表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

540/751

32:リンネの料理自慢


「おや? その白いものは?」



 クリフォードくんは、その白いお菓子が何か理解できず、怪訝な顔付きをする。

 その箱の中には、長細い正方形の、小さな白いお菓子が、ぎっしりと詰め込まれていたのだ。


 現在私達は、魔道列車の試験乗車により、エテールの街から出発して、エインズワースの街まで来ている。


 エインズワースの街では、クリフォードくんを初め、エインズワース家の方々が出迎えてくれたのだ。


 そして次の魔道列車の発車時間まで、エインズワースのお屋敷で、お世話になることになったのだ。


 そこで久々に会ったメイアちゃん、シェリーちゃん、コーリーちゃんが作ったお菓子をご馳走になり、そのお礼にと私が出したお菓子が、ある白いお菓子だったのだ。



「あ! それホワイトチョコレートでしょ!」



 するとアイリンがその白いお菓子の正体を、ばらしてしまったではないか。



「もお! アイリンばらさないでよ~!」


「ごめんねリンネ。ついうっかり・・・」



 アイリンはそんな私に、テンプレ技の一つである、てへぺろをしがら謝罪する。



「は!? ホワイトチョコレートだって!? 確かホワイトチョコレートは、空想上のお菓子だと聞いたことがあるのだが!?」



 そのお菓子の正体を聞いて、クリフォードくんが驚愕の声を上げる。

 相変わらずクリフォードくんは大げさのようだ。

 そのホワイトチョコレートが空想上のお菓子だという逸話は、おそらく王都のホワイトチョコレートという名前のお店の関係者に聞いたものと思われる。



「まあ見てばかりいないで、まずは一口食べてみてください」



 私はそんなクリフォードくんに、さっそくホワイトチョコレートを勧めた。



「ウーゴ・・・頼む」


「わたくしのもお願い・・・」


「承知いたしましたクリフォード様、エリザベート様」



 クリフォードくんとエリザベート夫人が執事のおじさんに何か頼むと、執事のおじさんは小さなトングでホワイトチョコレートを摘まみ、器用に小皿に移していく。


 そしてホワイトチョコレートの乗った小皿が、クリフォードくんと、エリザベート夫人の前に置かれる。



「カリ! 驚いたな・・・本当にこの白いのはチョコレートだ。いやホワイトチョコレートだったね? まさか空想上のお菓子を、再現してしまうとは・・・」


「美味しいわ! 以前食べた黒いチョコレートよりも、甘みを強く感じるのね!」



 クリフォードくんとエイリーン夫人は、ホワイトチョコレートを口に運ぶと、それぞれ感想を述べた。



「メイア、シェリー、コーリー。お前達もこれを食べて感想を聞かせてくれ・・・」



 クリフォードくんがそう言うと、執事のおじさんが再びいくつかホワイトチョコレートを小皿に移して、今度はメイアちゃん達3人の前に持っていった。


 3人はそれぞれ緊張の面持ちで、そのホワイトチョコレートを口に運ぶ。



「カリ! 甘いわ! それにずいぶんとまろやかなのね?」


「濃厚なミルクをふんだんに使っているのね? でもそれだけではここまで白くはならないわね?」


「いったいどのような魔法を使って、このチョコレートから黒い色を抜いたのか気になるわね」



 3人は色々と憶測をしながら、意見を述べていく。



「チッチッチッ! そのホワイトチョコレートは魔法を使わなくても作れるんですよ!」



 私は指を横にふりつつ、魔法という言葉を否定してみる。



「魔法を使わずに、チョコレートをここまで白く変えたのかね!? いったいどんな方法でこのような色に!?」



 その私の言葉を聞いたクリフォードくんが、私にそう尋ねてくる。



「申し訳ありません。製法の方は魔術学園の料理科の方で口留めされているんです」



 ホワイトチョコレートの製法は、当分誰にも伝えないと約束しているので、伝えることはできないのだ。



「ああ。あの学園の・・・それでは深く追及はできないな・・・」



 クリフォードくんはそれを聞くと、がっかりしたように引き下がった。

 エリザベート夫人は腕を組んでため息をつき、シェリーちゃんも両手を上に向けて首を振っている。

 他の2人もとても残念そうだ。



「でも今日の本題は他にあるから、そっちは期待していいですよ!」



 そう言うと、次に私はバスケットに入った、沢山のクロワッサンを収納魔法で出した。



「リンネ様の新作のパン!!」



 そのクロワッサンを見たメイアちゃんが、声を上げる。



「すまぬなリンネ殿。メイアは君のパンの愛好家なのだよ」


「た、大変失礼しました・・・」



 クリフォードくんがメイアちゃんに代わり謝罪すると、メイアちゃんも顔を赤らめて謝罪する。



「このパンは今朝早起きをして、ビリーくんと焼いたんですよ」


「ワタシも手伝ったよ~!」



 アイリンが手を上げて、自らもパン作りに参加したことを主張した。

 そしてクロワッサンが、執事のおじさんによって、それぞれの皿に取り分けられていく。



「ほう? バターの香りが強いパンだな・・・」


「軽い感じがしますわね・・・」



 クリフォードくんとエリザベート夫人は、まずクロワッサンを手に取ると、匂いを嗅いだり、手で触った感じを確かめだした。



「ほう! 美味いな! パリパリとして中はふわふわだ!」


「あら本当! とても美味しいわ!」



 そしてクロワッサンを口に運び咀嚼すると、クリフォードくんとエイリーン夫人がそう感想を述べる。


 同じくクロワッサンは、メイアちゃん達にも配られた。

 クリフォードくんは、彼女らの感想も聞きたいのだろう。



「さすがリンネ様だわ。これは間違いなく今までにない新食感のパンね」


「これは来年の天使のパンに選ばれるほどのできだわ」


「そうねシェリー! これはすごいパンよ!」



 3人はクロワッサンを食べた感想を、それぞれ述べていく。

 この世界にもクロワッサンに似た、パイのような食べ物はあるのだが、ほぼ層がなく、硬いのだ。

 なのでこのふんわりパリパリとしたクロワッサンに、彼らが衝撃を受けるのは無理もない話だ。



「このパンのレシピ、知りたいですか?」


「ちょ・・・ちょっと待ってくれリンネ殿。これほどのパンのレシピだ。エテール領の極秘事項ではないのかね?」



 クリフォードくんは何か確認するように、エテール領の商業ギルド長であるエイリーン夫人の顔を見た。



「クリフォード様、その説明についてはわたくしが・・・」



 ここで私に代わり、エイリーン夫人が説明をすることとなるのだ。


 実はこのクロワッサンのレシピについては、クリフォードくんやメイアちゃん達には伝えてもいいことになっている。

 それは今年の天使のパンの発表に、エインズワース領を巻き込んで、大々的なイベントにするためだ。


 その方がエテール領にとっても、旨味が大きいようだ。



「これはどうやらエテールに、主導権を握られる形になりそうではあるな・・・。だがそのパンのレシピは、それを補って余りある価値がある」



 そう言うとクリフォードくんは、エイリーン夫人と固く握手を交わすのだった。

 クロワッサンのレシピは、後日ビリーくんも交えて、エインズワース領の方々に伝えることになった。


 こうして今年の天使のパンの新作発表は、大領地エインズワース領も巻き込んだ、大きな祭りになることが決定した。


【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


 ブックマークと

 画面下の広告下【☆☆☆☆☆】から評価をお願いします!!

 【★★★★★】評価だと嬉しいです!


 いつも誤字報告を下さる方、ありがとうございます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ