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影を継ぐもの  作者: キロヒカ.オツマ―


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第五十章 起動する影



 クローンの身体が完全に動きを止めた瞬間だった。

 研究施設の奥から、低い振動音が響き始めた。

 少年は思わず耳を澄まし、次に起こる変化を待った。


 ――カチリ。


 耳慣れない機械音とともに、壁の一部がスライドし、隠されたパネルが姿を現す。

 そのパネルには高宮の筆跡に似たラベルが刻まれていた。


 《NEXT PROTOCOL》


 「……次の計画……?」


 文字を見た瞬間、背筋に冷たい電流が走る。

 クローンの死が、まるで「合図」であったかのようにシステムが反応していたのだ。


 スクリーンが自動で起動し、映像が映し出された。

 そこに現れたのは――生前の高宮。


 「……もしこの映像を見ているなら、私の第一計画は失敗に終わったということだ」


 無機質な映像の中で、高宮は淡々と語り始めた。

 だがその目は、少年を見透かすかのように鋭かった。


 「失敗は想定済みだ。次の段階に進むための条件でもある。

  “死”を持って個体をリセットし、システムは次の扉を開く」


 少年は無意識に唇を噛んだ。

 ――やはり、高宮は死の直前まで「次」を考えていたのだ。


 「……君が誰であれ、この施設に辿り着いた者に告げよう。

  私の研究はここで終わらない。

  培養槽の奥に眠る“母体システム”が、自動的に継承する」


 言葉と同時に、施設全体が再び揺れた。

 足元の床下から、巨大な駆動音が響き、冷却装置のような白い蒸気が噴き上がる。


 ――まだ何かが生きている。


 少年は悟った。

 高宮の死も、クローンの死も、すべて「通過儀礼」にすぎなかった。

 その背後で、より巨大で根深い計画が動いている。


 「……これが、本当の“始まり”か……」


 少年の声は機械音に掻き消される。

 映像の高宮が最後に冷ややかに笑った。


 「ようこそ――《深層階》へ」


 直後、施設の奥へと続く扉が開き、赤い警告灯が次なる道を照らし出した。

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