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03:人魚との遭遇

 海底ダンジョンを見付け、その中に入ると、程なくして私達は人魚と遭遇した。

 人魚は4人いて、どれもゴリマッチョな男達で、その手には銛が握られていた。

 彼らは閉鎖的な部族のようで、私達の侵入を拒むために、その銛で威嚇してきたのだ。



『人類皆友達。平和が一番。私達は貴方達と交流したいだけです』


 

 私は4人の人魚に、そう念話を送った。

 念話はこちらの意思を、直接頭の中に伝える魔法なので、例え彼らと言語が違ったとしても、通じるはずなのだ。

 すると人魚達は、4人で顔を突き合わせ、何やら音波のようなものを発し始めた。

 どうやら彼らは、その音波によって、意思疎通を図っているようだ。


 彼らは私にも、音波を飛ばしてくるが、私にはその内容が、まったく理解できなかった。



『どうしましょうクマさん・・・・会話が成立しませんよ?』



 こちらは念話で意思を送れるが、向こうの使う音波の内容が、まったく理解できない。

 これでは会話が、一方通行になってしまう。



『任せとけ嬢ちゃん!』


 

 するとクマさんは口を開けて、人魚達に音波を飛ばし始めた。

 どうやらクマさんは、音波での会話も可能なようだ。


 こいつなんでもできるな・・・・



『クマさん・・・彼らは何と?』


『どうやら奴らは、他種族との交流を禁止しているようだ。だから交流はできないと言っている』


『それは困りましたね? 聖獣設定とかでなんとかならないんですか?』


『設定とか言うな』



 クマさんは今まで、こんな場面に遭遇すると、聖獣設定を発動させてきた。

 するとたちまちクマさんは、神扱いとなり、交流も円滑に行えたものだ。



『あいつら聖獣を嫌っているぜ。だからオイラを特別扱いはしないだろう・・・・』



 聖獣を嫌っている?

 いったい彼らと聖獣との間に、何があったというのだろうか?



『過去に彼らと何かあったんですか?』


『多分だが・・・・あいつらは天族の楽園に住んでいた住人の、生き残りの子孫なのかもしれねえ・・・・』



 天族の楽園は、かつて神龍アトゥムによって治められていた、天族の集まる国だ。

 かつて天竜ディノサウスが、天族の楽園を復活させるために、私に助力を願ってきたことがあった。

 その復活させた天族の楽園こそが、あのシーワン国なのだ。


 当時聖獣達は天族の力を警戒し、天族といがみ合っていたと聞いている。

 その影響か聖獣は、天族の楽園では、嫌われ者だったようだ。


 目の前の人魚達が、その天族たちの子孫だとすれば、聖獣であるクマさんを、好ましく思っていないのも頷ける。

 そのため今回は、聖獣設定は機能しないと思われる。


 これは手詰まりだ・・・・竜宮城は諦めるしかないのか・・・・?



『待たれよおぬしら・・・・』



 すると私の頭の中に、いまだかつて、感じたことのない念話が届いた。

 どうやら私の知らない人物が、私に念話を送ってきているようだ。


 すると4人の男の人魚の背後から、白銀に輝く、老婆の人魚が現れたのだ。


 どうやら私は再び、期待を裏切られたようだ。

 人魚とは美女であるはずだ。

 あれは本当に人魚とよんでも良い存在なのだろうか?

 もうジュゴンとかサハギンとかでもいいのではないだろうか?


 老婆の人魚は冠をかぶり、その手には立派な銛が、握られていた。


 4人の人魚の様子から、その老婆の人魚は、敬われる立場の人魚であることがわかった。

 そして私はその白銀に輝く、老婆の人魚の気配に覚えがあった。



『貴女・・・・天族ですね?』


『その通りだ。我こそは天魚アルラである・・・・』



 その老婆の人魚の正体は、かつて私達をてこずらせた、天竜ディノサウスと同様の、天族だったのだ。



『姿見た目は変わっておるが、その気配・・・・忘れたことなぞないぞ。聖獣フェンリル・・・・のこのこと我らの前に、なんの目的で現れた? 返答しだいでは容赦はせぬぞ?』



 次に天魚アルラは、クマさんに視線を移し、そう念話を送ったのだ。


 そしてクマさんと天魚アルラは、お互いに睨み合う。

 まるで因縁の相手と、再会したかのように・・・・


 そのただならない様子に、皆が息をのんだ。



『クマさん喧嘩は駄目ですよ? 私・・・人魚たちと仲良くしたいんですから!』


『ああ・・・わかっちゃあいるんだがよぉ。どうにも血が騒ぎやがる』


『しょうがありませんね・・・・。クマさんは少し下がっていてください! お話は私がしますので!』


『お・・・おう! 嬢ちゃんはそんなに強引によう・・・・!』


 

 私はクマさんのまとっている空気の膜を、自らの空気の膜で、押しのけて前に出た。ポヨ~ン!



『私・・・リンネといいます。よろしくお願いします』



 そして天魚アルラに向けて、笑顔で自己紹介をした。



『其方・・・かなり上位の存在であろう? それ程の上位の存在におうたのは、この長い人生の中でも初めてぢゃ・・・・。何故このような場所に出張って来た?』



 すると天魚アルラは、探るような目で私を見ながら、そんなことを尋ねて来た。



『いえ・・・・! 私、出張るとかそんなんじゃないですので! ただ観光目当てでやってきただけです!』



 私は人魚という生き物に興味があるだけだ。

 あわよくば仲良くなり、竜宮城まで案内してもらえれば最高だ。



『カンコウぢゃと? いったいそれはなんぢゃ?』



 すると天魚アルラには、観光の意味が伝わらなかったようで、その意味を聞いてきた。


 

『何と言いますか・・・・観光とは・・・・そう! 物見遊山のことです!』


 確か前世で目にした時代劇で、観光のことを、物見遊山と言ってたのを思い出す。


『なに!? 其方それほどの力を持ちながら、あちこちで遊び惚けておるのか!? しかも聖獣を引き連れて!?』



 どうやら物見遊山という言葉は、遊び惚けているという意味に、伝わったようだ。

 確かに物見遊山は、見物しながら遊び歩くことだが、どうにも文化の違いか、はっきりとその意味が、伝わっている感じがしない。



『聖獣フェンリルよ! 其方上位の者をお諫めする立場であろう!? 何を一緒になって遊び惚けておるんぢゃ!?』


『ほら~! 嬢ちゃんのとんちんかんな説明のせいで、オイラまで叱られたじゃねえか!』

   

『え~・・・! 私のせいですかねそれ~・・・・』



 どうやら言葉の壁は取り除けても、文化の壁までは、取り除けないようだ。

 そしてクマさんと私は、しばらくの間、天魚アルラへの説明に、四苦八苦するのであった。

 


『は~・・・・。おぬしらが無害なのはよくわかった』



 ようやく話もまとまり、なんとか私達が、無害であることを理解してもらうことが出来た。

 観光の意味については、平行線のままだがね。



『本来他種族を招き入れるのはご法度なのぢゃが・・・・。こんな場所までわざわざやってきたのぢゃ。我が村に招待しよう。ついて来るがいい・・・・』


『おお! やりましたよクマさん! ついに竜宮城へ行けますよ!』


『ああ! わかったから落ち着け! あと・・・・竜宮城はないと思うぞ・・・?』


『ふぁ?』



 どうやら私達の説明が、功を奏したのか幸運にも私達は、人魚の村に招待されることになった。

 ついに私の目の前に竜宮城が・・・・!

【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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