49:それぞれの別れ
気付けば地面に倒れ伏していた。
原因はわかっている。
先ほど受けた、光と轟音の影響だ。
これはヘカテーちゃんの、魔法か何かだろうか?
いや・・・どうやらそうでもないようだ。
見るとヘカテーちゃんも、私と同じように、地面に転がっていたのだ。
「これはアイテールの魔法なのん・・・・。原初殺しの雷撃と言われていた悪辣な魔法なのん・・・・」
見るとアイテールが、涙目でこちらを睨みつけていた。
どうやら私達が倒れている原因は、アイテールの雷撃魔法によるもののようだ。
だが私の魔力感知に、感知されない攻撃があるなんて、初めての経験だ。
まだまだ魔法の世界には、私の理解が及ばない、未知が多く存在しているようだ。
「突然何をなさいますかアイテール!?」
「アイテール酷いのん! せっかく気持ちよく踊っていたのに!」
私達はその攻撃の主である、アイテールに抗議した。
せっかくリズムに乗って、気分も高揚していたというのに、なぜこんな仕打ちをするというのか?
「二人とも周囲をよく御覧なさい!!」
アイテールが涙を流しつつそう叫ぶと、私達も周囲の様子を窺う。
「こ、これは・・・・」
「酷いのん・・・・」
私達のいた謁見の間は、あちこち破壊され、崩落寸前となっていたのだ。
私達の喧嘩を見ていた皆の様子も窺う。
すると葵ちゃんはフェンリルの獣人となり、アルバートとトニーは、腰を抜かして座り込んでいた。
ニャーさんに関しては、気絶してしまっているようだ。
どうやら葵ちゃんがフェンリルの獣人になることで、皆を守っていたようだ。
クマさんは仁王立ちになり、私達を睨みつけている。
アイテールを泣かせた私達が、許せないのだろう。
「物が壊れるのは直せるからまだいいわ! でも命を失うのは・・・もっと辛い・・・・。かつて起こった原初同士の戦いで、わたくしたちがどれだけ悲しい思いをしたか・・・ヘカテー姉様ならご存じでしょ?」
「面目ないのん・・・・」
「・・・原初同士の争いなんて・・・・もう・・・・止めてちょうだい・・・・」
アイテールは涙を流しながら、私達にそう訴えかけた。
そんなアイテールを見た私達は、いたたまれない気持ちになる。
「「御免なさい・・・・」」
そして二人揃って、土下座を決めた。
「謝るくらいならまず二人で仲直りしてちょうだい!」
「そうだぜ嬢ちゃん! ヘカテー! 仲直りしろ!」
「先輩酷いです!!」
そう言われた私達は、徐々にお互い手を差し出した。
そしてその手は徐々に交差して・・・・お互いの頬を掴む。ムニ!
「「むぎゅう~~~!!」」
そしてお互いのほっぺを引っ張り合った。
「「「いい加減に」」なさい!!「「しろ!!」」」
「「御免なさ~い!」」
こうして原初同士の超絶バトルは、土下座によって幕を閉じたのだった。
そしてお互い仲直りした、私とヘカテーちゃんは、急ピッチで謁見の間の修理を開始した。
お互い同調しあったこともあって、調子がよかったこともあっただろう。
その修理は神がかり的な速度で完了したよ。
「おめえら元気でな!」
「また会おうぜ!」
「ヤックにもよろしく伝えるニャ~!」
やがてアルバートとトニーは、ニャーさんを伴って、イーテルニル王国へと帰還していった。
そして葵ちゃんは白い空間を通じて、故郷に行くためにシーワン国に残った。
「それじゃあまた一ヶ月後に迎えに行くよ・・・・」
「うん・・・リンネちゃんその時はお願い」
その日、私は葵ちゃんを、無事にあちらの世界・・・・日本に送り込んだ。
それから私は、時々葵ちゃんの様子を、白い空間から覗き見ていた。
まず葵ちゃんの家族は、死んだはずの葵ちゃんが、帰って来たことに驚き、喜んでいた。
やがて葵ちゃんは、自らが他の世界からやってきたことを、家族に告白する。
そして涙の中、再び葵ちゃんは、この異世界に帰って来たのだ。
「うわああああん! うわあああああん!」
「悲しかったのね葵・・・・。いくらでも泣くといいわ・・・・」
そんな葵ちゃんを、岡崎 日向となったヘカテーちゃんが、抱擁し慰める。
あのいつも明るい、涙なんて一度も見せたことのない葵ちゃんが泣くなんて、よっぽど辛かったに違いない。
でもあの世界にはいつでも送ってあげられる。
魔力の問題もあるから、そう頻繁には無理だけどね。
「本当に行ってしまわれるんですねヘカテー姉様・・・・?」
悲しい表情で、ヘカテーちゃんを見送るアイテール。
あんなにいつも仲良く、一緒にいたヘカテーちゃんが、旅立ってしまうのだ。
悲しくないわけがない。
「ええ・・・いつかまた会えるわアイテール」
「色々とお世話になりました!」
あれから数日が経過したこの日、葵ちゃんと、岡崎 日向の姿となったヘカテーちゃんは、旅立ちを迎えていた。
二人は話し合った結果、この異世界を旅して周ることにしたようだ。
色々見たい場所もあるし、あの孤児院や、イーテルニル王国や、エテール聖国にも、行ってみるつもりらしい。
「リンネちゃんもまたいつか!」
「ええ・・・・。また会いましょう葵ちゃん・・・・」
私は手を振る葵ちゃんを見送り、別れの挨拶を交わした。
こうして白川 葵という少女は、先輩、岡崎 日向とともに、旅立っていったのだった。
だが私が葵という少女に、再会するのは、そう遠い未来ではなかった・・・・
第十七章 女子高生転移編 完。
【★クマさん重大事件です!】↓
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