ドド ▶︎ぷるぷる
=-ω-=っω- =-ω・=
翌朝、日が昇らないうちに起きるルルルフ。
朝ごはん用に残しておいた食材を使い切り、葉っぱに包む。
ナナヤも眠たい目をこすりながら起きてきた。
「ネココア飲んだら出発ニャーよ」
「わかったミャ。残りのネコーヒーとネココアは、食べ物のカバンに入れとくミャ」
荷車にカバンを乗せて、ナナヤが引きルルルフが押す。
村長の家の前に着くと、ちょうど商猫隊も来たので、ドドという輓獣(荷運び用の使役獣)が荷車を引いてくれる、そのドド車に荷物を積み込む。
「ドドはいつ見ても可愛いミャー」
牛のようにデカいウサギ、というのがドドにピッタリな例えだ。ウサギとは違う種族である。見た目は巨大ウサギだが。
ドドは言葉こそ話さないものの、賢い動物で優しいものが多く、そして働き者だ。
同じく働き者な種族であるカーチェを、たいそう気に入っている。
そんなカーチェに可愛いと言われて、ドドは嬉しくてナナヤに頬ずりをする。
「んミャあぁぁ……可愛いミャ〜〜」
ナナヤも頬ずりを返す。デレッデレに頬を緩ませ喉を鳴らすナナヤ。ドドも嬉しいのか、まんまる尻尾が高速でプルプルしている。
「よろしくお願いしますニャ」
ナナヤのように飛びつきたい衝動を抑え、ルルルフは商猫とドドに挨拶をする。
「おう、しっかり街まで送ってやるみゃっぷ」
貫禄のあるオヤジカーチェが、キリッとサムズアップだ。
ドドもぺこりとあたまを下げる。
「ルルルフはドドが苦手ミャ?」
ナナヤはドドに頬ずりしながら訊ねると、ルルルフはピョンと飛び上がって否定する。
「そんニャわけニャーよ! ドドさんすっごくかわいいニャー!! でも、ドドさん自分よりちっこいヤツにかわいいって言われたら、イヤかニャーって……」
ルルルフの少し耳がペタリと下がる。
ドドとナナヤが首を傾げた。
「かわいいのはかわいいで、よくミャい?」
「そ、そうニャの?」
ナナヤは戸惑うルルルフの手を、ドドに向けて引っ張る。
「ニャっ! ふわっふわニャ」
ふわふわの柔らかい毛を撫でると、ルルルフの顔がとろけた。
撫でてもらってドドも満足そうに鼻を鳴らす。
「出発にゃっぷー!」
「「はーい」」
早朝なので、お見送りは村長と商猫たちの家族だけだ。
「すまんのぅ……早朝で見送りがこんなおじーちゃましかおらんで」
「大丈夫ミャ! 昨日いっぱいお餞別もらったミャ」
「みんニャによろしくですニャ! 行ってきますニャ」
ドド車の荷台から手を振り、村長たちの見送りを受けた。
「寝れるかわからんけど、寝れそうなら寝とけにゃっぷ」
「わかったミャ! 朝ごはん食べたら寝るミャ」
「はーいですニャ」
=−ω−=−ω− =−ω−=
数時間、ガタゴト揺れながらドド車は進む。
ぼんやり、意識が戻りそうで戻らない状態を繰り返しながらいると、商猫たちがザワザワ騒ぎ出す。
「ニャ……ドド車が止まったニャ?」
「んミャ? きゅーけー時間ミャ?」
ルルルフとナナヤが体を起こして、辺りを見回していたが、ナナヤの毛が逆立った。
「モンスターの気配ミャ!」
ナナヤは荷台から飛び降りて、辺りを窺う。
ドドが怯えたため、ドド車が止まったようだ。
「モンスターのニオイと、血のニオイ……近づいてきてるミャ!!」
ナナヤはドドのところへ行き、ドドを撫でる。
「おっかミャーよね。けど、後ろからモンスター来てるミャ。ゆっくりでいいから、進んでてミャ」
「ドドさん怯えてるニャ?」
「ドドはカーチェ以上に、魔物の気配に敏感ミャ」
ルルルフもドドのところへやってきて、ドドをさする。
「ルルルフ、ドドを撫でながら歩いてミャん! ナナヤはモンスターの進路変えてみるミャ」
「わかったニャ!」
商猫がドドを何とか進ませようと躍起になっていたが、ナナヤが撫でた事で、ちょっと落ち着きを取り戻したし、ルルルフが撫で続けているので、じわりじわりと足を進めてくれるようになった。
「撫でてあげたらいいみゃっぷか……」
「みたいですニャ」
今までは、ドドが落ち着くのを待ってから進んでいたし、ドド車に魔物が近づいたら、護衛が退けていたそうだ。
「護衛さんは、ドド車から離れちゃうのはダメニャから、ドド車付近に近づくモンスターを、付近で追い払ってたんですニャね」
「あぁ、あのボサボサのボウズがいてよかったにゃっぷ」
「将来が楽しみな狩猫ニャフ」
今は狩猫がいるのもあり、魔物への対処も早くて嬉しいと笑う。
ルルルフは手荷物の肩掛けカバンの中から、木の実入りの焼き菓子を取り出して、ドドに食べさせる。
カーチェの差し出すものは、食べ物と認識しているドドは警戒せず食べる。
「森でとれたプルプルメープルとクルクルくるみで作ったお菓子ですニャ」
甘くて、それでいてくどくないプルプルメープルは、美味しくて震えるという事から名付けたれた。
ちなみに、レア食材である。
「ドドさんもプルプルしちゃうようニャ美味しさニャ」
「ボウズ、そんな貴重な物をお菓子にするとは、もったいないみゃっぷな……」
商猫はついお金になる方へ考えが傾くので、もったいないという言葉が出てしまう。
「プルプルメープルは、ドド車の振動で傷んじゃうから、人間の街まで運べニャくて売れニャいって学校で教えてもらったので、たくさん取れたら、村のみんニャにおすそ分けしてますニャ」
「あー、そういやそうだったみゃっぷ……」
ルルルフがとてとてと歩く速度くらいまでは、歩けるようになってきたドド。魔物の気配は近づいてこないのもあって、落ち着きを取り戻しているようだ。




