連休明け ▶︎ルルルフ
ナナヤと別れ、家政カーチェギルドに出勤したルルルフ。
「おはようございますニャー」
「おはようにゃーよ」
「おはよーにゃぐ」
「おはおはにゃにゃん」
この間、指名依頼が来てないかを真っ先に見てから、フリー依頼の確認をしろと言われたので、ルルルフは自分への指名依頼がないか確認。
「今日の指名依頼はニャし! 今日のフリーは〜」
確認が終わったので、今日のお仕事を探そうとしたら、アネイゴから肩に手をポンと置かれた。
「ルルルフ、アンタにゃーにしたの?」
「ニャ?? 思い当たる事柄は、何もニャいですニャ」
アネイゴは、だらしなさの代名詞であるゴルーダが家政仕事の依頼をしにきた事や、他のお片付け屋さんや家政屋さんにも話が行っているので、今各界隈がザワついているらしい事を教えてくれた。
「あのだらしにゃーゴリが、依頼自体するって天変地異でも起こりそうにゃーよ」
「一昨日遊びに行って、ルルルフの知ってることをお伝えしただけですニャ」
しかし、それだけで動くものなのか……とアネイゴは疑問に思いつつも、実際に動いたゴルーダ。
トップハンターということもあり、精鋭チームを組むために動いているらしい。
家も綺麗になれば、きっともっと狩りにも精を出すだろう。と、ようやく生活を整える様を見せたことに、気合を入れる面々もいるのだとか。
「不思議ですニャーね。そんニャ渋ってる感じじゃニャかったので、今までどうしてやっていニャかったんでしょう」
「そこがあたいも不思議にゃーよ」
そして、ルルルフはその精鋭チームには入らない。
引越し後の通いカーチェとして選ばれていた。
「多分、掃除全般、買い出しなどの家事のはずにゃーよ。コックは別で雇うって言ってたにゃー」
「わかりましたニャ」
「んで、ルルルフはお使いの家政仕事を増やしておくにゃーよ」
「はいですニャ」
まだ、お店を網羅しているわけではないので、先輩カーチェについて行って覚えたり、単独で行ってお使いをこなしたりと、街を動く仕事の経験を増やすことになった。
前までのお仕事と違う流れになり、ワクワクしているルルルフ。
意欲の高いルルルフへ、アネイゴも笑顔を見せる。
そして、ゴルーダ一行がお家を綺麗にするきっかけとなったルルルフは、気づけば胴上げされていた。
今まで家政屋さんやハンターギルドのお偉いさんなどなどが、どんなに伝えても改善しなかった生活態度が、改められていると思われる様子に、以前から彼らを知る人たちには、驚きを隠せない事柄らしい。
=・ω・=・ω・=・ω・=
——ゴルーダたちが住んでいるチームハウス
「意外」
ポツリと紡がれた言葉。モクレンからのものだ。
「だってよぉ、あんだけ丁寧に一生懸命説明してくれて、何も動かないってわけにもいかねーし」
「カーチェに弱い」
ニヤニヤと口元を緩めるモクレンに、少し頬が赤くなるゴルーダ。バリバリと頭を掻いて、否定の言葉は出せず黙る。
ルルルフは覚えたことを、組み立ててわかりやすく一生懸命自分の言葉にして、説明してくれた。
その姿に胸を打たれたのもあり、ゴルーダは片付けを決めた。今まで誰に言われても、やらなかったけれど。
「仕方ねーだろ。カーチェ、しかも仔カーチェ。こどもには大人の酷い面見せたくねぇよ」
すでに見られているが、それを改善しようと必死に説明してくれたルルルフ。
「ルルルフ、可愛い」
モクレンも、ルルルフの丸さと手触りが好きなので頷く。もちろん、彼の人柄ならぬカーチェ柄も好ましく思っているが。
生活面ダメダメ大人といえども、こどもにはヒーローな扱いを受けているハンターとして、やはりしっかりした大人であろうと襟を正すきっかけになったようだ。
=・ω・=・ω・=・ω・=
「とりあえず、今日は普通にフリーの家政仕事に行ってほしいにゃー」
「わかりましたニャ。えーと、朝イチでお掃除、お昼にお買い物、その後別のお家でお掃除で大丈夫ですかニャ」
指名カーチェのないフリーの依頼で、希望時間が書いてあるものを朝・昼・昼のあとあたりの依頼書を手に取る。
自分ができる範囲の仕事内容か確認して、先輩カーチェに自分が取っていい仕事かも確認する。
馴染みの人がいるならば、なるべく勝手がわかるカーチェのほうがいいので、持ち回りでなんとなく決まっている人もいる。
指名をしてくれればいいと思いつつ、人気カーチェは予約待ちになることもあるので、猫の手がそれなりに早く欲しい人は、指名を諦める場合もあることを教えてもらった。
アネイゴは昼のあとにある依頼書を指差した。
「この依頼人、気をつけにゃーよ」
「ニャんでですか?」
カーチェギルドに頼むことは点数的にできていても、用心する客もいるので、アドバイスを先輩カーチェはしてくれる。そのため、事前に周りに確認することも、見習いにとってはとても大事である。
「カーチェのしっぽを触りたがる人にゃーよ」
「んニャ?? ルルルフは特にしっぽ苦手とかニャいですよ?」
「この人腰悪いにゃーよ。ルルのしっぽは短めで、無言・無断で触ろうとしたら腰を曲げないといけないから、グキってやっちゃうかもしれにゃーわ」
「わかりましたニャ。お腰痛めさせないように、しっぽ気をつけますニャ」
カーチェによってはしっぽ触られるのが苦手なコもいるし、平気なコもいる。
無言で触ってしまう人もいるので、苦手なカーチェは即NGを出すらしい。
カーチェは仔カーチェ・成猫ともども撫でられやすいので、撫でが苦手なカーチェは大変だろう、ルルルフは知らぬカーチェへ同情の気持ちを出しつつ、依頼人の腰を守るために、今日はしっぽに気をつける日、と自分に言い聞かせ鼻息をふんすと吐いた。




