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6匹目:黒い月
夜、
皆が寝静まった時間に喫茶店『黒猫』の建物の中で唯一灯りが点いている窓があった。
風呂場の窓だった。
いつもこの時間帯で風呂場は灯りが点いている。誰かが湯を浴びている。
夜のこの辺は静寂に包まれている。
街は結界で守られているので、鬼が侵入してくることはまずない。
祓い屋の仕事も基本はお上、祓い屋たちを統括している管理局からの討伐命令があって成される仕事なので、
よほどの理由でない限り、彼らはわざわざ鬼を退治しに行かない。
少なくともこの辺りを縄張り(テリトリー)にしている彼ら『黒猫』の四人は。
風呂場の大きな浴槽で一人、湯に浸かっているのは昴だった。なぜかいつもこの時間を好んで入っている。
長い髪を器用にピンで上げて、湯に髪の毛が浸からないようにしている。
その右目はまっすぐ窓の向こうの三日月を捉えていた。
そしてこう言った。
――また……満月の夜が来る……………………………――
月明かりを浴びて、彼の者の瞳は黄色い光を映していた。
妖しく、妖しく……………。
ちょっと短すぎました。たまにこういうのがあるかもしれないです。ミステリアスな感じがほしかったんです。




