十二星座龍の煌めき
「よし、無事に代われたな。体もちゃんんと動く」
サジリが眠ったシエルと代わり体の動作の確認をしている。
シエル抜きでの行動はレオン達にとっても初めての事で色々と慎重になっている。
『魔力感知で捕捉した敵はまだこっちには気づいていないみたいだ。逃げる様子もない。行けるぞ』
「——了解。魔力なしでの飛行に移り、敵のところへ向かう」
心の奥で標的の状態を感知したレオンからの報告を受け、サジリは窓から空へと飛び立った。
「上手くいった、飛行は安定している。このまま指定の位置まで魔力抜きで移動する」
飛行の成功を確認したサジリは勢いよく標的のいる場所へと向かった。
やがて魔力感知で調べた通りの場所、少し開けた広場で怪しげに集まっている人間が見えてきた。
数は五人。その形からして十二星座龍神教ではなくフォルの使徒であることが分かる。
奴らは普通の騎士団のような格好をしていてる。恐らくジルと同じように騎士団に潜み、活動しているのだろう。
目視できる距離に来たところでサジリはシエルに言われていた手筈通り、一気に間合いを詰める為に風の魔力を使いその飛行を加速させた。
奴らが魔力を感知したその時にはもう、サジリ達は頭上にて攻撃の準備に入っていた。
体の主導権が渡ったレオンは創世者からそれぞれが与えられた十二の武器——最煌星武器(シエル命名)のレグルスを取り出した。
レオンは自分の身の丈より大きい赤く輝く大剣であるレグルスを振り上げ、火属性の魔力を込めた。
「何だ、あの魔力は!?」
レオンの異様な魔力の高まりに奴らの内の一人がそう叫ぶ。
もはや立ち向かおうとする奴は存在せず、一刻も早くその場から離れようとしているがもう詰みだ。
「急いでこの場から逃げ——」
「もう遅えよ。——レグルスノヴァ!!!」
レオンは魔力を込めたレグルスを奴らのいる広場に突き刺すように空から落ちていった。
逃げる隙を与えない攻撃が奴らを襲う。
燃え盛る炎が広場に満ち、辺りを照らす。
これでも街を壊さないように気を配った威力である。
そのせいか広場に横たわっている人数は二人しかいない。三人が逃げている。
レオンは慌てず辺りの炎をレグルスによる素振りで掻き消した。
「まあ、この威力じゃこんなもんか。しょうがない。交代だ、ピスケ」
「分かった。高速で、拘束するよ」
代わって早々、寒い事を口走るピスケ。
そして、慣れた感じでスルーするレオン達。
『はいはい。頼んだぞ』
「敵は以前捕捉したから、依然場所が丸分かりだよ」
そう言いながらピスケは最煌星武器のアルレシャを取り出した。
そのままピスケは水色に輝く短剣であるアルレシャに魔力を込め、散り散りに逃げた三人の敵の正確な居場所を魔力で地面から辿る。
魔力の足跡をなぞり、把握した地点へ向けてピスケはアルレシャを地面に突き刺し攻撃を放った。
「——アルレシャアブソリュートコスモス」
地面に突き刺されたアルレシャから放たれた冷気が路面を凍結させながら瞬く間に全方位に伸びていく。
そして必死に逃げている敵を有無を言わせぬ早さで、攻撃されている意識させる間もなく、その行動の一切を凍結し拘束したのだった。
「これにてオレの仕事は寒涼に完了」
無事にフォルの使徒を捕まえたピスケは相変わらずな感じで報告した。
『へいへい、お疲れ。サジリ、代わってくれ』
『了解』
レオン達は体の主導権を行きと同じくサジリに変わり、後始末を始めた。
これ以上敵がいないことを魔力感知で確認した為、サジリの風の魔力による高速の移動が可能になった。
この事で後始末は簡単に終わった。
無力化した五人をジルと一緒にまとめて拘束すると、エトワール邸の玄関に捨て置いた。
シエル曰く、全部父親に任せた方が良いとの事だ。
倒した経緯は何とか誤魔化しておくと言っていた。
まあ大丈夫だろう、とレオン達は深く考えずにシエルの体を寝室へと運び、その主導権をシエルに返すのだった。




