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ナイスショット ▶︎どっさりごはん


「なるほどミャ、言われてみればそうミャね」


 ナナヤはモーニングスターを担いで、崖から離れる。そして少し歩いて大きな木の前に到着。


「んん〜〜ミャ〜〜!」


 星型鉄球を水平に勢いよく振るって、木に当てると、バラバラバラっと木の実が落ちてきた。

 硬い実ではあるが、モンスターに致命傷を負わせられる硬さでは無さそうである。


「これならバッチリだニャ」


 少しでも気を逸らせれられるなら、それで良いと考えるルルルフ。

 ルルルフの役目は討伐ではなく、補佐である。いかにナナヤが攻撃しやすいよう、モンスターからの目を逸らせることが出来るか、という役割を瞬時に理解していた。


 崖の上の茂みにその身を隠せるようスリングショットをセットして、自分の姿は見せないようにする。

 姿を見られたら、崖に突進してきて崖を壊すはずだ。


「そんじゃ、行ってくるミャ」


 崖のくぼんでいるところから、ナナヤは滑り降りて、サイブロスの後ろ側へ回る。

 ルルルフは木の実をセットして、敵を見据え、ナナヤが近づくタイミングを見て木の実を撃ち放つ。


「あニャ……!」


 運良く、サイブロスの鼻の穴に入り、ビックリしたし、モンスターもビックリしている。

 その隙に、ナナヤは力一杯振るった星形鉄球を頭に当てる。そしてすぐさま岩の影に隠れて、音で様子を窺う。


 ビックリしたサイブロスはボッと火を吹くが、周りには何もいない。

 キョロキョロ見回す隙に、再びショットしてヒット。そこは目だった。

 流石に眼球は痛かったのだろう、雄叫びを上げて暴れて、火を吹きまくる。

 ナナヤは飛び出す事なく、様子を窺う。


「コントロールの塊ミャね……」


 シューターにでもなった方がいいんじゃないかと思うが、ルルルフは狩りに積極的なタイプではない。

 そんな彼を頻繁に狩りへ連れ出すと、心の疲れが重くなりそうなので、もったいない気はするものの、ルルルフのコントロール力について、ナナヤは口を噤む事にした。


「あっ、ナナヤのいる方向いったニャ! ダメニャ!」


 くるりと向きを変えたサイブロスを見て、もう1ショット放つと、今度は反対側の目にクリーンヒットだ。

 サイブロスの視界を、意図してないものの、結果奪った事で、ナナヤは攻撃をしやすくなった。

 岩陰から飛び出して、鉄球を振りかぶる。岩から岩に飛び移り、口から吹き出す火を避ける。その際に鉄球を当てるという攻撃を繰り返し、想定より早くサイブロスは事切れた。


「異常個体のサイブロスさん、ごめんなさいニャ……」


 ルルルフは手を合わせて、弔いの意思を示す。


「異常個体は、治らない病気になっちゃったようなモンなんミャ。今の命を絶ってあげミャーと、ずっと苦しいままだって、おとなたちが言ってたミャ」


 そして、ナナヤは異常個体の証である、変色した角を剥ぎ取って、ポーチに入れる。


 村に帰り報告をすると、労いの言葉を貰う。

 事切れたサイブロスの素材は、解体を得意とするカーチェたちが向かい、回収してくるという。


 狩りで緊張したのか、ルルルフの毛は逆だったままだった。ナナヤはルルルフの手を握って、家まで歩き出す。


「ニャ?! ちゃんと歩けるニャよ!」

「異常個体、おっかなかったミャん。ルルルフがナナヤの手を握っていてくれれば、ナナヤ安心できるミャ」

「……ルルルフも怖かったニャ……」


 ルルルフも手を握り返して、家までゆっくり歩く。



「……どうしてこうなったミャ」


 握っていた手は、気づけば各々ふろしきを支える手になっていた。

 やはり、異常個体の討伐をこどもだけで行なったのは、相当心配されていたようで、狩り担当のカーチェたちが、ルルルフとナナヤに何か出来ないか狼狽(わたわた)していたところ、料理上手なカーチェたちがご飯をバンバン作り、帰ってきた2匹にじゃんじゃん渡していた。


「……晩ごはんどころか、何日かは何も作らニャくて、良さそうニャ」


 示し合わせた訳でもないのに、今日・明日くらいに食べるもの、何日かは保存がきくものなど見事に分かれていて、数日はご飯支度をしなくて済みそうだった。



 その数日を有効活用して、お互い色々教え合い、出来ることを増やしていったルルルフとナナヤは、出来る限り学び、試験への準備をしっかりした。



 そして無事、お仕事体験の切符を獲得したのだ。



「いぃぃっやっっったミャーーー!!」


 これまでの狩りですら出たことの無い、全力の雄叫びをあげるナナヤ。

 座学で落ちるのは避けたかったナナヤは必死に学び、足りなさそうな基礎をルルルフに習ったところ、意外にもスルスル出来るようになった。

 ナナヤは基礎でつまずいていたタイプである。


「やったニャー! わーい! わーい!」


 ルルルフは基礎、応用を繰り返し繰り返し学び直し、慣れによる速度上げに励んだ。

 ご飯支度分の時間を節約できたため、繰り返し学習を沢山する時間に当てられて、とてもありがたかった。

 2匹の努力は実るが、その一方で切符を獲得できなかったものもいる。


「おめでとニャニャ!」

「おめにゃっち! 次こそは選ばれるように頑張るにゃっち!」


 悔しいが、仲間の健闘はしっかり讃える。

 ルルルフとナナヤはお礼を言って、次の選抜で選ばれることを祈っていると伝える。

 そして、合格を伝えた教師カーチェが、パラリと紙をめくり口を開く。


「んで、出発は……あ、ちょうど人間の街に行く商猫カーチェが、明日村を出発するみゃーご」

「ニャッ?!!」


 つまり、明日一緒に村を出ろという事だ。

 カツカツすぎる! と、ルルルフは全身の毛を逆立てて驚いた。


「ミャー?」


 ナナヤは首をコテンと横に倒す。


「ナナヤ! お家に帰ったら、出発準備しなきゃダメニャ!」

「ミャ!」


 返事はしたものの、どういうことかイマイチわかっていないナナヤであった。

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― 新着の感想 ―
ルルルフのコントロール力は幸運度の高さと相まってすごいことになってますね~^^; 本人もびっくり でもやさしいコだから狩り人のカーチェにはなれない…身を守るチカラだよって説得しとかないとですね~ ナ…
無事の討伐、おめでとうにゃーす。 そしていよいよ次回、人間社会の描写が登場…。 異世界の「にんげん」が、怖くもあり楽しみでもあり…。まあ悩んでも仕方ない。一狩り行こうぜ! …あ、片方は家政ギルドか?…
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