表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影を継ぐもの  作者: キロヒカ.オツマ―


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

105/350

第百三章 残された声



 爆炎の余韻が地下通路を震わせ、焼けた金属の臭いが鼻を刺す。

 少年は膝をつき、しばらくその場から立ち上がれなかった。


 背後には、もう誰もいない。

 あの仲間の声も、手の温もりも、すべて炎の中に置き去りにしてきた。


 ――俺は、生き残った。

 その事実が胸を締め付ける。

 「……なんで……」

 声にならない言葉が喉を震わせる。


 自分一人だけが助かることなど、望んでいなかった。

 だが、仲間は最後まで「お前は生きろ」と言った。

 その命令が、重く、鋭く、心臓の奥に突き刺さっている。


 手を見下ろす。

 震えが止まらない。

 端末の残滓がまだ体内に蠢いているのか、それとも単なる恐怖か、自分でも判別できなかった。


 だが――耳の奥に、仲間の声が残っていた。

 「お前は器じゃない。お前は、お前だ」


 その言葉が、火傷のように痛む。

 少年は額を壁に押し付け、奥歯を噛み締めた。

 涙が零れそうになるが、流すことは許されない気がした。


 彼が犠牲になった意味を、無駄にするわけにはいかない。

 生き延びることが、背負った証明になる。

 その覚悟が、胸の奥で少しずつ形を取り始める。


 ――俺はもう、逃げるだけの存在じゃない。


 立ち上がった少年の足取りは、さっきまでの震えを残しつつも、どこか確かなものに変わっていた。

 仲間の死は、痛みであり、呪いであり、そして進むための唯一の道標だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ