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サピエンス科学『異世界原論』ーー異世界は誰に微笑むのか  作者: 江戸川Q
異世界は誰に微笑むのか
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 現実と背中合わせの心理的作用が及ぼす効果が『異世界』と言う空間を創り出すーーとでも前段迄を纏めれば、そうなるのかもしれない。


 日常の中で起きる心理的作用、つまり冒頭にある裸足の男を見た瞬間に起きた心理的作用をもう少し掘り起こせば、それは…『驚き』に違いない。


 学術(心理学や脳科学)において「驚き」とは、予測と現実のズレ(予測誤差)によって生じる、生物の基本感情および認知反応のことのようだ。

 そして心理学者のポール・エクマン氏が提唱した、全人類に共通する「基本感情」の一つとして位置づけられている。


 こう書くとまるで難解な産物のように思うかも知れないが『驚き』は極めて無理ない感情の益物である。

 だが「予測と現実のズレ(予測誤差)によって生じる、生物の基本感情および認知反応」であるというのは『異世界』たらしめる『要素(ファクター)』として見逃すことは出来ない。


 確かに『神域』『霊域』は予測と現実のズレにある。つまり現実からは予測されない日常のズレ、ーー非日常、もしくは非現実な空間として背中合わせに存在している。故に訪れる人は『驚き』を感じ得るのかもしれない。


 エッセイの最初に書いたゲームやアニメーション、映画、小説等も背中合わせの『異世界』ではないが、メディア機器等の媒体を介して『世界創造(ロジック)』に触れる。

 故に予測と現実のズレ(予測誤差)を創り出す存在であるので、『異世界』として否めないところがあるのだろう。


 ならば共通点の『驚き』と言う心理的作用がそれら対象を『異世界』たらしめているのは、間違いがないに違いない。


 これはやはり、大変、重要な点である。まるで蝋燭の焔が揺らいで、双眸を照らすのを感じる。


 ならばこそ此処にきて、日常の中にあるこうしたケースも、そうではないかと思う事が浮かび上がって来たのも、不思議ではない。


 それは何でもないことだが、正に現実の中で感じる『異世界』であり、誰でも一度は体験したことがあることである。


 それは『転(ころび)』である。





 



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