表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚  作者: きぬがやあきら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
53/90

魔獣襲来 2

「で、殿下、逃げましょう。ここは、クラウディオ王子もそう仰せです」


「馬鹿を言うな。私にも魔獣狩りの心得くらいある」


 主より後方に下がる従者の弱腰は褒められたものではない。


 だが、どうかそのままアルヴァロを連れて行ってほしい。

 

 希望に反してアルヴァロは、剣を抜いた。


 スラリと抜いた(つるぎ)は見事に磨き抜かれているが、太刀打ちできて猪や鹿がせいぜいだ。


 とても魔獣退治など成しえまい。


 ーーこの王子と俺は、つくづく相性が悪いらしい。


 内心で舌打ちをすると、クラウディオはアルヴァロへと逸れた魔獣の注意を自分に戻すために、再び矢をつがえる。


「魔獣は単騎では到底狩れない。少しでも広場から引き離し応援を待つ!」


 昨日は測りかねたが、アルヴァロがレオノールに対して、特別な感情を抱いているのはもはや、明白だ。




 ”妃殿下は残念ながらお生まれになる国を間違えたようだ”


 ”王城でさぞ窮屈な思いをしていらっしゃるでしょうから、僅かでも息抜きをさせて差し上げたいのです”




 クラウディオの対応を批判し、堂々と勝負を挑んだのだから。


 つい勢いで受けた上、レオノールに対し無情な条件を付帯させた。


 昨晩「借りは返す」と誓ったばかりなのに。


 アルヴァロとレオノールの接触を減らす目的があった。


 アルヴァロが勝利と引き換えにレオノールとの時間を所望したのだから、クラウディオが勝った暁には残された希望を摘み取る。


 それは正当な判断だったろうが、同時にクラウディオはレオノールが視察の同行を楽しみにしていることも理解していた。


 アルヴァロの提案にも喜んでいたくらいだ。


 だから、レオノールの自由を賭けの対象にすることに迷いはなかった。


 本来なら、賭ける権利のある《《もの》》でなかったとしても。


 予想通りにレオノールは非難がましい目でクラウディオを睨んだ。


 振り返れば自分でも、子供じみた嫌がらせだと自嘲したくなる。


 けれど、反省をする気もない。


 原因はレオノールの言動だと、心の奥底では理解しているからだ。


 しかし、自分の信念と相反するようでどうにも好ましくない事態だ。


 感情に流される質ではないし、そうなる人間を嫌悪していた。


 レオノールがクラウディオを恨んでも、仕方がない。


「一理ある。協力はしよう。だが、奴を仕留めるのは私だ!」


 アルヴァロは抜き払った剣を横に構えつつ、魔獣へ向けて突進した。


「殿下っ! いけませんっ!」


 従者の制止も空しく、アルヴァロは魔獣に向かって一直線に駆ける。


(何をしてる、人の話が聞けないのか、彼奴(あやつ)は。あれで援護のつもりか!?)


「殿下ぁあ!!」


「止せ! 接近戦は不利だ!」


 クラウディオは、一度は緩めた弓をギリギリと引き絞り矢を放つ。


 狙いは魔獣の右眼だ。視界を奪えば一時的にでも動きを鈍らせられる。


 しかし、焦りも手伝い、想定通りに射出されなかった矢は、魔獣の眼前で捕らえられた。


 唸り声と共に、鋭い爪が空を一閃し、叩き落とされた。


 バシッ


 魔獣が前傾した隙をついて、馬上のアルヴァロが駆け抜けざまに一太刀を浴びせる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ