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1日目終了 ▶︎ハンター・カーチェギルド


 各々今日の仕事を終えて、寮に戻ってきたルルルフとナナヤ。

 ナナヤの方が早く戻っていた。


「ミャ、ルルルフがいるミャ」

「ナナヤこそ、狩りを見てもらう研修ニャのに、帰ってくるの早くニャい?」

「特殊個体のせいで、狩りは中止ミャー」


 中止になったという残念な事態ながら、ナナヤはご機嫌斜めになっていない雰囲気で、ルルルフは不思議に思って訊いてみると、カーチェギルドにいる先輩が、なんかナナヤを観察して感じたことも報告してくれるそうなので、まるっきりの中止や延期ではないそうだ。

 何事もなく1日を終えたルルルフ、ちょっとイレギュラーが発生したナナヤ。

 お互いの起きたことを話して、明日も頑張ろう。となるそれぞれ。


「明日はナナヤの活躍、ギルド職員さんに見てもらえるといいニャ!」

「そうなるといいミャー。まだナナヤ狩猫のパワー見せてミャい」

「狩り上手だから、きっと職員さんびっくりするニャ!」

「ルルルフの家事能力に、お客さんいっぱい喜んでもらえると思うミャ!」


 大きな疲れはないはずと思っていたが、やはり初めての経験に緊張の連続であったのか、ご飯とお風呂を済ませて布団に潜り込むと、コテンと眠りについてしまった。



=・ω・=-ω・=-ω-=



 ハンターギルド 会議室。


「以上が本日の報告ですニャッチ」


 パイセーンが異常個体について報告を終えると、ハンターギルドの職員が頭を抱えつつも、紙にペンを走らせている。


「あのコ、なんか持ってるの!?」


 朝、ナナヤに特殊個体について質問をした職員が、難しい顔を浮かべる。

 特殊個体に短期間で2度も遭遇するなど、そうそうないことで、しかも狩猫になるための試験でそんなものにぶち当たるとは本当についていないと、同情してしまう。


「持っているかは定かではないニャッチが、フィフィヨッラを森の手前ではなく、奥で狩ろうとしたあたり、本能で森の生態を理解してると思われるニャッチ」


 パイセーンの説明に、別の職員が首を傾げる。

 会議室に来ている、おそらくハンターと思われる体躯のいい男が口を開く。


「あの森の奥は、初級から中級手前ハンターのターゲットである、フィフィヨッラのようなやつはいないはずなんだ。あの森の奥は、上級モンスターに分類されるものが多い。奥の方が実は食料や休める場所が多く、魔物にとっても暮らしやすい場所だったりする」


 森の奥地について説明を受けるも、ハンターギルド職員はピンとくるものはない。普段依頼手続きなどの事務作業をしている面々は現場がどうなっているのか、見る機会がないからだ。

 ハンターの男は言葉を続ける。


「フィフィヨッラのような、俺から見たら弱いモンスターが、実り豊かな森の奥地で運良く暮らせるとしたら、異常繁殖が起きる可能性がある。おそらくその仔カーチェは、それらも嗅ぎ取ったのだろう」


 生態系の保護も、ハンターに与えられる仕事だ。

 異常に増えると人間の暮らすエリアまで侵食される、森からモンスターが溢れ出てくるなどの大惨事が起きる可能性があるため、モンスターの生態を調べ、それから外れてしまう現象が起きたときは、間引いたりなども請け負う。

 フィフィヨッラがそれに該当する状態だった。ただ、事前調査していた頃より、奥に居たらしい。 


「理屈ではなく本能ってやつか。あのコおバカっぽいのに、野生の勘はすごい感じなのかね」


 ギルド職員が、ナナヤの辿々しい説明を思い出して、頬が緩む。


「ナナヤは家事や計算などは苦手と思われるが、狩猫としての才能は凄そうニャッチ」


 ハンターはふむ、とひとつ頷く。


「一旦森の奥は閉鎖で、異常個体への調査班を出して、その後討伐だな」


 ハンターの隣にいたフードを被った男も頷く。


「いつも通りの流れ」

「だな」


 ナナヤの発見は、きちんと然るべき対処がされる。

 それらも教えておかないとな。とパイセーンは思った。



=・ω・=・ω・=・ω・=



 家政カーチェギルド


「アネイゴさん、どうでした? 研修生」


 カーチェギルド職員が、帰ってきて報告書を書いて提出してきたアネイゴへ、今日の結果を訊ねる。

 1日やそこらじゃ能力は測れないものの、仔カーチェがもつ素直さをしっかり残しているルルルフは、ぐんぐん色々吸収しそうで、いい家政カーチェになりそうだ。

 と、ポテンシャルを秘めている点を、嬉しそうに伝えるアネイゴ。


「やっぱり、故郷のコってのもあり、贔屓目あったりします?」


 職員がからかい混じりに訊いてみると、アネイゴは真顔になる。


「贔屓目無しにゃーよ。ルルルフは、能力が平均的に高めだにゃーよ。完全特化がA+評価だとしたら、ルルルフは全体的にBからB+にゃー。でも、一緒に来たナナヤは、どう頑張っても家政は無理にゃーよ……。Dレベルにゃーから」


 きちんと贔屓目なしで測っていることを伝える。今までのアネイゴは同郷出身だからと、贔屓してこなかったことを思い出し、職員は大きく頷いた。


「それにしても、すごいですね。大工作業もできるなんて」

「すごいんだけど、本猫はそう思ってにゃーのよ」

「えー?! だって、カーチェって褒め合うコたちですよね?!」

「ルルルフは、かなりの自信ナシにゃーよ。みんなのいいところばっか見るからにゃー」

「あー……。長所が悪く出ちゃう場合もあるんですね」


 ルルルフに必要なのは、ある程度自分を認めること。それを家政カーチェギルド所属の間に、覚えてほしいと願うアネイゴだった。

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