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「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚  作者: きぬがやあきら


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ノーキエから来た国使 4

「お二人の仲睦まじいご様子が見られて嬉しく思います。それにしても……魔王を打ち倒した勇者とはどのような女性かと気になっておりました。それがこれほどにお美しいお方だとは! これは想像以上の幸運。ノーキエにとっても素晴らしい縁でございます」


 アルヴァロの視線はさりげなくレオノールに向けられ、台詞の終わりに何故かクラウディオへと移った。


(え、と……。これは私に話しかけてるんだよね?)


 チラとクラウディオの意見を求めると、既にクラウディオの注目はレオノールにあった。


 今度はバッチリと目が合い、胸がきゅっとときめく。


 相変わらずの難しい表情だが、レオノールの発言を待っているようでもある。


 こんな風に見つめ合うのは、初めてでなかろうか。


 どんな宝石も、伝説の鳥も敵わない美貌が目の前にある。


 クラウディオは何も言わないが、青く輝く瞳に不思議な感情の揺らぎが浮かんでいるように見えた。


 何やら胸騒ぎがしてレオノールは身震いしたが、ここで何かやらかすわけにはいかない。


 国王とノーキエ国使らの交流に水を差してはならないのだ。


「光栄なお言葉、ありがたく頂戴いたします。ノーキエの王子殿下」


 するとアルヴァロは、太陽を思わせる笑みを浮かべて答えた。


「どうかその輝きで、わたくしたちの訪れを照らしてくださいますように」


 当たり障りのないセリフでその場を乗り切ると、宰相のマヌエル・ベラスコが謁見の儀の終了を告げる。


「それでは皆さま、晩餐の支度が整いましたらお声掛けいたしますので、しばしお寛ぎを。滞在中の部屋へご案内します」


「ありがたく存じます」


 アルヴァロは丁寧に一礼し、従者たちを連れて退出していく。


 その姿が扉の向こうに消えると、張り詰めていた緊張が一気に解けた。


「どうだった? ノーキエの王子は」


 国王と皇后がレオノールに微笑みかける。


「率直で感じのいい方でしたね」


 気が緩んだせいか、一気に口調が軽くなった。


「そうだな。其方も随分と洗練された、立派な振る舞いであった」


「貴女が公務に出席すると聞いて心配していましたが、見違えました」


 国王は満足そうに頷き、皇后は扇で口元を覆って小さく笑った。


「ありがとうございます。しかし、国使の方々はいらしたばかりですから、気を抜かずに頑張ります」


「慣れぬ行いは疲れるでしょうから、祝宴まで休んでいらっしゃい。努力を惜しまなかった者には相応の報いがあるものですよ」


 意味ありげな微笑みと労いの言葉に恐縮しながら礼を返すと、「下がろう」とクラウディオが促した。


 どうやら帰りは一緒に来てくれるようだ。


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