31:エインズワースの街
現在私達は、魔道列車に乗り、エインズワースの街にやってきている。
エインズワースの街では、領主代行のクリフォードくんと奥さんのエリザベート夫人、多くの領民達が出迎えてくれた。
そして次の魔道列車の出発まで、点検やデータ収集などで時間が空くために、その間だけ、エインズワースのお屋敷でお世話になることになったのだ。
私達はエイリーン夫人を先頭に、私、アイリン、リンデル、数人の護衛や使用人とぞろぞろと列をなして、エインズワースの屋敷へ入っていく。
ちなみにクマさんはデータ収集やらで忙しいそうなので、魔道列車に残っている。
そしてちょうどお昼時だったためか、客室ではなく、食堂に案内されてきた。
「ようやく君をこのエインズワース家に、招待することが叶ったよ」
エインズワースのお屋敷の食堂に到着すると、クリフォードくんは私に向けて、すがすがしい笑顔でそう口にした。
そういえば前回このお屋敷に来たときは、ワイバーン騎兵のバートくんとジーナちゃんの面倒を見るために、屋敷の庭先に料理研究所を出して、そこに泊まり込んでいたのを思い出す。
こちらにはいないようだが、彼らは元気にしているだろうか?
そんなことを考えながら席に案内され、着席する。
「この度は魔道列車の開通、おめでとうございます!」
「ありがとうございます。しかしこの偉業は、エインズワース家や皆様のご協力あって、成しえたことですわ」
クリフォードくんのお祝いの言葉に、エイリーン夫人がそう返す。
まずは挨拶から始まり、魔道列車についての談義から入るようだ。
「魔道列車はリンネ殿のヘンツサンから発想を得たと聞いている。そのリンネ殿から見て、あの魔道列車はどうかね?」
「これからは魔道列車が多くの人や物資を運び、エインズワースとエテール、いやイーテルニル王国は、大きく発展していくことでしょう」
私にも時たま会話がふられるので、当たり障りのない言葉で返しておく。
「「おお!!」」
その言葉に使用人や護衛までがどよめき、少しビクッ!となる。
ちょっと皆私の言葉に、過剰反応しすぎではないだろうか?
その間に色々なお菓子や飲み物が運ばれてきて、それぞれの席に配膳されていく。
周囲を見渡すと、使用人や護衛に混ざって、どこか見覚えのあるおばちゃんが3人控えているのが見えた。
「この3人はエインズワース料理研究所の面々なんだ。お前達、お客人にご挨拶を・・・」
エインズワース料理研究所だって!?
私の料理研究所の影響でも受けたのかな?
そんな建物があるなら、ぜひ一度行ってみたいものだ。
どうやらここからはクリフォードくんの料理自慢が始まるようだ。
クリフォードくんの本領発揮は、ここからだろう。
「わたくしは料理人のシェリーです」
「同じく料理人のコーリーです」
「研究所の代表のメイアです」
ふぁ!?
このおばちゃん達どこかで会ったと思ったら私の知人だったとは!?
孤児院で一緒にパンを作ったシェリーちゃんにコーリーちゃん。
それになぜだかメイドのメイアちゃんが、その代表になっているなんて!?
「シェリーとコーリーはパン作りの天才でね。その味に惚れたメイアが、エインズワース領に連れてきたんだよ」
なんとシェリーちゃんとコーリーちゃんを、エテールから引き抜いたのは、メイアちゃんだった。
彼女らは今年でアラサーになるはずだが、それにしては老けて見える。
この世界の住人は基本短命なので、アラサーはそれなりの年齢なのかもしれない。
「彼女達は君の料理の愛好家でね。彼女達の料理には、君の料理を参考にしたものが多いのだよ。目の前の菓子なんかもそうだ。その中でも非常に出来の良いものを用意させたよ」
見ると私の前には、バームクーヘンにゼリー、クッキーが数枚用意されていた。
どれも商業ギルドで特許登録を済ませているために、商業ギルドでそのレシピを調べれば作るのは造作もないだろう。
だが見たところどれもクオリティーが高く、その技術の高さが窺える。
どれもさんざん作りこんで、技術を高め、研鑽を積んだにちがいない。
ビターな感じのする、木の実を混ぜ込んだクッキー。
上等な紅茶の香りのするバームクーヘン。
リンゴを小さくサイコロ状に切って入れたゼリー。
シャキシャキとした食感に、エテール産のリンゴ独特の風味と、加えたであろうビッグハニービーの蜂蜜が、よく合って美味い。
「どれもすごく美味しいわ!」
「ガツガツ! 美味え!」
「とても上品な味付けね・・・」
他の皆もこれを食べて、笑顔が絶えない。
「どれも美味しくて、最高の仕上がりだと思います」
「「わっ!」」
私がお菓子の味を称賛すると、お菓子を作った3人からいっせいに喜びの声が上がる。
「しかしリンネ殿の料理はまだこれらの上を行く。あのカレーやチョコレートにはとても衝撃を受けたよ」
さすが美食家で名高いクリフォードくんだ。
カレーやチョコレートは貴族でも手に入りにくいというのに、すでに口にしたことがあるようだ。
まあ侯爵家だし、それくらいは当然なのか?
「それではその衝撃ついでに、面白いお菓子を用意しましょう」
私はそう言うと、収納魔法から1つの箱を出した。
そしてその箱を、徐に開けたのだった。
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