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39:旅の道中

 数日後私達は、皆に見送られながらお世話になった王宮を後にした。

 

 今回の旅の目的は、港街ノースポーへ行き、今から2日後に入港する、ホウライの魔道船に乗せてもらうことだ。


 王都の関所へ行くと、爵位授与式に呼び出された貴族が、帰省するためにごったがえしていた。


 今回はクリフォード侯爵の誘いでもあるので、港街ノースポーまで一緒に行くことになっているのだ。

 そのためにこの関所の前で、待ち合わせをすることになっている。



「これはリンネ殿。お待ちしておりましたぞ。今貴族の間では、貴女の話でもちきりですぞ!」


「貴方、そんなに声を張り上げては、リンネに迷惑が掛かってしまいますよ!」



 するとクリフォード侯爵は、奥さんのエリザべート夫人と従者と護衛を連れて、先に関所で待っていた。



「こちらはメイアとその娘だ」


「エミーです」「マリーです」



 今回はメイアちゃんとその娘が2人、この旅に同行するようだ。

 エミーちゃんは12歳で、マリーちゃんは10歳なのだという。

 2人とも若かりし頃のメイアちゃんにそっくりだ。


「それじゃあ馬車を15人乗りのものにして、皆でお菓子でも食べながら思い出話でもしませんか?」


「15人乗りですと? そんな馬車があるのですか?」



 私が提案したのは、馬車をヘンツさん2号に変えることだ。

 ヘンツさん2号は、御者席に3名、中に12名と、合計15名の乗り込みが可能なのだ。

 車体の重みが不思議なくらいにないので、お相撲さんでもないかぎり、15名が馬2頭で引けるはずだ。



「ほう! これはすごい馬車ですな! 車輪のない浮遊する馬車ですか!」



 さっそく馬車をヘンツさん2号と交換して、皆で中に乗り込む。

 私とクマさんと、リンデルとアイリン、クリフォード侯爵とエリザベート夫人に、メイアちゃんとその娘2人が乗り込む。

 それに加え護衛と御者が前に乗っても、まだ5人も乗り込める余裕があるのだ。


 ちなみに残り5席は、乗り込む人間をくじなどで決めるそうだ。

 皆珍しい乗り物には、乗ってみたいのかもしれない。



「貴方! まったく揺れもない快適な馬車ですわ!」


「本当だなエリザベート! 走っていることすら感じさせないくらいだ!」



 クリフォード侯爵とエリザベート夫人が、その馬車の乗り心地を絶賛する。


 そして私達の馬車は、港街ノースポーへむけて出発した。


 今回も侯爵家の移動とあって、その人数は総勢50名にもなる。

 そのほとんどが護衛の騎士で、残りは使用人だそうだ。


 港街ノースポーに行く途中には野営地に立ち寄り、そこで一夜を明かした後に再び港街ノースポーを目指すのだ。


 私達はヘンツさん2号の中で、お菓子を食べつつ、それぞれの思い出話に花を咲かせる。


 メイアちゃんは騎士爵の男性と結婚し、3人の娘を授かったそうだ。

 胃袋をがっちりと掴んだと、自慢していた。

 

 エリザベート夫人は、クリフォード侯爵との間に、13歳になる男の子に、11歳の女の子と、7歳の男の子を出産しており、11歳の女の子は魔術学園に入学しているという。


 一番下の男の子がリンデルとアイリンと同年齢なので、魔術学園に通うとしたら同学年になる。


 私は10年間寝ている間に、2人子供が出来た話とか、最近翼やら輪っかやらが生えてきて、少し心配だという話をしたら、なぜか皆に拝まれたよ。



「今日こそあの野営経験が役に立つのね?」


「よっしゃっ! 野営なら任せとけ!」



 今日の野営地が見えてくると、アイリンとリンデルがやる気に満ちた表情で、そんなことを言い出した。

 クマさんがそんなリンデルとアイリンを、なにやら遠い目で見ているが、なぜだろうか?





 ドドドーン!



 野営地に到着すると、さっそく地面を整地して、ホテルくまちゃんと料理研究所を出した。



「・・・・」


「何これ・・・?」


「今日の宿泊先」


「嬢ちゃんにはこれくらい当たり前だから、早くなれるこった・・・」



 リンデルやアイリン、初めて見たであろう使用人や護衛の人達が、唖然とした様子で、ホテルクマちゃんを見ている。


 私は野宿をする気など微塵もないのだ。


 もちろんホテルクマちゃんと料理研究所を出したとしても、全員の宿泊は不可能なので、大半の護衛や使用人の方は、テントで野宿ということになるが、こればかりは仕方がない。


 その日の夕食は皆のリクエストにより、焼うどんになったよ。

 なんでも20年も前にエインズワース家との旅の途中、野営で出した焼うどんが、ずいぶんと好評だったようだ。


 その日の焼うどんも、お代わりが続出するほど好評だった。


 もちろんメニューはそれだけでなく、スープやサラダ、メイアちゃんお手製の、ミートパイが付いたよ。


 ミートパイはサクサクとして、とても美味しいミートパイだった。

 この辺りにクロワッサンを作った経験が、生きているのかもしれない。

 

 その後は少し夜更かしをして、色々と料理を試作しつつ、メイアちゃんや他の使用人の人達と、料理談義に花を咲かせたよ。

 とても有意義な時間だったと思う。


 翌朝は悪しき黒パンを、フレンチトーストに変えて朝食に出したよ。

 朝はこのフレンチトーストにサラダと、メニューは少なかったが、これもとても好評だった。


 そんな朝食が終わると野営地を出て、再び馬車を進める。


 そしてその日の昼頃、ようやく港街ノースポーが、見えてきたのだった。



【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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