24:アイリンとの出会い
「え? 誰・・・・?」
私は銀髪の少女を見下ろしながらそう言った。
現在私達はエテールの屋敷に来ており、そこでエマちゃんとの再会を果たしたところだったのだ。
私はエマちゃんに抱き上げられ、ふと気付くと再会に大泣きするエマちゃんの後ろに、見慣れない銀髪の少女がいたのだ。
「フフ。ごめんねアイリン。突然泣いたりしてびっくりしたよね?」
エマちゃんは私を抱き上げたままで、涙を拭き、アイリンとよばれるその少女に、微笑みながらそう言った。
「リンネ様、こちらはわたくしの娘のアイリンです。色々と事情があって、籍はエテール家に入っているんですけどね」
エマちゃんは次に、その少女が自分の娘であると紹介してきた。
エマちゃんの娘? まあエマちゃんはアリスちゃんと同じ歳だし、娘がいてもおかしくはない年齢なんだけど・・・
「えっと・・・エマ師匠そちらの子は、どちらの家の子でしょうか?」
困惑した様子でアイリンはエマちゃんにそう尋ねた。
アイリンはエマちゃんのことを、お母さんではなく、師匠とよんでいるようだ。
その辺りに、なにか深い事情があるのかもしれない。
そんな様子でアイリンは、私をどこかの貴族令嬢と勘違いしたようで、その家柄を尋ねてきた。
「家名ならそうね・・・ドラゴンスレイヤー男爵家になるかしら?」
「ドラゴンスレイヤー・・・男爵家・・・?」
エマちゃんがそう言うと、アイリンは驚愕の表情で私を見つめた。
「わたくしリンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤーと申します」
私は、私を抱っこするエマちゃんからするすると降りて、カーテシーでアイリンに挨拶をした。
アイリン視点~
目の前にドラゴンスレイヤー家の娘が現れた。
ワタシはなんとなくだが、周囲の反応から、父親がリンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤーという、屈強な男性だと思っていたのだ。
すると目の前にいるのは、リンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤーの同姓同名の娘ということになるのではないだろうか?
すると彼女は腹違い? のワタシの姉妹である可能性が出てくる。
見た目からしてワタシよりも背が低いし、姉妹であるならば妹なのだろう。
「オレはリンデルだ。よろしく」
もう1人の男の子は、髪の色は同じ黒だし、彼女のお兄さんだろうか?
しかしリンデルという名前・・・どこかで聞き覚えがあるような・・・?
「オイラ、クマジロウだ」
すると連れていた子熊の従魔が、しゃべり、自己紹介を始めた。
しゃべる獣といえば、聖獣であると、昔からおかあさんに聞いている。
リンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤーは、聖獣を連れ歩いていたと聞いていたし、目の前のクマジロウという子熊が、そうなのかもしれない。
「そ、そう・・・これからおとうさまと、おじいさまに挨拶に行くんでしょ? 連れて行ってあげるわ」
ワタシはリンネという子の手を引いて、おとうさまとおじいさまのいる、執務室へ向かった。
「これはリンネ殿! よくご無事で!」
「ははは。英雄の帰還ですな!!」
執務室に入るや否や、おとうさまとおじいさまは、そう言ってリンネを出迎えた。
父親と同じ名前の彼女に対する、何かの悪ふざけだろうか?
でもリンネは困っているようだし、ちょっと注意しないとね。
「おとうさま! おじいさま! リンネが困っていますよ!」
「おおアイリンか。リンネ殿を連れてきてくれたのだな?」
そう言うと2人は、なぜだか困ったような顔で、お互いの顔を見合わせた。
「申し訳ありません。お義父様、お義兄様」
するとそう何かを謝りながらエマ師匠が、おかあさんと一緒に執務室に入ってきた。
「おお。そう言えば2人は道場の稽古の最中ではなかったか?」
おじいさまは何かをひらめいた仕草の後に、唐突にそんなことを言い出した。
「そ、そうでしたわね! さあアイリン、稽古の続きに戻るわよ!」
「あ、ちょっとエマ師匠!?」
そう言うとエマ師匠は、強引にワタシを連れて、執務室を出ていった。
いったいなんだというのだろうか?
リンネ視点~
「リンネ殿はすでにお気付きかもしれませんが、アイリンは貴女の娘です。」
エマちゃんがアイリンを連れて出るとすぐに、フェリックス伯爵はそう告げた。
ええ!? 驚愕の事実だよ!! 初耳だよ!!
その私の表情に何かを感じたのか、フェリックス伯爵は、なにか気まずそうに視線を逸らした。
「ご、ごほん!」
そしてフォンティール元伯爵が咳払いをする。
そうなのだ。私はあのアイリンが、自分の娘という事実を、今初めて知ったのだ。
そしてその事実に、驚愕を隠せない。
「くくく・・・!」
クマさんを見ると、笑いを必死にこらえている様子が見て取れた。
こいつ知っていやがったな!?
そんなフェリックス伯爵は、髭も生えて、昔のなよなよした様子は消え、堂々とした佇まいだ。
どうやら領主の座を受け継いだ時に苦労を重ね、あか抜けたようだ。
フォンティール元伯爵は、すっかり老け込んで、白髪頭になっていた。
しかし体を鍛えているせいか、年齢にも負けないくらい体躯は良いようだ。
そしてその日は久しぶりに、エテールのお屋敷でお世話になった。
晩御飯は中華料理だったよ。
エテール家では何かいいことがあると、私の伝えた中華料理にすることが、多くなっているようだ。
ちなみにアイリンは、今晩はエマちゃんの家に泊まるそうなので、この晩餐には同席していない。
そして明日はエイリーン夫人と、アイリンを迎えに行くことになった。
【★クマさん重大事件です!】↓
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