ナナヤ ▶︎モゴモゴ毛玉
「ひっさしぶりに見たミャ!! ムキムキ物!!」
「……無機物」
ナナヤが初めてやってきたニンゲンの街。初めに見た石の塊が視界に入る。
街を離れて、街から村へ村から町へ。町から村へ……あっち行きこっち行きしていたゴルーダ一行。
やっと、この街に帰ってきた。
「よーし、とりあえず一旦ギルドに報告して、パーティー解散だ」
「オッケーミャ」
ナナヤは見習いということで、正式なお連れカーチェにはなれない。報告完了後は、また各々のハンター・狩猫ライフに戻る。
「この街に俺らの拠点もあるから、遊びに来いよな!」
「ミャ! 遊びに行くミャ!」
お別れがもうすぐであるが、しんみりした空気は流れていない。
「報告」
モクレンは少し表情が沈んでいた。
「ミャー? どしたミャ?」
「報告なんていつも通りにすれば……なぁ?」
「ミャー」
モクレンは、ぼそっと言う。
「半月の予定……」
「あっ!!」
ゴルーダは理解したようで、やべっと口から漏れる。
「ミャー???」
ナナヤはさっぱりわからず、ゴルーダの肩車位置で首を傾げる。
「いや、ナナヤを半月だけ、お連れカーチェとして連れて行くって話だったんだよな……」
「そーいや、そんなことモクレンから説明受けたよーな?? ぼんやりミャーね」
「半年経過……」
モクレンの短い言葉だったが、ナナヤもしっかり理解した。
「……おミャーら、怒られとけミャ」
「さ、流石に怒られることはねぇと思うけどよ」
「虹色特権」
そんなこんないいつつ、門番にハンタータグを見せて、街に入る一行。
ハンターギルドに行って、ここに来るまでの道中で、こなせそうなクエストを終わらせた報告もする。
「それにしても、長かったですね。トラブルでもありました?」
受付嬢の言葉に、ゴルーダとモクレンは目をそっと逸らす。
あまりにも期間が長かったから、かかった言葉である。
「こいつらが、だらしミャーだけミャ」
「あ、そうですね。わかりましたー」
受付嬢も納得の状態に、ゴルーダとモクレンの顔は渋いものとなるが、特に怒られる雰囲気でもないため、お連れ契約を終了させて、また各々のハンターライフに戻る……
「勝手に解散するなニャッチ……。まだ説教が終わってないニャッチよ」
つもりだったが、そうはいかず。ドス重い声が、ゴルーダとモクレンの後ろから響く。
「あっ、パイセーン! 久しぶりミャ!!」
「おう、ナナヤ。背が伸びたニャッチな。こいつらの説教を始めるから、だらしないとどうなるか見せるから、奥の貸室に行くニャッチよ」
「わかったミャ!」
=・ω・=・ω・=・ω・=
ゴルーダとモクレンが正座にてお説教を受けていて、ナナヤはネコウチャを飲みながら見物している。
そして、不意に部屋の扉が開いた。
「ナナヤ、帰ってきたにゃーのね!」
「おかえりニャー!」
アネイゴとルルルフが報せを受けて、ハンターギルドにやってきた。
「あ、アネゴにルルルフ! 久しぶりミャー!」
とてとて駆け寄ると、ナナヤはルルルフと比べ、半等身くらい背が伸びていた。
「ミャ……?!」
「ニャ……!!」
同じくらいの目線だったはずの2匹。が、ナナヤの視線が下に行き、ルルルフの視線は上を向く。
「ルルルフが縮んだミャー!!!!」
めちゃくちゃびっくりして、ボンっと毛が膨らんだ。
半年間、ろくな手入れをしていない毛は伸び放題だし、絡まっているし、丸まっている部分もあり……
「ナナヤが毛玉になったニャー!!!」
伸びているなか膨らんだ毛が、カーチェよりも毛ダルマにしか見えない状態に、ルルルフは飛び上がって驚いた。
「あー、予想はしてたけど、やっぱあいつらといると、こうにゃーるよね」
アネイゴは、ナナヤのノンお手入れ状態に、予想はしつつ予想以上に酷かったと、ため息を落とす。
「こうなるって……ナナヤちゃんとお風呂入ってたミャ!!」
実は自分が、とってもばっちい状態に見られているのでは? と、思いナナヤは、清潔にすることは頑張ったので、そこを主張する。
「毛繕いしてにゃーじゃにゃーのよ! ナナヤくらい長い毛はブラシかけとかにゃーと、こんにゃーふうに絡まったりするにゃーよ!」
くしゃくしゃに絡まっている毛の部分を摘んで、アネイゴはナナヤに見せる。
「ミャ!! もごもごしてるミャ!!」
「村にいた時、オトナが毛繕いやカットしてくれてたの忘れてたにゃーね?」
「…………ミャ……そーいや……そんミャのも……」
ゴルーダ、モクレンと一緒に、半年過ごしたナナヤ。
当然野宿もしていたので、毛のダメージは大きいし、手入れをしてなどいなかった。
宿でお風呂があれば、きちんと入って清潔にする事はしていたけれど。
その結果が、バサバサ・モゴモゴ・ゴワゴワの毛を装備である。
「ミャ……ミャ……さ、さすがに……これは……ナナヤでも……イヤだミャ」
それまで気にならなかったが、見せられ認識すると、途端に気になりだす事もある。
ルルルフはポンとナナヤの肩を叩き、ニッコリ笑う。
「それじゃ、トリマーさんの所へいこうニャ! ナナヤもカーチェサロンデビューするニャ!」
「鳥ミャー? さろん??」
よくわからないが、ルルルフはわかっているからニコニコしているので、ルルルフに委ねる事にしたナナヤは、何も考えないで頷いた。
「そんじゃ、ゴリ、モクレンまたミャー!」
「ゴリじゃねぇ!! またなー!!」
「またね」
パイセーンとアネイゴにも挨拶して、ルルルフとナナヤは説教部屋から退出した。
ゴルーダとモクレンへの説教は、その後2時間ほど続いた。




