出発準備 ▶︎時間を聞いたら保存食
挿絵ありますニャ
家に帰ってきて、ルルルフはバタバタと納戸をあさる。
「ミャー……?」
「ナナヤ、わかってるニャ? もう村を出るつもりで支度しニャきゃダメニャんよ?」
「何でミャ!?」
お仕事体験は、家政カーチェギルドやハンターギルドに入って、短期レンタルカーチェ――いわゆる派遣を繰り返す予定である。
その中で、さまざまな仕事を体験するのが目的である。
ナナヤの場合は、狩りしか出来ないこともあり、ハンターギルドに登録する。狩り専門派遣カーチェである。
体験を通して、本格的に働きたいところを見つけるのが最終目標だ。
と、ルルルフが細かく説明する。
「人間の街に行くのも、3日くらい掛かるニャ。パッと行ってポンと帰って来れる場所じゃニャいから、お着替えとか狩り道具とかちゃんと持っていかニャいと、登録するギルドに迷惑かけちゃうニャよ」
「ミャー! か、カバン持ってナイミャ!」
「それはうちにあるの使ってニャ」
ナナヤはカバンを2つもらって、部屋に行く。
お片付けをきちんと頑張っていたのもあり、持っていく物は一目瞭然だ。
「えーと、狩りの武器は、きちんと布にくるむミャ……」
使い古しのシーツで、しっかりと巻き、危なくないようにくるんだ。
「えーと、お洋服と防具もいれるミャ……」
普段着る服はタンスに入っているので、そのまま取り出してカバンにつめる。
防具は武器と同じカバンにいれて、狩り用の物をひとまとめにする。
何でもポンポン詰め込むのではなく、目的が同じ物を、同じ場所にしまえば、出す時もわかりやすい。
整頓がきちんと身についたのもあり、迷う事なくナナヤは出発準備を終えた。
「……あとは、宝物ちょっとだけ持ってくミャ」
学校の友達から、お守りを作ってもらった事もある。
狩った魔物の素材をお裾分けしたら、お礼に帽子を編んでくれた事もあった。
家が荒れていた頃でも、宝物箱はキチンと散らかさずに置いといたのだ。燃えて無くなってしまったが。
新たにもらった宝物が数個、ニュー宝物入れに入っている。
「新しいお守りとお帽子! ……かわいいペンとインクは折れそうミャし割れそうミャから置いてくミャ」
そして、宝物入れには『タカラモノ お仕事決まったら取りに来る』と書いた紙を、箱のいちばん上に入れて蓋を閉める。
持っていく物を詰めた2つのカバンを、玄関扉の近くに置いた。
「ニャ?! もう終わったのニャ?」
「ルルルフが整頓教えてくれたおかげミャー!」
「すごいニャん!」
もちろん、ルルルフはすでに終わっていた。ナナヤを手伝おうかと思ったら、カバンを持って出てきたので驚いたし、整頓生活が身についていたようで、感動を覚えた。
「今日のご飯は、卵とお野菜とお肉を使い切るニャ。干したお魚やベーコンは旅のお供でもっていくニャ」
「じゃあ、ふかふかパンを使っちゃえばいいミャね。かたいパンもお供ごはんミャよね?」
「そうニャ」
ナナヤは野菜をカットして、サラダと野菜たっぷり卵スープを作り、ルルルフは肉に味付けをしてフライパンで炒め始める。
「だいぶ上手にニャったね!」
「教えてもらったら、出来るようになったミャ! ルルルフは教える天才ミャ!」
「それニャら、ナナヤは上達の天才ニャ」
褒め合って笑う。明るい言葉で楽しくご飯作りをしたあとは、美味しく頂くのだ。
「あ、明日の出発時間、わからニャい……」
「お肉焼けるまでまだ時間あるミャね。ナナヤちょっとおとなに聞いてくるミャ! お肉頼んだミャ」
「お願いするニャ」
=・ω・=・ω・ =・ω・=
ナナヤは村長のお家へ訊きに行く。
「せんせー! 明日のお時間教えて欲しいミャー」
村長の家には、教師カーチェも暮らしているので、ドアをたしたし叩きながら、ナナヤは声を上げた。
「おや? ナナヤにゃちょ?」
教師のカーチェが出てきた。そして、出発は商猫に聞きなさいと言われたので、今度は商売をしている中で、人間の街に出向くカーチェがいる店に向かう。
「あら? 商猫隊にゃ〜ら肉屋さんがリーダーにゃ〜から、そっちにお聞きなさいにゃ〜」
八百屋さんにそう言われて、ナナヤは教えてくれたお礼を言い、ぺこりと頭を下げると、干し野菜を持たされた。
肉屋へ到着すると、明日の早朝――日の出くらいを目安に出るので、その頃に村長の家前に居てくれたら大丈夫と聞かされ、ナナヤは了解の旨を返す。
そして、干し肉とお肉チップスを持たされた。
色々聞き回ったのもあり、お肉はそろそろ焼けている頃だろう。早く帰ろうと小走りで家に戻る。
「あら、ナナヤ! あんた――」
「ナナヤじゃニャンか、明日――」
「ナナヤー! これ持ってけにゃにゃにゃー」
家に着く頃には、ナナヤの頭の大きさを超えるふろしきを担いでいた。
「あ、ナナヤおかえり――ニャッ?! ニャんニャの、その大荷物!!」
「違うミャん! ナナヤおねだりとかしてミャーよ!」
みんなから色々貰ったことを伝えると、ルルルフは納得する。
この村のカーチェは、そういうものなのだ。
「保存のきく食べ物が多いニャね。ご飯食べたら、ほかの保存食と一緒にしまおうニャ」
「わかったミャー」
ご飯を食べて食器を洗って、拭いてしまう。
「おうちは誰かが使ってくれると思うニャ」
「だミャ。できるとこはお掃除しておくミャ」
窓やテーブルを拭いて、キッチンを拭いて、床を掃いてと軽く掃除をして、家にありがとうを告げるルルルフとナナヤ。
まだ荷物は少し残してあるが、お仕事が決まれば送ってもらうように、部屋の一角にまとめてある。
「さ、明日は早いから、しっかり寝ようミャ」
「その前に、お風呂ニャ」
寝室に向かうナナヤの首根っこを捕まえて、ルルルフはお風呂へ連れて行った。




