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マルニチ  作者: 竹たけし
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もしも魔法を使えたら。

 どうも、吉村樹(よしむらいつき)です。昨日、入学式を終えて色々ヤバい奴と顔見知りになってしまいました。全くこれで俺の平凡な学生生活もどんどん遠ざかってしまう。まぁ、でも中学までの自分とは別の自分なんだ!!逆に考えろ、友達もできて最高じゃないか、そうだ、そうだ!!よし学校行こう!!


 「次は町田〜、町田〜、お降りの方は……」


 俺は電車を降り振り返った。これからこの町田駅を3年使うんだな〜としみじみ感じていた。

「よし、行こう。…………ん?」

ふと横をみたら機志田(きしだ)がいた。

「何、独り言言ってんだ?吉村」

「あっ、機志田さん」

「おう」

「いや、なんか3年間登校に使う駅で最初に登校する日だからなんか…。」

「いやお前、昨日使ってただろ」

「いや、入学式は別腹だ!!」

「そうなのか…?」

特に話すこともなかったが一緒に学校へ向かった。


 教室へ着きドアをあけ、席に着いた。

「よう、樹」

「おはよう、遊」

こいつは四隅遊(よすみゆう)、クラスメイトだ。

「てか、機志田と一緒に来たの?」

「ああ、駅で会った」

「へぇ、いいな~、一緒にきて」

「は?」

「俺も一緒に登校したい〜」

「は…?」

「じゃあ、明日は駅近くのコンビニ集合な〜」

「いや、待てよ」

「てかさ、昨日のビガース対コンドルズの試合見た?」

「一応…」

てか、話しかけすぎだろ!!

「樹はどこ応援してんの?」

「は?」

「野球だよ」

「ああ、俺は家族がビガースファンだから俺も流れでビガースを応援するようになった。」

「へぇ~、俺はスワンズだぜ」

「そうなんだな」

「なんか興味なさそうだな」

「どうだろうな」


 俺達が話しているとチャイムと共に先生が教室に入ってきた。

「よし、お前ら、ホームルームを始める。機志田、お前が号令をしろ」

まさかの機志田さんが号令を任された、その一瞬でクラス中が「大丈夫か?」と言う空気感になった。

「はい?なんで私ですか?」

と機志田も不思議そうに首を傾げて聞く。

「ああ、だってお前、新入生代表だったよな?」

と何が不思議なのか分からないとばかりに答えた。

 確かにこいつは手をサブマシンガンに変形させ、乱射する様な奴だが、一応ちゃんと新入生代表を任されているだよな…。

 クラス中がどうするのかと見守る中、機志田が口を開いた。

「わ…わたしでよければやらしてもらいます。」

機志田の答えにより、クラスは異様な雰囲気になった。なぜか驚いている奴らもいた。まぁ、無理はないよな、だって入学式初日から手をサブマシンガンに変形させて乱射する様な奴だしな…。

「おう、それはよかった。じゃあ、頼んだぞ」

そう言い先生は機志田に号令を任せた。

「起立!礼!」

と思いの外、機志田はちゃんとしていた。てっきりサブマシンガンを乱射したりするのを少し期待したのに…。いやいや、俺がそんな平凡とはかけ離れた事を考えるはずがない!!

「なぁ樹。機志田、サブマシンガン乱射しなかったな」

後ろに1名その平凡とはかけ離れた事を考えていた奴がいた。

「まぁ、乱射する理由が無いからな…。」

「確かに、昨日は虫が向かって来てたからだったな」

なぜか四隅は満足した顔になった。

「今日は授業自体がほぼないから、特に連絡はない。じゃあ、ホームルームを終わるぞ。じゃあ、機志田たのむ」

山下先生は早々に話を終わらせた。てか初めての授業日だぞ!流れの説明とかないのか?

「起立、礼!」

機志田が号令をしたら、山下先生はすぐに教室を後にした。やっぱりなんか適当な人だよな…。


 先生が教室を出ていってしばらくしてチャイムが鳴り始めた。

「なぁ、よす…」

俺が名前を呼ぼうとした瞬間、四隅はそっぽを向いた。そう言えば名前呼びをしろとか言ってたな。

「……遊」

「どうした?」

名前呼びをしたとたん直ぐに言ってきた。中学までボッチだったから分からないが、名前呼びはそんな良いものなのか?

「ああ、山下先生、適当すぎないか?なんかホームルームもすぐ終わったし」

「まぁ、そんなもんじゃない?」

「はぇ~」

そんなもんなのか…?

「吉村くん普通のことよ」

俺と遊が話していると隣の木間(きま)さんが話に入ってきた。

「へぇ~」

ここの地区の奴らは教師も教師何だな…。

「てか、思ったんだけど、木間さんって名簿前半だよね?席ここのわけなくない?……だよな、遊?」

俺はふと思ったことを聞いた。たしかにそうだよな、なんで「よ」の隣の席が「き」なんだ?

「まぁ、いんじゃね?」

遊はそういい木間さんの方を指さす。そして俺は誘導されるように隣を見てみてみると。

「そこに触れちゃうの……、吉村くん。」

と木間は急に真顔になって答えた。

「え…?」

木間さんの急な変貌に少し恐怖しながら身構えた。

「教えてあげよう……、それはね…」

と木間は口を開いた。

「なんか、適当に座ってても、山下先生に何も言われないから」

「え…?」 

俺は理由のしょうもなさで思わず「え…?」と言う言葉がでた。

「ん?」

「いやいや、どう言う事?」

「いやいや、そう言う事。言葉のとおり先生に何も言われないから」

じゃあ、さっきの変貌は何だったのか…?

「はは…」

俺は愛想笑いしながら不意に前に視線を向けると、黒ローブ男が目にはいる。

「てかさ、急に話変わるんだけど…、あの黒ローブは何なんだ?」

と俺は指を黒ローブのほうに視線を送った。

「…」

「…」

なぜか二人は黒ローブを見てから一瞬の沈黙の時間があった。

「おい、二人ともどうした?」

「いや…、だって…」

木間さんが遊へ視線をむける。

「おい、木間こっちを見るな、俺もあいつが何だか分かるわけないだろ。」

遊が困り顔で答えた。

 しばらくして、結論が出たようだ。木間さんと遊の二人で目を合わせ頷いていた。そしてこちらを向き二人同時に口を開いた。

「確実にヤバい奴だ!」

「まじか…」

結論がそれか…。俺からしたらお前らもヤバい奴なんだがな…。

 俺達が話していると、黒ローブは教室を出ていった。

「あっ、黒ローブ出てったぞ」

「本当だ、ついて行ってみる?」

遊と木間さんが何やら不穏な事を言っている…。

「えっ…、つけるの?」

絶対ヤバいなのについて行くのか…?こいつら正気か…。

「ああ、だって面白そうじゃん」

遊がワクワクした雰囲気で立ち上がりこちらを見てくる。そしてなぜかズボンを履いていなかった。

「あはは…、じゃあ、頑張って来いよ!」

そう、俺はズボンについては触れず、さりげなく言った。

「えっ?樹も行くよな?」

「うん、私も行くと思ってた」

二人は俺に謎の視線を送ってきた。俺は絶対に嫌だぞ!嫌だ!!


 結局、ついて来てしまった…。

 俺達が隠れながら黒ローブを見ていたら突然立ち止まり窓の方を見始めた。

「おい急に窓の外を見て立ち止まったぞ、ブラザー」

「おいおい、誰がブラザーだ。でもたしかになんであそこで立ち止まったんだろう?」

俺達が不思議そうに見ていると黒ローブが突然、口を開いた。

「全てを見通す漆黒の天使よ…我に力を……ん?」

「あっ」

最悪だ……、なんか呟いている黒ローブと目が合ってしまいました。

「…」

「…」

お互い無言で見つめ合っている時間が生まれた。

「お、おい樹…、どうした?黒ローブと目を合わせて操られたか?」

「いやいや、操られてない!」

危うく本当に操られそうになった。てかなんか、ずっと黒ローブが見てくるのだが…。

「ねぇ吉村くん、なんか見てくるけど…?どうする?」

と木間さんがハンドガンに手をかけながら言ってきた。

「どうするも何も…、てかハンドガンに手をかけるな」

「えへぇ〜」

「何だその反応…?」

「てか二人ともなんか近づいてるぞ」

と遊が言い。そちらに視線を向けたら、もう目の前に黒ローブが来ていた。

「うわっ!」

俺は思わず、口に出してしまった。

「いつの間に…?」

「確かに、俺も近づいてるところまでは見たがこんな至近距離まで来ているのは気付かなかった…。何者だ…?」

そう俺達が驚いて何も言えずにいたら、黒ローブが口を開いた。

「なんで…、君はスボンを履いてないの…?」

と俺の横にいた、遊の方を指差しながら言った。

「……えっ?」

こいつ触れやがった…、俺でもあえて触れなかった事を平気で触れやがった。てかなんで…、遊も「俺は何もおかしくない」みたいな顔してるだ…?

「うん、君だよ」

となぜか驚いている遊に黒ローブは表情を変えずに言った。

「えっ…?俺何かおかしいか?なぁ樹」

と俺の方を見て聞いてきたが俺は視線をそらした。

「お、おい!何だその反応は!じゃ…じゃあ、木間はどう思う!俺はおかしいか?」

と木間を見て聞いていた。

「いや、いつも通りだと思うよ」

と木間は笑顔で答えた。

「そうなのか…。」

黒ローブはなんかよく分からない反応をしていた。

「てかさ、君、名前なんていうの?」

なぜか木間さんがヤバい奴の名前を伺いだした。

「どうしていきなり名前なんか…?」

黒ローブも驚いている。まぁ当たり前だよな…、なんか三人につけられていきなり名前聞かれたら…。

「いや、だって同じクラスでしょう?」

と木間さんが言ったら何かを思い付いたように黒ローブも口を開いた。

「次の時間…自己紹介だよ…?」

「……」

「……」

確かにそうだ!!次、自己紹介なんだよ!!どうするんだ?木間さん…。

 木間さんがしばらく黙ってから口を開いた。

「私は木間梨央。でっ、こっちは吉村樹くん、こっちは四隅遊くんだよ、よろしく。……で君は?」

まさかのこっちから自己紹介するスタイルで行くのか!!

「……」

「……」

少しの沈黙のあと、黒ローブが口を開いた。

「……俺は、魔力無李(まりきむい)だ」

「へぇ〜魔力くん…。てか聞きたいんだけどなんでそんな格好してんの?」

なんか木間さんが無理やり自己紹介させといて格好についても聞き出した。確かに黒ローブと黒い帽子は聞きたくなるかもしれないけど…。

「き、木間さん!?」

絶対触れちゃいけないだろあれ!!

「これは、俺の家の正装だ…。」

正装?思ってたのと違ってまともだな…。てっきり厨二病の類いだと思っていたが。……いや、まともではないな。

「正装か〜いいね」

「そうだな〜」

木間さんと遊の二人がなぜか納得していた。てか校則てきに大丈夫なのか…?

「あっそう言えば、それが家の正装ってことは、親が魔法使いか何かなの?」

木間が魔力の黒い帽子を観ながら言った。

「うんまぁ…」

魔力は少し俯き(うつむき)気味にいった。

「へぇ〜、てことは杖とか持ってるの?火とか出せるの?ほうきで飛べる?もの浮かせられる?」

魔力が俯き気味なことなどお構いなしに、木間はガンガン質問をする。

「お、おい木間…。」

さすがに魔力が言いたくなさそうな事を察したのか遊が木間さんを止めようとしていた。

 

 俯きながら魔力は、口を開いた。

「実は俺、家族で唯一、魔法を使えないんだ…。」

「……!?」

どう言う事だ??てか魔力(こいつ)の家族は本当に魔法を使えるのか?

「あ…あはは……、そうなんだ……。ご、ごめんね」

木間さんが気まずそうに視線をそらしながら言った。

「ああ、気にしないで……、俺が魔法を使えないのが悪いんだ……。」

魔力はさらに俯きながら言った。

「あ、ああ…、いつか魔力くん自身も魔法を使えるようになると思うよ…。」

一応、俺もフォローをしておいたが、大丈夫なのか?魔力(こいつ)…。

 遊が窓の外を見ながら魔力に語りかける。

「俺も、思ったことあるぜ【もし魔法を使えたら】なんてな、でもさ、もうそろそろ、そう言うのも卒業するべきだとおもうで」

「おい!何言って………、あっ」

魔力の方をみたら白くなっていた。

「あれ?魔力くん白くなっちゃた。なんで?」

「ほんとだな?何でだ?」

木間さんと遊がなんか言ってるが俺は言いたい。……「お前ら二人のせいだろノンデリが!!」と…。

「まぁ、気にするなよ魔力くん俺は魔力が使える君より使えない平凡な君のほうが好きだ………、あっ」

やべっ!つい本音が、魔力使えない事を気にしてるのに…。そう思い俺は魔力くんの方を見た。

「ありがとう!!吉村くん!!」

と魔力はなぜか喜んでいた。あれ?なんか思ってたのと違うな…?なんで?魔力使えないのが悩みなんじゃないの?

「いや、魔力使えないのは別に悩んでないよ…。」

「えっ?」

「俺の悩みは、なんか皆が俺を異常者扱いして接してくることだ」

「そう言うことね…。」

その格好してれば異常者扱いされるだろう…。いや、でも普通の女子高生がハンドガンを常備してる様な地区だぞ…?いや面倒くさいから考えないでおこう。

「てか、授業始まるぞ、教室戻ろうぜ。あっ…、さっきは悪かったな、魔力くん」

「私もごめんなさい。」

「いや、俺もあんま気にしてないよ」

「あはははははは」

なぜか三人でいい雰囲気になっていた。


 そうして俺たちはなんかヤバイやつと知り合いになりつつ、教室へ戻った。これでますますと平凡から遠ざかっていく…。「平凡よなんで俺から離れていくんだよー!!!!!」



吉村樹くんは日々の非日常のせいでストレスが溜まっています。のでたまにストレス発散目的で、森のなかで叫んだりしています。

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