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35:リンデルとアイリンの森での野営後半

 現在私達はリンデルとアイリンの、森での野営訓練の最中だ。

 それはアイリンが旅に出る許可をもらうためだ。


 まあついでにリンデルの訓練も、することになったんだけどね。

 現在太陽が西に傾き、夕方がまじかに迫る時間帯だ。


 野営地にはすでに焚火が焚かれ、メラメラと音を立てて燃えている。



「え~・・・。では次にお2人にはお食事を作っていただきます。なおクマさんと私は、アドバイスはしますが、基本手出しはしません」


「やってやるぜ!」


「いいじゃない! 面白そうね!?」



 私が次の課題を出すと、リンデルとアイリンは、やる気に満ちた表情でそう答えた。

 なお今回料理で使う包丁は、私が操鉄で作った鉄製のものだ。



「今日はボアの焼肉をします。私がボア肉を切っていくので、2人も真似をして切ってみてください。もしも包丁で指を切っちゃったらすぐに言ってください。私が回復魔法で治します」



 この世界には回復魔法があるので、前世とちがい安全に包丁が使えるあたりは有難い。

 


「ワタシそれくらいの傷ならすぐに回復するし、大丈夫だよ」



 アイリンには自己回復が備わっているようだ。

 このスキルは幼い頃、エマちゃんにも発現していたと耳にしたことがある。

 自分限定だが、傷などのダメージの回復が、非常に早くなるスキルだ。



「オレも身体強化で指を強化すれば、これくらいの刃物じゃあ傷もつかないぜ!」



 そうですか・・・。


 この2人には包丁程度では、武器にもならないのかもしれない。


 そう思いつつ私は、先ほど解体したボア肉のブロックを、まな板の上に出して薄く切っていく。



「肉が潰れて上手く切れねえ!」



 リンデルは苦戦しているが、アイリンは少し慣れているようで、ぎこちない手つきではあるが、上手くそれなりの薄さに切りそろえられているようだ。



「ねえ。クマジロウは料理をしないの?」



 アイリンが手持ちぶさたにしている、クマさんの方を見てそう口にした。



「先ほども言いましたが、あくまでクマさんと私は監視役なので、アドバイスはしますが、作業自体は手伝わないと思ってください」



 今回クマさんと私は、アイリンがちゃんと野営を務められるか見るための監視役なので、野営の準備などは、やり方を教えても手伝わないことになっている。

 それがエイリーン夫人とエマちゃんが今回出した条件でもあるのだ。



「最悪クマさんは料理はしなくても、生肉でもむしゃむしゃ食べますので心配はいりません」


「オイラだけ生肉とか、いじめかぐぉらあ~!!」



 そんな冗談を言い合いつつも、出した大皿に切った肉を、次々と積み上げていく。



「けっこうの数ができたね!」



 そう言いつつアイリンは額の汗を拭う。

 そして目の前には、薄く切ったボア肉の山に、食べられる野草やキノコが並べられる。



「次は食材を焼くための石板を作ってもらいま~す」



 今回は石焼の焼肉にする予定なので、2人には土魔法で石の板を作ってもらうのだ。



「ええ? オレ土魔法は使えないぜ?」


「ワタシも土魔法はちょっと・・・」



 そんなことを言う2人だが、クマさんが見たところ、2人は土魔法の適性をもっているようだ。

 いつそれをクマさんが確かめたのかは知らないが、クマさんが言うのなら確かなのだろう。



「では目の前に出した砂に、魔力を流してみてください・・・」



 私は石焼用の板にする砂を、2人の目の前に出すと、土魔法のやり方を教えていく。



「おお! 見ろよリンネ! できたぜ!」



 どうやらリンデルは、なんとか形にはなったようだ。

 だがあれでは、リンデルの魔力が解けた途端に、砂に戻ってしまうだろう。

 その辺りもリンデルには徐々に教えていく必要があるだろう。



「う~ん! 砂をなんとか動かして集めることはできるけど、形にならないよ~!」



 アイリンは砂を魔力で動かすことはできても、砂同士をくっつけて、板の形にすることができないようだ。

 アイリンはどうやら土魔法の適性はあっても、土魔法は苦手のようだ。


 まあ今回は2人に土魔法が使えることが、わかっただけでもよしとしよう。



「仕方がありませんので、今回は私の作った石板を使います」


「やった! リンネありがとう!」


「さすがリンネだ!」



 私が模範的な石板を土魔法で作り上げると、アイリンとリンデルが大喜びする。



「でも明日は狩を中止して、土魔法の訓練をやってもらいますので、そのつもりでいてください」


「「えええ!!」」



 それを聞いた2人は、あからさまに嫌そうな顔をする。

 どれだけ狩がやりたいというのか?


 まあ食料に関しては、今日狩ったボア肉だけでも何日も食べられるので問題はない。



「今回は私が焼肉のタレを用意しますが、野営などをする場合は、各自調味料などを収納ポーチに入れて準備しておくことをお勧めします」



 2人は一般の冒険者が持っていないような、高そうな収納ポーチを持っているので、それだけでも野営はかなり楽になるだろう。





 ジュウゥゥ~!


「美味え!! この食べ方最高だぜ!!」


「このタレ何!? レシピ教えてほしいんだけど!」


「はいはい後でね~・・・」


「嬢ちゃんのタレは最高だからな」


 

 そんなことを言いつつ、皆でにぎやかに食事を勧めていく。


 こんな森でバーベキューをするのも、たまにはいいものだ。

 この野営地は森であっても、魔物の近付かない工夫をしているようなので、騒いでも魔物が寄ってくる様子はないが、念のため周囲に魔力を巡らせて、魔力感知で警戒だけはしておく。





 ドドン! ドドドン!



 野営地ではそれぞれが用意した、天幕で寝ることになっている。

 リンデルとアイリンは、各々の張った天幕の中に入って、毛布にくるまって寝るようだ。

 皆がなぜか私の天幕の前で、呆れた顔で立っているがね。



「嬢ちゃんやりすぎ・・・」



 私の天幕は、土魔法で造った即席の石の四角い建物だ。

 窓も2つ付けてみた。ベッドもあるよ!



「ああ! リンネの家お風呂もついてる!」


「なんだよ! リンネだけ風呂なんてずっけえぞ!」



 アイリンが私のテントに勝手に侵入して、奥のお風呂を見て騒いでいるようだ。

 しかももう家とか言っちゃってるし・・・・。

 リンデルはうらやましそうにしているが、実は風呂嫌いなのは、アリスちゃんから聞いて知っている。



「まあ2人も頑張れば、すぐにこれぐらいの土魔法使えるようになるよ・・・」



 私は視線を横に逸らしながら、2人にそう言った。


 まあリンデルとアイリンは、聖獣5柱が私の後釜に考えていたと聞いているし、私と同じくらいか、それ以上のことが出来るようになってもおかしくはない。


 最悪土魔法がものにならなくても、収納魔法が使えれば、移動用の家くらいはプレゼントしてもいいかもしれない。


 また2人には夜の見張りも課題として与えているので、ちゃんと出来るか心配だ。

 ここはゴックさん1号を出して、見張りを増やしておこう。


 そんな感じで野営訓練は3日間続き、土魔法の方も、2人ともそれなりには上達した。





「2人とも野営訓練はどうだった?」


「リンネがすごかった!」


「うん! リンネがすごかったね!」



 最終日に確認にやってきたエイリーン夫人とエマちゃんに、リンデルとアイリンがそう答える。

 具体的に何がすごかったのかはよくわからないが、2人ともよくこの3日間を、乗り切ったと誇りに思う。さすが私の息子と娘だ。

【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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