散歩 ▶︎手土産
公園の散策をしつつ、お昼ご飯を出店の物で済ませてしまった。
1周する頃には、昼と夕方の間くらいの時間となり、入り口に戻ってきたところで、モクレンとはお別れだ。
「そんじゃ、明日朝ごはん食べ終わったら、遊びにいくミャー」
「待ってる」
「よろしくお願いしますニャ」
「うん」
モクレンはチームハウスに帰って行った。
「ところで、チームハウスってニャんニャの??」
「ハンターは基本個人活動ミャ。けど、ハンターギルドにパーティー登録をすることもあるミャ」
ナナヤは、ソロ狩猫として登録されている。
パイセーンはソロサポ猫だと教えてもらう。
モクレンとゴルーダは、パーティー登録をしていて、トップハンター同士ということもあり、難しいクエストの指名依頼が、パーティー単位で来ることもあるらしい。
「んで、パーティーを組んだ者同士が住む寮みたいなお家が、チームハウスっていうミャ。住んでいる場所を、ギルドに登録するんだミャ」
街から街へ流れるハンターには適用されないものの、ゴルーダやモクレンのような虹星ハンターは、街に立ち寄るたびに、ギルドへどのくらいその町にいるか、次はどこそこへ向かう――など、場所を報告しているそうだ。
「家政カーチェだと『班』が、パーティーみたいニャ感じかニャ〜」
「班がよくわかんミャーけど、きっとそんミャ感じ」
「たくさんお仕事があるお家からの依頼の時は、掃除特化の班を組んでとか、掃除・炊事・洗濯で役割分担をできる班を組んだりするニャー」
テキトーに返事をするナナヤだが、家政カーチェで考えると、近いものがあるので、ふたりともなんとなく察した。
「パーティーがいくつか集まると、チームって名前がつくミャ。あいつらチーム組んでミャーけど」
トップハンターということもあり、チームハウスを持っている。
他のパーティーと組む必要はないから、一緒に行動する協力関係にあるパーティーはいないし、チームを結成することもないそうだ。
「ゴリとモクレン以外に、パーティーメンバーはいるみたいミャけど、今は別の国に行ってるらしいから、ナナヤも会ったことないミャ」
「ニャー……。トップハンターさんの事情知ってるって、ニャんかカッコいいニャ」
「ギルドで教えてもらったミャ」
本人たちから聞かされた、内緒な項目――ではなかったらしい。
寮に帰る途中でルルルフは、明日の手土産を買いたいと言う。
「そんミャの、あいつらには、いらミャーよ」
「ルルルフは、ほぼ初めましてだから、ちゃんとしておかニャきゃだめニャ」
お友達はナナヤであって、ルルルフはまだほぼ他猫である。礼儀を欠く真似をするのはよくないと、もともとの真面目さを発揮する。
ルルルフなりの線引きとマナーなのだろうと、ナナヤは納得した。
「んじゃ、ナナヤも買っていこミャ」
そして、ルルルフと商店街まで歩いてくると、ナナヤはクンクンと鼻を動かし、匂いを探り、歩き出す。
「ナナヤ、どこに行きたいのか言ってニャ。大体のお店わかるニャよ」
「魚屋さんだミャ」
「こっちニャ」
ルルルフにナナヤは手を引かれながら連れられて、魚屋へ到着する。
「どれにするのニャ?」
「オニシンとキンキンキンキの干物ミャ」
酒のツマミである。二日酔いになっていた人がいたところへ、持って行っていいのだろうかと、ルルルフは困惑していると、ナナヤがため息ひとつ落とす。
「ゴリはツマミ食わずにひたすら飲むから、二日酔いになるんミャって、モクレンが言ってたミャ」
「食べ物あった方がいいニャよね、それは……」
結構たくさんの干物を買って、寮へ配達してもらうよう手続きをするナナヤ。
魚屋を後にして、商店街を歩く。
「おさかニャ屋さんに、干物もあったのは知らにゃかったー」
家政カーチェの仕事では、買ったその日に調理することになるため、干物を買ったことはなかったルルルフ。
もちろん、仔カーチェに酒のつまみを買って来させるお仕事は、受け付けていないのもあり、干物を売っていることを知らなかった。
新しい事を知ることができたルルルフは、ニコニコしている。
「ナナヤ、よく知ってたニャね」
「ゴリとモクレンが教えてくれてたミャ。王都の魚屋さんの干物はとっても美味ゃーって」
おとなの食べ物・飲み物には触れる機会がないルルルフは、新しい事を覚えたものの、アネイゴに覚えたことを伝えていいのかは、よくわからない。
意図的に、おとなが扱うであろう品に、触れさせないよう動いてくれている面を、ほんのり察していたからだ。
「あ、ルルルフは、ここのお店のフィニャンシェにするニャ」
「いい匂いするお店ミャね」
ルルルフも目当ての店を見つけて買い、明日の手土産は準備できた。
買い物を終えたので寮へ戻り、明日へのワクワクを語り、ご飯を食べてお風呂に入って眠った。
=-ω-=-ω-=-ω-=
翌朝、起きて朝ごはんを食べたら、お出かけ準備だ。
ブラッシングをして、身なりを整え、服を着て身だしなみチェック。
「たぶん、大丈夫ニャ……!」
「ミャ!」
「ナナヤ、寝癖残ってるニャよ!」
「ミャ?」
腕を見ても寝癖は無いし、顔を触ってみるも、それらしいハネっ毛の手触りはない。
首を傾げていると、ルルルフはナナヤの後頭部にブラシをあてる。
「ここは、見えミャーよ」
「ニャんか、オシャレカーチェは、鏡台を持ってて、合わせ鏡ってので、後ろもチェックするみたいだニャ」
「オシャレカーチェじゃミャーナナヤには、必要ないミャね」
「鏡台持ってニャくても、頭の後ろはブラシで梳かしてニャ」
これで身だしなみはオッケーである。
なので、ルルルフは昨日買った焼き菓子を持ち、ナナヤは干物を背負子に入れて、寮を出た。
お友達のお家訪問開始だ。




