表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚  作者: きぬがやあきら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/54

蜂のイタズラ 5

「いや、レオが見慣れない格好をしてるから、なんかちょっと、戸惑うっていうか……」


「何それ? 似合ってない? これでも1ヶ月、みっちり特訓したのよ。クラウディオ様がね、私に先生を呼んでくれて」


「知ってる。昨日も大広間で見かけたしね。サマになってて驚いたよ。いきなり無茶振りされるのは勘弁だったけど」


「ごめんね。でも合わせてくれて助かった~。ありがとう! あの時さ、アルヴァロ王子がいきなり、クラウディオ様に飲み比べをしようとか言い出して、どっちが勝っても角が立つでしょ? だからどうにかして気を逸らそうと思ったわけよ。それで……あっ、勝負。せっかく人が上手く納めようと思ってたのに、あの人結局勝負を受けちゃったの。今度は狩りでどっちが大物を仕留めるかって」


 昨夜、祝宴が催された大広間でセレスの姿を見つけ、あの演出を思いついた。


 セレスは水の魔法を得意としている。


 いい塩梅に収拾させてくれるだろうと丸投げしてみたが、素晴らしい仕上がりにしてくれた。


 懐かしい友とのやり取りで気が緩んだのか、次から次へと話題が溢れて止まらない。


 日常生活では他者に明かせない思いを、意外にも溜め込んでいたんだなあと、自分でも驚く。


「それでか。狩りなんて余興なのに、団長は随分と本気モードだったもんね」


「クラウディオ様を見た? それが酷いんだよ、クラウディオ様が勝ったら明日の視察から私を外すって言うのよ」


 レオノールとしては自分の身に起きた悲劇に共感して欲しくて話題を投げかけた。


「そりゃあ、ね。クラウディオ様からしたら……」


 けれどセレスはわずかに眉根を寄せたものの、困ったような笑みを浮かべるだけで、同意してくれない。


 聞き上手のセレスならきっと一緒に憤慨してくれると思ったのに。


 ”酷いと思うでしょ? ね?”


 不満なレオノールはもう一度共感を求めようとしたが、開いた口から声は出なかった。


 鼓膜をわずかに震わせた足音に、違和感を覚えたからだ。


 レオノールは耳がいい。


 どれくらいの距離があるか、どういった類の足音なのかを目を閉じて瞬時に分析する。


 そうすれば、どうして違和感があるのかを突き止められる。


 ドドッ、と重量感のある足音に、複数の蹄、狩猟犬の足音が混じっている。


 合間に叫ぶような声も響く。


(4人? いやそれ以上。1キロ、800、700メートル、早い。こちらへ向かってる――)


 狩猟会なのだから、狩猟犬は獲物を追い立て、狩人はそれを追う。


 だが、耳に入る雑音は、獲物を追うような余裕のあるものではなかった。


 規則性はなく、バラバラで、むしろ追い立てられているようだ。


 違和感を異常だと確信し、目を開ける。


 セレスも異変を察知して、レオノールの分析を待っていた。


「タチの悪い獲物を追ってるみたい。広場へ突っ込む前なら、応戦しても良いよね」


「りょーかい。ワルい顔してんね、勇者様」


 室内にこもってばかりだったし、狩りからも外されて、《《運動》》に飢えていた。


 レオノールがペロリと舌なめずりするのを見て、セレスは苦笑する。


 踏み出して右足から3歩。


 一気にフルスピードまで加速した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ