつら狩っても、素材しょぼいし、報酬出ないミャ。狩った後、別のモンスターににおいを嗅ぎつけられても面倒ミャから追い払うミャ。お薬になる素材なら狩るから教えてほしーミャ」
ビンタ、といっても爪を出しているので、半分引っ掻いている状態の凶悪ビンタだったりする。小型モンスターは少し怪我をしたら、逃げ去ってくれるため、追い払いやすい。
モンスターが出るところの草や木の実の採取は、手付かずの自然状態なことが多いので、のびのび育っていて、質の良いものもあり、思っていた以上の品をたくさん採れてホルスは満足げだった。




