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「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚  作者: きぬがやあきら


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18/42

家庭教師 1

 クラウディオ本人に話を通したからか、その日の昼食から充分な量の食事が提供された。


 ただし、本人の姿はない。


「あのォ、フォークがないんだけど……」


「失礼しました。お妃様はお食事でフォークを使う習慣がないらしいとのお話を耳にしたもので」


 当日は何事もなく過ぎたのに、翌朝からは"カトラリーが提供されない嫌がらせ"が発生した。


 昨日は様子見だったようだ。


 食事の量を改善するように厨房のほうへクラウディオから通達があったものの、変わらずレオノールを避けているので、嫌がらせは方向を見直して続行の方向に決めたらしい。


「なければどうとでもするけどね。あるんだから出してよ」


 注文してようやく出されたのは、小さなデザートフォーク。


 有り余る腕力で危うく握り潰しそうになったが、どうにか朝食を終えた。


 今日のドレスは赤。


 昨日着た服が薄桃色だったので、その流れで来ると思っていたのに意外だ。


 相変わらず、随所を膨らませるようなデザインは流行遅れというか、古式ゆかしいというか……レオノールにはわからない。


 とにかく見た目はダルマのようで、似合っていないのだけは確かだ。


(……と、ダルマだよね? あの、赤くて丸い、イカついフェイスの置き物)


 レオノールにはもう一つ、別の人生の記憶があった。


 幼少期から夢の中のことのようでぼんやりしていて思い出せないことが多かったのだが、10歳を目前に控えたころに徐々に鮮明になってきた。


 おそらく前世であろうその人生で過ごしていた国には色々と面白い文化があって、そのひとつが「ゲーム」と呼ばれる娯楽だった。


 色とりどりの画面に絵や文字が映し出され、指先で操って物語を進めていく。


 その中でも、特に夢中になっていたのがRPGロール・プレイング・ゲームという種類のものだ。


 小さな村で生まれた主人公が剣を手に取り、仲間を集め、魔王を倒して世界を救う。


 画面越しの冒険だったが、村から旅立つ時の胸の高鳴りや、強敵を倒した時の達成感は、現実と錯覚するほど鮮やかに心に刻まれている。


 それで、ふと、気づいた。


 自分が持つ"ありえないほどの身体能力"や"生活している環境"が、そういった物語の主人公とあまりにも似ている、と。





 "あれ? これって私が魔王を倒す勇者だって可能性、あるのかな?"





 残念ながら、この世界には魔物や魔王と呼ばれる怪物がいた。


 レオノール達の暮らすアルメリア周辺は人口こそ少ないものの比較的平和な暮らしを送っていられた。


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