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「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚  作者: きぬがやあきら


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追憶 1

「失礼致します、殿下。騎士団の方々がいらっしゃいました」


「誰だ」


 声の主は、護衛役の兵士だった。


 レオノールを運び込んでから騎士団から一切音沙汰がなかったが、収拾がついていないわけでもあるまい。


 レオノールの剣幕と、つきっきりのクラウディオを案じて、報告を遠慮していたのだろう。


 クラウディオを待っていたのは、副団長のエルネストとセレスだった。


「ちょうど良い。彼女から目も離せないことだし、隣で報告を聞こう。メリッサ、何かあればすぐ呼ぶように」


 クラウディオは隣室へのドアをメリッサに指示しながら、一旦、廊下に出て自室へ入り直す。


 侍従を置いていないので、部屋は真っ暗だった。


 窓を開いて月明かりを入れ、ランプに火を灯す。


「妃殿下の一大事に申し訳ありません。手短に済ませます」


 2人は神妙な面持ちで項垂れ、部屋へ進み入った。


 クラウディオの全身、いたるところに怪我があるのを見て取って驚きを禁じ得ないものの、口には出さず居住まいを正した。


「構わない。落ち着くまで待っていたのだろう。まずはお前たちが無事で良かった。それで?」


「ありがとうございます。ーー捜索の末、残りの2人も《《発見》》に至りました」


 クラウディオがソファに身を預けると、セレスは端的な報告を始めた。


「セレスが一人を発見した際、すでに刺客の命はなかったそうです。蘇生も叶いませんでした。エルメのほうも同様で、いずれもノーキエの使節団員だと確認が取れました。アルヴァロ王子の許可も取り、死体は地下牢へ収容しております」


「最初に見つけた、マルゴやらと同様にか? 狙いはやはりアルヴァロ王子なのか」


「その点については、犯人が全員死亡したため断定はできません。ですが状況から見て間違いないでしょう。使節団の方々は名簿と照らし合わせ、全員の帰着を確認。現在は各部屋に見張りを立て、外出を制限しています。アルヴァロ王子はあのようなお人柄で、狙われる理由に見当もつかないとショックを受けていらっしゃいましたが……」


 いつもは淡々と物事を判断するエルネストが、珍しく言葉尻を濁した。


 それもそのはずだ。


 確かにアルヴァロは第三王子と、王位継承順位は微妙な位置にいる。


 しかし王族の男子である以上、命を狙われる危険とは常に隣り合わせだ。


「理由は特定できないか。死んだ刺客の素性を洗うようノーキエ国王に申請するしかないが、我が国からは追求できない。こちらはこちらで、できることをするしかない」


「アルヴァロ王子にはご本人の侍従の他に、こちらの人間も必ず同席するよう、侍女と騎士をつけています。身辺はより厳重に警護しております」


「それでいい。犯人の目的や規模がわからない以上、どんな危険が潜んでいるかわからない。エルグランでの滞在中に何かあれば、国際問題になりかねん。明日の視察は中止にしたな?」


「無論です。陛下の了承も得て、各方面にも通達済みです」


「仕事が早くて助かる。明朝、使節団の帰国を早めるよう陛下に進言しよう」


 クラウディオが進言するまでもなく、首脳陣もそうするべく動いているだろう。


「悪いが帰国時に派遣する護衛を選定しておいてくれ」


 暗殺されかかったアルヴァロには気の毒だが、このような事態に陥った以上、長居はさせられない。


 それに、信頼のおけるものが少ない他国に長く身を置き続けるのも不安だろう。


 ーー亡命目的でもないのなら。


 せめてもの配慮として護衛を帯同させる。


 その采配をエルネストに任せた。


 報告と必要な指示を終えると、エルネストが下がる。


 代わりにセレスが進み出た。


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