表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/41

トリミング ▶︎毛パック


「さ、ここからが本番ですよ」


 トリマーのホルスはちょっとだけイタズラっぽい笑みを浮かべ、取り出したのは荒歯のクシ。

 1本1本の歯が太く、隙間も大きいタイプで、そのクシをナナヤに当てて滑らせる。

 滑り終わったクシには、もっさりとナナヤの毛がついていた。


「すごいニャ!!」

「ミャ??」


 梳かしたのはナナヤの背中なので、ナナヤには見えていなかった。

 ホルスはひと撫でしたクシをナナヤに見せると、ナナヤも驚いた顔をする。


「ナナナナ……、ナナヤの毛が!!」

「すでに切ってある毛だから大丈ですよ」


 トリミング初心者カーチェあるあるなのか、ホルスは落ち着いて答えている。

 クシをかけ終わると、床には更に毛が落ちていた。

 荒歯のクシをかけ終わると、中歯のクシに変え、また梳いていく。


「ナナヤ、すごい毛がいっぱいあるミャ……こんだけ落ちてるのに、ふつーにナナヤには生えてるミャ……」

「ほんとニャね……ルルルフがこのくらいの毛を落としたら、毛がなくなりそうニャ」


 集めたら、半分サイズのナナヤができそうな毛の量に、ルルルフは自分の腕の毛を眺めてポツリと言う。


「ルルルフくんは、毛を伸ばしたいの?」


 ホルスが訊ねると、ルルルフは「ニャー」と考えた後、ナナヤを見る。


「このままがいいですニャ……。毛のカットとか大変そうニャ」

「ナナヤもこんな風にしミャーといけないってのは、知らなかったミャ」


 ある程度、クシで梳かし終わると、ホルスはナナヤとルルルフから見える位置に座って、ひとつの道具を見せる。


「こういう、クシとカミソリが一体になった道具を使って梳かすと、毛を刈りながら梳かすことができたりして、長毛だけど短いのが好きなカーチェは使っているんですけど……」


 クシの持ち手にあるボタンをスライドさせると、クシの歯と歯の間から、カミソリが出てくるアイテム、コームシェーバーなどとも呼ばれるものを見せてあげると、ルルルフとナナヤは飛び上がって驚いた。


「ギャニャー!!!」

「凶悪なクシすぎミャー!!」


 予想通りの反応に、ホルスは眉を下げつつ、クシをすぐしまう。


「ね、怖いでしょ、これ」

「怖過ぎミャ」

「あ、でもルルルフは、大きニャモンスターの牙や爪の方が怖いニャ」

「あんミャのぶっ飛ばせばいいミャ」


 大型モンスターにも物怖じしないナナヤだが、コームシェーバーはダメなようだ。


「え、ナナヤさんは、モンスターが怖くないんですか?」


 ホルスはそこに驚いてしまったし、ルルルフもモンスターは怖い。


「ナナヤ、狩猫ミャ!」

「すごいですね!!」


 自分より遥かに小さい、しかも仔カーチェであるナナヤだが、モンスターを怖がることはない姿に、ホルスは感嘆の声を上げる。

 だが、ここには客としてきてもらっているため、話を色々聞いてみたいと思ったけれど、ホルスは手を止めずに、仕事を続ける。


「もう一度シャンプーをして、毛の中に残っている切った毛を洗い落としますね」

「ミャ!」


 カットとシャンプーが終わり、更にスッキリサッパリを体感するナナヤ。

 2回目のシャンプーでもそれなりに毛が流れ出て、ルルルフと共に目を丸くしていた。


「さ、次は毛パックですね。ルルルフくんお待たせしました」

「いえいえですニャ。カットの様子を見れて楽しかったですニャ」


 ナナヤはタオルの上に座って、ルルルフを眺めている。

 毛パックのために、表面の汚れを落とす。軽いシャンプーをしているようだ。


「ルルルフには説明しミャーのね」

「ルルルフくん、毛パック常連さんなんですよ」

「おしゃれカーチェすぎミャ」

「ナナヤも毛パックしてみたら、わかるニャ」


 そして、毛をタオルドライした後、奥へ行くと、フチがついたベッドのようなものがあり、ルルルフは台を使って登り、中に入り座る。

 ナナヤも同じように、フチありベッドの中に入った。


「毛パックしますねー」

「ミャ」


 泥のような粘土の、白いクリームが顔の周り、耳の後ろ、腕やお腹、足やしっぽ……目と鼻と耳と口を避けて、全身に塗られた。

 ルルルフも同じように塗られた。そして、ルルルフは寝転がった。

 ベッドのようなものなので、頭を乗せる台があって、そこを枕のようにして横になる。


「はい、流し入れますねー」

「はいですニャ!」


 ルルルフがいるベッドに、塗られた泥と同じようなものが流し入れられる。

 ナナヤも同じように、泥風呂ベッド状態になる。


「ミャ……泥の重みがお布団やお風呂と違っていて、不思議ミャ」

「この泥、ちょっとあったかいニャん」

「ほんとミャ! 感触に驚いてて気づかなかったミャ」


 ポカポカな泥に包まれているうちに、ウトウトし始めたルルルフとナナヤは、5分後には眠ってしまった。



=-ω-=-ω・=・ω・=


 わしわしと体を揉まれる感覚が伝わり、ルルルフは目を開ける。

 ホルスの手により、マッサージがされている。


「至福ですニャー」

「最近、ルルルフくんに家具修理してもらってる分、しっかりほぐさないと」

「それは、お仕事ですニャーよ」


 ほのぼの、わきあいあい。そんな言葉が似合う空間である。

 ルルルフもホルスもニコニコして、穏やかな時間が流れる。


「マッサージ気持ちいいですニャ〜〜あぁ〜」

「うらやミャ」


 ナナヤが瞳孔をまるまると開いて、ガン見していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ブラッシングシャンプーの時も泥パックな今回も、2人は水着も何も無しな裸なんだよね…? 子どもだから恥ずかしいとか思わないのだろうか。普段服を着る文化が有るカーチェの羞恥ポイントが地味に気になりました。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ