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12匹目:黒田一家

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爽やかな朝…………

鳥のさえずりが心地よく感じる。

街中にひっそりとたたずむ喫茶店から、ほんのりとコーヒーの芳醇な香りが風に乗って辺りに広がる。



「ぎゃーーーーー!!!!」


しかし、その喫茶店の中は大騒ぎだった。

叫び声の主はリョウだった。


リョウ

「遅刻遅刻遅刻ちこく〜〜!!!」


直しきれていない髪をしたまま、階段からリョウがネクタイを締めながらドタドタと降りてきた。


リョウ

「なんで起こしてくれなかったんだよ!?」


ナギサ

「起こしたじゃないか。忘れたのか?」


リョウ

「記憶にない!」


キッパリと言うリョウ。

ネクタイのバランスがおかしいですよ?



やれやれ……

と言わんばかりにため息を漏らすナギサ。


ナギサ

「昴を見習えよ。ちゃーんと起きたんだぞ?」


昴はナギサの向かい側の席でカフェオレを飲んでいた。


「なんです?その小学生に言うようなセリフは……」


リョウ

「あれ……ホントだ。めずらしいな、お前がこんなに早く起きてるのって……」


「任務期間中なんですから、寝坊なんてありえません」


ふふん、と鼻を鳴らす。


リョウ

「ぐっ………!それが“お兄さん”に言うセリフなのか!?」


「っ!!」



ソウマ

「まぁまぁ、朝からそんな大声出すなって。リョウもさっさと食べないと時間ないぞ?」


奥からエプロン姿のソウマがリョウの朝食と弁当を三つ持ってくる。


リョウ

「おはよーソウマさ…………………“父さん”」


ぎこちない笑顔をソウマに見せるリョウ。

ソウマ

「はい、おはよう」


対して、にっこりと笑いかけるソウマ。



なんだかいつもと違う異様な雰囲気。



ナギサ

「あ、そろそろ行かないと」


腕時計に示された時間を見て、ナギサは紅色のブレザーを着た。

黒の革の鞄に弁当を入れる。


ナギサ

「それじゃ行ってきまーす」


「行ってきます」


ソウマ

「行ってらっしゃーい」


リョウを置いて、二人は店を出て行った。


リョウ

「ふごっ!?ちょ、ちょっと待っぺー!」


トーストをくわえたまんまでリョウも急いで支度をして店を出て行った。



ソウマ

「やれやれ…………」







リョウ

「おーい待ってよ!」


ナギサ

「もっと余裕をもって行動しろよな、お前は」


「学校に通うのも今回の任務において重要なことなんですから。しっかりしてください」


リョウ

「そういう昴も、『黒猫』から出たら仕事の話はやめろよな。誰かに聞かれたらどうするんだよ」


「す……すみません」




大原つぐみの猫又事件が解決してから三日後、店の電話が鳴った。


『新たな任務を告げるために』


その任務のせいで、リョウとナギサと昴の三人は学校に通わなくてはならなくなったのだった。


任務の内容はこうだった。

『近頃、ある学校で何人もの生徒たちが襲われている。誰も犯人を見ていないことから、鬼が関与している可能性が高い。至急、鬼を退治せよ』


その電話のあとに、四人はその学校に行き、依頼主である学園長と話をした。

しかし鬼と決まったわけではないので、詳しいことは彼でも分からない。

なので生徒に扮して内情を把握してもらい、生徒がいなくなった夜に校舎内を見回っていただきたい。


そう言われて、結果、“転校生の兄弟”としてこの『東条学園』に入学したのだった。


ソウマは見た目的にも学生のコスプレ(変装)には無理があるため、三人の父親という設定になってしまった。


学園内での四人の設定は


ナギサ:長男 高三

リョウ:次男 高二

昴:言うまでもなく三男 高一

ソウマ:父親 妻を十年前になくし父親一人で三人の子を育て上げたスーパーパパ。

職業はIT関係で転勤族


ということになっている。

ちなみに名字は『黒田』。


このことを知っているのは学園長ただ一人である。




ナギサ

「わかってると思うけど、学園内では俺たちは兄弟。俺が長男でリョウが次男、昴は三男だ。いつもみたいに名前で呼ばないこと!下手に自分の情報を漏らしたり、作ったりしないこと!特にリョウ!お前が一番心配だ………」


リョウ

「なっなんでだよ?!」


「リョウが一番、自分のことをポロッと言ってしまいそうですし」


ナギサ

「変な設定を付け加えられて、後で話を合わさなきゃいけないなんて事になったら面倒だしな。それと、これが一番重要。『目立たないこと』!特にリョウ!お前が一番心配だ………」


リョウ

「またかよ!!」


「リョウはこの中で一番自己主張が強いですから」


リョウ

「大丈夫だよ!どこにでもいる、地味〜でフツーで平凡な男子高校生を演じればいいんだろ?楽勝だよ。日常の俺を、そのまま学園内に持ってきた感じにすればいいんだから」



二人(それが一番心配なんだよ……)



そうこう言ってるウチに、大きな校舎が見えてきた。


広い敷地、レンガ造りのレトロな校舎、広いグランド…

ここら近辺ではかなりレベルの高い学校だ。


門構えを見ただけでもそれがわかる。

黒いピカピカの鉄格子でできたそれは、縦3メートル、横は10メートルくらいはある。



ナギサ

「よし!じゃー張り切って行くぞ、弟諸君!!」


リョウ

「おー!!」

「…………ォ-(…………何で三男なんですか……僕は………)」




ドタバタ学園コメディ(?)が幕を開けたのだった。

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