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34:リンデルとアイリンの森での野宿前半

 ホウライの魔道船が入港する、港町ノースポーに向かうその日までに、アイリンに森での野宿を経験させることになった。

 それはアイリンを連れて、ホウライの魔道船で冒険に出る許可をもらうためだ。


 現在私達は、エテールの街の付近にある森の中に入り、野宿の準備を始めている。



「オレも野宿は初めてだぜ!」



 リンデルがわくわくした表情でそう口にした。

 どうやらリンデルも野宿は初めてのようで、とても期待に満ちた表情で、焚火に使う薪を集めていた。



「今回は食料も現地調達だぜ。この辺りにはボアが出没するんだ。そいつを今夜の食料にするために、狩ってきてもらうぜ」



 クマさんはリンデルとアイリンに、笑顔で課題を出す。



「任せとけ!」


「ボアなんて余裕よ!」



 2人もやる気に満ちた様子で、そんなクマさんに答える。


 実際にリンデルに関しては、すでにボアを狩った経験はあるのだ。

 だがアイリンに関しては、対人経験は多いようだが、魔物を倒したという話は聞いたことはない。

 まああの強さだし、もし遭遇してとしても倒せないことはないだろうがね。



「魔物の探索はオレに任せろ! オレは魔力感知が使えるんだぜ!」



 そう言うとリンデルは、周囲に魔力を薄く広げ、魔力感知の使用を開始した。

 リンデルの魔力感知は、敵の動きなどの詳細はつかむことは出来ないが、だいたいの位置くらいは捕捉可能のようだ。



「なんでそんな技をリンデルが使えるのよ!?」


「あそこだ!!」



 さっそくリンデルが魔物の位置情報を捕捉したようだ。

 リンデルは魔物がいると思われる場所まで、森の草木を走り抜けて向かう。





「ブギィィィィ~!!」



 するとリンデルが感知したとおり、向かった先で、1体のボアと遭遇したのだ。



「ほう? やるじゃねえかリンデル・・・」


「あたぼうよ!! オレもやる時はやるんだ!!」



 クマさんに褒められたリンデルは、得意顔でそう口にする。



「ふん!!」


 ボクッ!!


「ブギッ!!」



 するとその隙をついて投げた、アイリンの投石がボアに命中した。



「おい! そいつはオレの獲物だぞ!」


「へへ~ん! 油断しているからだよ!」


「ブギイィィィ~!!」



 見事ヘイトを買ったアイリンに、ボアが突撃を開始した。



「嬢ちゃん。手出し無用だぜ」


「でも大丈夫でしょうか?」



 ボアは体高60センチメートルと、ビッグボアに比べてずいぶんと小さいが、その突撃は大人の冒険者でも跳ね飛ばすと聞く。



 ドドドド~ン!!


「おおおりゃあ~!!!」



 するとアイリンは正面からなんとその突撃を受け止めたのだ。

 まるで昔魔物狩りで見た、エマちゃんのような戦い方だ。



「いや駄目だ! 押されている!」



 だがアイリンの体重は軽く、ふんばったところで、その突撃は止まらない。

 そしてアイリンの背後には、森の木が迫っていた。

 あれに激突すれば、木とボアの間に挟まれて、怪我をしてしまう可能性もある。


 ここまでか・・・



「ワタシを~・・・なめるな!!!」


 ドドドド~ン!!


「ブギイィィィ~!!」



 私が手を出そうと構えると、アイリンは力技で強引に、ボアをプロレス技のブレーンバスターのように、後ろに投げ飛ばした。



「おらおらおら・・・!!!」



 そしてボアの頭に馬乗りになり、ドカドカと殴り始める。



彼奴(あいつ)むちゃくちゃだな!」



 そんなアイリンを見て、リンデルが呆れた様子だ。

 


「ブギイィィィ~!!」


「ちょ!!」



 だがボアは強引に起き上がると、その反動でアイリンを跳ね飛ばす。



「なんなのよもう!!」



 跳ね飛ばされたアイリンは、そのまま綺麗に、文句を言いながらも着地を決めた。



「まったく! 見ちゃいられねえな!」


 ザシュッ!!


「ブギイィィィ~!!」



 するとその隙をついて、リンデルがボアの眉間に、剣を突き立てる。

 だが額から血を流しながらも、ボアは倒れる様子はない。


「ブギイィィィ~!!」


「駄目よ! 浅い!!」


「これでいいんだよ!!」

 


 リンデルはそのまま剣を、再びボアの額の傷に押し込んだ。



「ブギィィ・・・・」


 ドド~ン!!


 

 するとボアは、とうとう地面に倒れ伏して、そのまま動かなくなった。



「どうだ! オレの実力を見たか!!」


「へいへい・・・」



 ボアに(とど)めを刺したことを、自慢げにするリンデルに対して、アイリンはつまらなそうな様子だ。



「アイリンこれ・・・」



 私はそんなアイリンに、鉄のナイフを差し出す。



「いらないわよ! ワタシは素手で十分なんだから!」


「あんな風に倒したら、せっかくのお肉がぐちゃぐちゃになっちゃうから。それに体力も無駄に消費するし、効率が悪いよ」



 アイリンはボアを何度も殴って、殴り倒す気でいたようだが、アイリンの怪力で、そんな倒し方をすれば、最悪肉がぐちゃぐちゃにつぶれて台無しになってしまうだろう。

 それになにより実戦はそんなに甘くはない。

 そんなに時間をかけていれば、他の魔物も乱入してくる可能性もある。


 馬乗りになった時に、喉笛でも切り裂いていれば、それで決着はついたはずなのだ。


 それに解体には、ナイフが必要だ。



「あああもう!! 受け取ればいいんでしょ!!」



 私がそうアイリンに言って聞かせると、アイリンは私の手から、奪い取るようにそのナイフを受け取った。



「うえ~! 気持ちわる!」


 

 その後はボアの解体のやり方をアイリンに教え、嫌々ながらも、アイリンはボアの解体をやり遂げた。



【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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