勇者パーティ再集結 1
不意に肩を叩かれ、クラウディオはハッと覚醒した。
「クラウディオサマ。すみませんが、見てもらえますか」
「済まない……! 俺はまた、寝ていたのか」
今度は執務机ではなく、寝室のカウチに腰掛けたまままどろんでいたようだ。
自責の念に囚われて頭を振る。
この短期間でたかが5日、まともに寝ていないだけで2度も眠りに落ちるとは。
「いえ、辛そうだったんで、わざと眠って貰ったんです。治癒魔法じゃ睡眠不足は補えないんでね」
慌てて目を上げると、目の前に立っていた男はニヤッと笑う。
人好きのする笑顔だが、不思議と胡散臭さが付き纏う。
アッシュブルーの髪をオールバックになでつけて、仕立ての良いスーツを着た男。
コールヴァン・アグイレ子爵だ。
彼は褒賞として、爵位を授かった抜け目ない男だ。
クラウディオが目覚めるのを待っていたらしい。
「大分顔色もマシになりましたね。勝手に魔法をかけたのは、許してやってください」
横から声をかけたのは、セレスだった。
地図を置いたテーブルに張り付いて、首だけでこちらを確認する。
その隣には大柄な筋肉質の男、ブルネン・イアーノが同じく地図を覗き込んでいる。
全身は日焼けをして茶色いのに、頭髪だけは濃いセージグリーンと、特徴的な見た目をしていた。
2人ともレオノールが出立したあの晩からこの部屋に詰めて、レオノールと騎士団を奪還する方法を模索していた。
部屋の様子はクラウディオが意識を飛ばす前から変わっていない。
時計を見れば、針は10時を示していた。
日が傾いた形跡もない。
クラウディオが眠っていたのはほんの数十分のことだった。
だが、それだけでも随分と頭がスッキリとした。
短時間での休憩が効率的だったように感じるのは、コールヴァンのお陰らしい。
「眠らなきゃ身体が保ちませんから。どんな色男も隙を見つけて寝るもんですよ」
コールヴァンは片目を瞑って、フッと息を吐くように笑った。
言葉には何かしら別の意図が隠されていそうだが、気にしている場合ではなさそうなので受け流す。
「間もなくレオがネルダールの街に入ります。ネルダールを過ぎれば、首都のバルロウは目と鼻の先です」
「もうそんな所まで進んだのか。レオノールは、休憩をしているのか……?」
「馬の交換以外には勢い衰えてないので、まとまった休憩は取ってないでしょう」
「でもレオなら大丈夫だろ。馬に乗ったまま寝られるぞ、あいつは」
セレスが真顔で解説する横で、ブルネンはチラリとクラウディオを見やってすぐ、地図に目を戻す。
コールヴァンは後ろから地図を覗き込んだクラウディオの腰をポンと軽く叩く。
三者三様の反応だが、これが彼らの素の姿なのだろう。




