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サピエンス科学『異世界原論』ーー異世界は誰に微笑むのか  作者: 江戸川Q
異世界は誰に微笑むのか
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『転(ころび)』の漢字は、古代中国において形成された文字である。意味は車が転じる様子を象徴しており、動きや変化を示す意味合いを持っている。


 元来は車輪が地面を転がる様子を表していたとされ、やがてさまざまな変化の概念を含むように進化した。


「転」は「回転する」「位置を変える」「方向を変える」といった物理的な動きを示すことから、「状況」「話題」など抽象的な変化や移り変わりを指す用法にも広がり、言語としての「転じて」という表現は、ある事柄から別の事柄に話を移す際に使われている。


 その『転(ころび)』を、何故、心理的作用と共に思い出したのか…それは自分の体験と関りがあるからである。


 自分は過去、小学生の頃に転校をしたことがある。大人になり老年の境を迎える自分には、どこか甘酸っぱい少年の頃の思い出ともいえることだが、田舎から都会へと転校を体験したその時の少年自分はーー正に、『異世界』を体験したといえる。


 それは心理的作用として孤立ということもさながら、実際に田舎と都会との生活ギャップがかけ離れており、それがこのエッセイを書くに及んであの時の都会は『異世界』であった。


 そして思うのは少年時代は田舎で育ち、青春時代は都会であったという、この成長の段階でのそれそれの『驚き』は、その後の自分を構成する要素として極めて重要な化学変化(ケミストリー)を内封させておりーー、今思えば、もうそれはその時代に戻って行うことのできない、壮大な人生実験と言えるかもしれない。


 故に『転(ころび)』が自然とエッセイを書きながら出てきたのも無理はなく、またその後の人生においても、これは自分だけではないが、多くの人にも『転(ころび)』を通じて、心理的作用による多くの異世界体験をしているはずだと思ったのである。


 転校、転職、転居ーーそれらはきっと多くの人々に環境及び外界の変化として『心理的作用』を与え、且つ『驚き』を与えていることだろうと思うえば、『異世界』が背中合わせの『現実(リアル)』として、知らないうちに自分たちに傍にあるということを理解できるのではないだろうか。


 また『転』は『旅(トリップ)』とも繋がり、多くの『異世界』体験を時代を問わず旅人(トラベラー)に与えているし、ボブ・ディラン氏の傑作曲「Like a Rolling Stone(直訳:転がる石のように)」のように、吟遊詩人的精神にもそれは現れている。


 すこし話を逸らすが、そのような心理的体験を効果とした『転(ころび)』の異世界体験として、中世文学にダンテ(ダンテ・アリギエーリ(イタリア語:Dante Alighieri、1265年 - 1321年9月14日)が書いた『新曲』がある。

 

『新曲』は地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部から成る[長編叙事詩であり、イタリア文学最大の古典とされ、世界文学史上でも極めて重きをなしており、当時の作品としては珍しく、ラテン語ではなくトスカーナ方言で書かれていることが特徴である。(一部、ウイキペディアより引用)


『新曲』そのものは現代人が見れば、空想体験である。しかし、中世における世界観の中では、現代人よりもよりにおけるメディア媒体を通じて触れ体験する『世界創造(ロジック)』とは異なり、背中合わせの『現実(リアル)』であっただろう。


 そして『転(ころび)』はまたここにきて、自分に別の解釈を与えてくれたようだ。…それは何か?


 それは『驚き』が、そのサピエンスに与える化学反応(ケミストリー)ーーそれはサピエンス科学(サイエンス)の中でも大変重要な事柄であるーー『発見(ディスカバリー)』である。











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