13:スラムの孤児
「まさか嬢ちゃんが、突風から現れるとは思わなかったぜ」
クマさんがそう言いつつ、のそのそと歩いてきた。
いやいやクマさん・・・貴方私が上空からやってくるのが、見えていましたよね?
現在私は路上生活を送るスラムの孤児達の情報を聞きつけ、その場所へ飛んできたのだ。
姿を消して目立たないように飛んできたのはいいが、着陸のさいに見えざる翼を使ったせいで、周囲に思った以上に強い突風が吹き荒れてしまったのだ。
「こういう登場の仕方はひかえてくれよリンネ・・・・皆が驚く・・・」
リンデルからは呆れられながら、そう注意されてしまった。
「あああ~!! 俺達の家が!!」
すると大柄の子供が、木の瓦礫を指さしてそう叫んだ。
どうやらその瓦礫は、もともと孤児達の建てたあばら屋だったようだ。
「ごめんね。すぐに新しい家を建てるから・・・・」
私は孤児達に謝罪すると、土魔法で家を建て始めた。
家は集合住宅で、出来るだけ丈夫な方がいいだろう。
「嬢ちゃん、建てるなら目立たないものにしろ・・・」
するとクマさんがそう注意をしてきた。
さすがに水道管やら色々つけたら目立つし、争いのタネになりかねない。
そこでこの近辺で見られる普通の住宅を考える。
地味になるがそこは仕方がないね。
ドンドンド~ン!!
私はそこに、2階建ての家を建てた。
それは前世で見たアパートのような見た目だが、トイレやら下水の構造は、この世界の一般的なものと変わらないので、問題はないだろう。
ペチペチ!
「これならあの程度の突風では壊れないから安心だね!」
私は建物の壁を叩きながら、そう口にする。
するとそこには、口を開けて驚愕の表情で建物を見上げる、孤児達とリンデルの姿があった。
「ん~・・・。嬢ちゃん基準で普通なら・・・まあ仕方ないな・・・。事後になるが、あとで建築許可はもらおうな?」
クマさんはその建物を見上げながら、何か諦めたように首を振った。
「えっと・・・もしかして、こいつは俺達が住んでもいい家なのか?」
すると再起動したリーダーらしき大柄の少年が、私にそう尋ねてきた。
「当たり前じゃないですか。これは貴方達の家を壊しちゃったお詫びなんですから」
私は笑顔でその少年にそう返した。
「神様ですか?」
すると私くらいの身長の、小さな坊やが近づいて来て、そう尋ねてきた。
「違いますよ」
私はその小さな坊やに、即答でそう返す。
こういうことは誤解させておくのは、良くないと思ったのだ。
「私の名はリンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤーです!」
そしてついでに自己紹介もしておく。
するとなぜだか孤児達に、呆れたような目で見られてしまった。
「す、すまねえ。こっちの自己紹介がまだだったな・・・。俺はこいつらのまとめ役みたいなもので・・・アイデンっていうんだ」
「私は女子組のまとめ役で、ジルダよ」
どうやらこのグループの孤児のまとめ役は、女子と男子でわかれているようだ。
「俺はソラルだ。」「・・・ヤドリヤン」
「ジョフロワ!」「エリベール!」「マチュー・・・」
「リアナだよ!」「アシアよ!」
「イザベル・・・」「ニノン!」
そして孤児全員の自己紹介が始まる。
覚えきれそうにないので、久々にステータスウィンドウを開いて、名前をメモしていく。
この異世界のステータスウィンドウは、書き換え自由なメモ帳のようなものなのだ。
「ねえ・・・あの中には入らないの?」
すると幼いイザベルちゃんが、私の服のすそを引っ張りながらそう尋ねてきた。
「そうですね。中に入りましょう。まずは台所に案内しますよ。そこでご飯にしましょう」
「「わあ~い! ご飯だ!」」
私がそう言うと、幼年組の子達が大喜びだ。
「ええ? もうご飯にするのか?」
「まだお昼よ?」
すると年長の子達が、その意見に懐疑的な反応を示す。
こいつらはきっと、お昼はご飯を食べない人種に違いない。
だが私はそろそろお腹がすくころなので、そんなのは関係ない。
「さあ皆さん行きますよ!」
私は両腕を大きく振り、トテトテと歩きながら、建てた集合住宅の玄関へ向かう。
「リンネちゃんおそいよ!」
「はやくはやく!」
すると幼年組の子達が、私の背中を押し、両手を引っ張ってくる。
皆元気がいいね~!!
「建物の中もすごいな・・・」
「見たこともないほど真っ白だ・・・」
建物の中を、孤児達が珍し気に見回している。
玄関から入ると左には2階への階段、正面にはそれぞれの部屋に通じる入り口が立ち並んでいるのだ。
右側にはまだ窓枠だけがついた状態だ。
まだ扉も窓もないので、これから取り付ける必要がある。
食堂は玄関から入ってすぐ正面の部屋だ。
「私手伝う!」「私も!」
台所に入ると、女子組が次々と手伝いを申し出る。
どうやらこのグループの孤児の食事は、その子達が作っているようだ。
残りの孤児達は、向かいにある食堂で待たせる。
リンデルとクマさんも、連れ立ってそちらに向かった。
「それじゃあ野菜とお肉をお願いします」
「任せて!」「これ何の肉?」
「ビッグボアです」
「お貴族様の食べるお肉だ!」
そんな会話をしつつ、子供達に仕事を振っていく。
ドン! ドン!
「それ何しているの!?」「それ何!?」
食堂からは幼い子達が、こちらを覗き込みながら尋ねてくる。
向かいの食堂と台所はつながっているのだ。
イメージ的には学食という感じだ。
「うどんをこねています。うどんは強くこねるほどコシが出るんですよ」
私は身体強化を使い、台の上に乗せた小麦粉を、力いっぱいこねた。
「コシ?」「コシって何?」
野菜や肉を切っていた、年長の少女達も、うどん作りに興味を示し、根掘り葉掘りと横から聞いてくる。
「つまり美味しくなるってことですよ」
「へ~! それで美味しくなるんだ・・・」
「不思議!?」
ジャッ! ジャッ! ジュ~・・・・
そしてうどんと具材を焼き上げる段階になる。
私は竈の上に乗せた鉄板に、食材を乗せて、ヘラを両手で器用に使いつつ焼いていく。
「そのヘラさばき私にも出来るかな?」
「そのソースは何?」
私が食材を焼いている横からも、孤児達が興味津々に色々と尋ねてくる。
なぜか私が焼うどんを焼いている様子を、孤児達皆で集まって見学しているのだ。
まあ焼うどんの香りは、食欲をそそるからね。
こうして焼うどんが、完成した。
「すごく美味しい!! この麺の弾力が良いね!」
「この濃くて複雑な味付け、病みつきになりそう!!」
彼らは普段例の黒硬パンか、塩味の薄いスープしか食べないようなので、その焼うどんの味が濃く感じるようだ。
でも焼うどんの味が好評なようで良かったよ。
【★クマさん重大事件です!】↓
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「面白い!!」
「続きが読みたい!」
「クマさん!」
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