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27:エテールの孤児院は今・・・

 翌朝私はエイリーン夫人の案内で、例の孤児院があった場所へ行くことになった。


 その孤児院とは、私が天使のパンの製法を、伝えた孤児院のことだ。

 その孤児院も今はずいぶんと様変わりして、土地は広くなり、様々な建物が立ち並んでいるそうだ。

 そこには大きなパン工房が建ち、その付近に孤児や住処のない人のための、集合住宅が立ち並んでいるそうだ。


 孤児院もあるようだが、そこでは主に孤児の教育などを行っているようだ。

 あのドクトリーナ孤児院長が、すでに他界しているという話を聞いた時は、少しショックを受けたが、彼女は私と最初に出会った時にはすでに高齢であったし、それは仕方のないことなのかもしれない。


 今はドクトリーナ孤児院長の助手をしていたペリーヌという女性が、そこで孤児院長を務めているようだ。



「ワタシも行く!」


「オレもだ!!」



 するとアイリンとリンデルも、同行を求めてきた。

 なぜこの子らが孤児院跡地への同行を求めるのかというと、私が昨夜、口を滑らせてしまったせいだ。



「リンネの新しいお菓子や、食材には興味があるんだ!」


「そうよ! リンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤーといえば、料理研究狂いでも有名よ! そんな人物のお菓子や食材が、普通のものであるわけがないじゃない! 見てみたいと思うのは当然よ!」



 それはワタシがビリーくんに、新しいお菓子や、食材を見せたいと言ってしまったからだ。

 現在孤児院の施設内には、パン工房が建設されている。

 そのパン工房の親方を務めているのが、あのビリーくんなのだ。

 ビリーくん今から20年以上前に、私がエテールの街に来た頃に、この孤児院にいた男の子だ。 



「はあ~・・呆れた。でもわたくしもリンネの特殊なお菓子や食材に、興味があるのは確かだわ・・・。

 アイリンには勉強を頑張ってほしいけど、こんな機会も滅多にないから、今回だけは特別に許可します」


「やった~!!」


「ただし明日は、勉強をいつもの2倍頑張ってもらいます!」


「え~!!」



 アイリンにも無事に同行の許可が出たところで、4人でヘンツさんに乗って、目的の場所を目指す。


 ちなみに馬に乗った護衛もついてくるので、スピードは出せないがね。


 そして今回クマさんは、魔道列車の方に興味が出たようで、ゴドウィン卿のお屋敷に行ったようだ。

 ゴドウィン卿と魔道列車についての、研究談議にでも、ふけこむ気であろう。





「こ、これはエイリーン夫人。今日は視察でございますか?」


「いいえ。今日はリンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤー殿を、孤児院やパン工房に案内するために参りましたの」



 孤児院のあった場所に到着すると、大きなパン屋が見えてきた。

 今ではその大きなパン屋で、孤児達がパンを売っているそうだ。


 その大きなパン屋の左側に入り口があり、その先にパン工房や孤児院があるのだ。


 入り口には詰所があり、そこにいる守衛の許可を得て中へ入る。

 守衛のお兄さんが、ヘンツさんを見て驚いているようだが、気にしないで奥へ進んでいく。


 

「先に孤児院に挨拶に行って、その後でパン工房に行きましょう」



 エイリーン夫人の案内を受けながら、まずは孤児院へ向かう。


 孤児院は昔よりも大きく建て替えられて、まるで孤児院というよりは、屋敷のような建物になっていた。


 今は休憩中なのだろうか?


 小さな子供達が庭に出て、遊んでいるようだ。





「何その乗り物!?」「すごいね!!」



 孤児院へ到着すると、子供達がわらわらと出てきて、私達の乗るヘンツさんに興味を示し始める。



「こら! その方はエイリーン夫人よ! 粗相があってはなりません!」



 すると修道服を着た、中年の女性が孤児院から出てきた。

 そして子供達に大きな声で注意する。

 


「わああ!! 院長先生だ!!」


「逃げろ!!」



 それを聞いた子供達は散り散りに逃げて行く。



「ペリーヌ、元気そうでなによりだわ」


「ようこそいらっしゃいましたエイリーン夫人」



 エイリーン夫人がヘンツさんから声をかけると、ペリーヌさんがうやうやしく挨拶する。



「今日はご息女のアイリン様に・・・そちらはどちらのお子様でしょうか?」



 ペリーヌさんは一度アイリンに目をやると、次に私とリンデルについて尋ねてきた。



「あらお忘れですか? その方はエテールの英雄、リンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤー殿ですよ」


「ええ! 嘘!? そんな馬鹿な・・・・!?」


 

 するとペリーヌさんが目を凝らして私のことを見つめる。

 その仕草がどこかドクトリーヌ孤児院長に似ていて、懐かしく感じた。



「まあ! 確かにあのリンネ様だわ! 噂どおり、本当にあのころとまったく変わりないのですね!?」



 ペリーヌさんはどうやら昔の私を知っているようで、全く変わり映えのない私に驚いているようだ。



「こっちは私の身内で、リンデルです」


「ご、ご紹介にあずかりました・・・リンデルです」



 私がリンデルを紹介すると、リンデルはペリーヌさんに紳士の挨拶をする。

 その紳士の挨拶があまりにもぎこちないので、リンデルをジト目で見ておく。



「貴女様の天使のパンが、あの小さな孤児院を、ここまで大きな施設に育て上げました。亡きドクトリーヌ元孤児院長に変わり、感謝を申し上げます」



 ペリーヌさんは薄っすらと目に涙を浮かべながら、祈るように私に感謝の言葉を述べた。

 その後は孤児院の教室などを見学させてもらい、授業の内容などの説明を受けた。


 働くために必要な、商業や経営の知識も、この孤児院で学んでいくのだろう。

 

 途中昔私が孤児院で作った、ビッグボアのステーキの話になり、ペリーヌさんのことがなんとなくだが、ドクトリーヌ孤児院長の補佐をしていた、シスターのお姉さんであったことを思い出した。


 あの時のビッグボアのステーキは、彼女にとって、今まで生きてきた中で、一番の絶品であったという。


 まああの頃の貧しい孤児院での生活を思うと、そう感じていても、おかしくはないのかもしれない。


 そして孤児院の見学が終わると、次は孤児や住処のない人達の集合住宅を見に行く。



「私が王都のスラムに造った団地とそっくりだ」


「この集合住宅は、大工のサイラス棟梁の伝えた技術で造られているのよ」



 大工のサイラス棟梁は、私に建物を造るアドバイスを色々としてくれた人物だ。

 確かあの時もスラムの住む家のない孤児達のために、集合住宅を造り、それを手伝ってくれたのがサイラス棟梁なのだ。


 サイラス棟梁もかなり昔に、お酒がたたって亡くなったようだ。


 だがそんな彼が亡くなった後も、その建築技術は伝えられ、優秀な人物として語り継がれているのだ。


 そして集合住宅の見学が終わると、最後にビリーくんの働く、パン工房へ向かった。

 

【★クマさん重大事件です!】↓


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 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


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