表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影を継ぐもの  作者: キロヒカ.オツマ―


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/350

第五十七章 アダム計画



 崩落を免れた施設の一角に腰を下ろし、少年は深く呼吸を整えた。

 脳裏に焼き付いたデータは膨大で、ただ思い返すだけで頭蓋の奥が軋みをあげる。

 だが逃げるわけにはいかなかった。

 これは高宮が遺したもの。そして、母体が死の間際に「継承」として押し込んできたものだった。


 ――アダム計画。


 意識を集中すると、断片的な映像と数値が脳内でつながり始めた。

 そこには「母体」はあくまで一次的な装置に過ぎず、真の目的は人間そのものを再設計することにあった。


 《資料A:胎児段階での神経配列書き換え》

 《資料B:社会的役割に応じた遺伝子編集》

 《資料C:集団意識を管理するシステム・ノード》


 画面も機械もないのに、少年の意識内でそれらが次々と開示される。

 情報の海の中で、彼は凍りついた。


 ――高宮はただの狂気の科学者ではなかった。

 国家や企業、それどころか複数の権力構造が、この計画に出資していた痕跡があった。


 「……母体は、ほんの実験台にすぎなかったのか。」


 言葉が喉から漏れる。

 データの深層に進むと、ひときわ鮮明な高宮の声が響いた。


 《アダムはまだ眠っている。だが“観測者”が目を覚ませば、必然的にアダムも覚醒する。》


 少年の背筋を冷たいものが走った。

 自分は“観測者”として選ばれていた。

 そして、その存在がアダム計画の起動条件に組み込まれていた。


 さらにデータの末尾に、不可解な記録があった。


 《第二拠点:K区第七封鎖区画》

 《保管対象:アダム-01 稼働率37%》


 ――まだ続きがある。

 高宮が死んでも、母体が崩壊しても、この計画はどこかで脈打っている。


 少年は額の汗をぬぐい、奥歯を噛みしめた。

 「……俺が止めるしかない。」


 しかしその瞬間、耳鳴りが鋭く響いた。

 転送データが再びうずき、視界の端に「コード列」が走った。


 まるで彼の脳そのものが“端末”として利用されているかのようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ