Ep.14 犯人が判明しました
更新遅れて、申し訳ありません┏○))ペコッ
なるべく頑張りますが、しばらく不定期更新になるかもしれません。。
私、ベアトリス。今、王城にある王太子専用執務室にいるの。
ちょっとホラー風に現実逃避してみたけれど、どちらかと言えばここに来るまでのほうが、私にとってはホラーでした。
学園が終わり「逃さないぞ?」と言わんばかりのクロード様に、がっしりと拘束……確保されて、売られる仔牛の如く王城までドナドナ。
そして、今に至る……。
クロード様の執務室にあるローテーブルを私とクロード様、そして側近三人衆で囲み、噂の事実確認という名の犯人探し会議が始まった。
いや、気持ちはありがたい。
噂に惑わされず信じてくれたわけだから、そこは素直に嬉しい。
けれど、別に私は王太子妃にならなくてもいいんですよ?と小声でも主張したい。
「噂について分かったことを報告してくれるかい?」
私の隣に座っているクロード様が膝の上に肘を突いて手を組みながら、にこにこと微笑んでいる。
向かい側のソファにはフィリップ様とセドリック様、そして一人掛けソファにはオスカー様が腰掛けていた。
「噂が流れ始めたのが約三週間ほど前からで、言い出したのは、シュプリーム子爵令嬢のようです」
「……やはりか……」
え?予測してたんですか?
思わず目を見開いてクロード様へ顔を向けると、苦笑いを浮かべている。
……しかし、何故こんなにアイリス嬢に目を付けられているんだろう?
初日以来、関わっていないのに難癖付けられる理由もないんだけれど。
「恐らく、圧力をかけられた……というのは、王家とアッシュローズ家からの『抗議』のことだろうね」
「え、うちからですか?」
初耳な話に驚いて問い掛けた。
「うん。ほら、初日にかなり絡まれただろう?僕は義兄上にベアトリスを守るって約束したからね。ちゃんと『報告』をしたんだ。それに、王太子の婚約者に対する態度でもなかったから、それも合わせて王家からも『注意』したんだよ」
……間違いなく、それが元凶ですね。
でも実際、あの時のアイリス嬢の言動は度を越していた。
しかも初対面なのに、難癖を付けられる謂れもない。
……やはり、転生者パターンだろうか?
そんなことを頭の中で考える。
「密かに詳しく調べたところ、何でもベアトリス嬢を『黒い影』が囲んでいると……」
フィリップ様の言葉がだんだん細切れになっていく。
きっと三人衆と私が考えたことは同じはずだ。
『それ、クロード様じゃないか?』
チラッと横目で視線を向けると、キラッキラスマイルで「ん?」と小首を傾げている。
何故だろう……こんなに神々しい微笑みのはずなのに、胡散臭く見えるのは……。
「と、とにかく、その『黒い影』が殿下や我々に影響があるかもしれないから忠告しようとしたらベアトリス嬢に圧力を掛けられた……というのがシュプリーム子爵令嬢の主張のようです」
ゴホン、と咳払いを一つすると、フィリップ様は気を取り直して報告を続けた。
「あの、セドリック様。わたくし、『聖女』の詳しいお役目を存じ上げないのですが、何かそういう『悪い物』を浄化したりする力が光属性魔法にはございますの?」
思えば『聖女』が称号だとは聞いたけれど、詳しい役目までは知らなかった。
いい機会だと思ってセドリック様に問い掛けたけれど、何故か眉間に皺を寄せて渋い顔となってしまった。
「いいえ、シュプリーム子爵令嬢に『浄化』は出来ません。浄化となると相当な魔力量が必要となります。彼女は確かにそれなりに魔力量はありますが、浄化出来るほどではありません。どちらかと言えば、ベアトリス嬢でしたら浄化出来るかと思います」
この国は魔力が安定すると言われる十二歳頃に魔力属性検査をする。
クロード様も、王太子の婚約者である私も漏れなく受けた。
結果、私は何とびっくり『全属性魔法』が使えるのだ。
まさに異世界転生チート、という文字が頭に浮かんでも仕方がないと思う。
ちなみにクロード様は光魔法以外の複数属性持ちだった。
光属性魔法を持っているのに、何故私が『聖女』の称号を与えられなかったのか?
それは単に王太子の婚約者だったから。
『聖女』とは聖教会に属する者で、それを『王太子妃』が兼務するとなると王家の力が教会に入り込み、権力が偏るかもしれない……ということで、私に『聖女』の称号を与えられることはなかった。
いや、いらないから全然問題ないんだけれどね。
何なら、ついでに王太子の婚約者という地位も返還したいくらいだ。
とにかく話を戻すと、私も光魔法を使うことが出来るわけだけれど、チートついでに魔力量も多い。
クロード様は更に多いらしいけれど、それでも十分過ぎるほどなのだそうだ。
「『聖女』の役目ですが、ざっくり言ってしまえば『奉仕』です。光魔法を持っている者は何故か平民だったり、後ろ盾が弱い貴族が多く、ベアトリス嬢はかなり稀なのです。その為、教会が後ろ盾になる代わりに『奉仕』として、恵まれない者への治療などに力を貸して頂くのです」
なるほど……。家格が低い令嬢や平民で光魔法が使えたら、酷ければ親兄弟から売られたり、破落戸に誘拐されることもあるかもしれない。
それを防ぐ為に後ろ盾として『聖女』という称号を与え、教会が守護もしくは保護する……そんなに悪くないシステムだ。
「……ですので、本当にシュプリーム子爵令嬢にその黒い影のような物が見えたとしても、彼女にはどうすることも出来ないのです。それに光魔法をお持ちのベアトリス嬢が『魔』や『呪』に飲み込まれることもありませんし……」
私の持っている魔法の属性は公表していない。
する機会もないけれど、わざわざすることでもないと思っている。
「なら、シュプリーム子爵令嬢はベアトリスが光魔法が使えることを知らずに、都合のいい理由を適当に作って貶めようとしている……という解釈でいいのかな?」
今まで静かだったからうっかりしていたけれど、クロード様もいたんだった!
ギギギギギ、と壊れた木工人形のように恐る恐る視線を向けると、やはり満面の笑みを浮かべてるーーー!
そして、これは確実に怒っている……。
アイリス嬢……ごめん。貴女のことを庇ってあげたいのは山々だけれど、今回のきっかけ作ったのアイリス嬢だし。
私もクロード様に怒られたくないし。
自力で頑張って下さい、と心の中で合掌する。
「ところで、セドリック。先日、私が頼んだ件はどうなったかな?」
「はい。ご命令通りにシュプリーム子爵令嬢を調べたのですが、特に不審な点は見られませんでした。シュプリーム子爵家では子爵は可愛がっているようですが、過去の不貞の証ですからね……夫人と二人の子は距離を置いているようです」
まあ、そうなるよね……。
妊娠中の愛人を追い出すほど激怒していたくらいなのだから、例え『聖女』だったと連れて帰って来たところで、家の名誉の為と我慢はしても近付きたいとは思わないだろうなあ……。
心の中で腕を組みながら、うんうんと頷く。
「子爵も格上の婚姻先を見つけるようには焚き付けているようですが、殿下や私たちを狙うような指示は出していないようです」
セドリック様の言葉を聞き、執務室内に沈黙が流れた。
目的の分からないアイリス嬢の言動……。
……やはり転生者?




