14:孤児達の冒険者登録
「俺達も仕事をして、自分の稼ぎで生活していきたい。だがその仕事が見つからないんだ」
大柄な孤児のアイデンくんが、そう私に訴えた。
現在私達は、スラムの孤児に造ってあげた建物の食堂で、昼食後の会話をしていたのだ。
すると孤児達の生活の話になり、仕事が見つからないという話になったのだ。
そんな孤児達は全員、私の顔を真剣な顔で見ている。
今は物乞いや、リンデルの少ない施しでなんとか生活出来ているようだが、本人達もそれではいけないと、思っているようだ。
「確か冒険者ギルドに、子供専用の仕事がありましたよね? 身辺調査さえすれば、後払いでも冒険者ギルドには登録できますし・・・」
昔私が冒険者登録しようとした時に、お金がないなら身辺調査の後に、後払いで登録が可能だと聞いたことがあるのだ。
それに子供専用に、薬草採取という仕事があったはずだ。
「嬢ちゃん。残念だが今はその制度は使えねえ。冒険者登録をした子供達が、お金欲しさに森に入り込んで、次々と命を落とした事例があるんだ・・・」
クマさんによると、無謀な子供が森に入り、次々と命を落としたことから、子供に関する冒険者登録ルールが変わったのだそうだ。
まず子供が冒険者になる場合、必ず後見となる冒険者が必要となり、その冒険者が見張っている時でないと、薬草採取などの仕事も出来なくなったのだ。
ただ子供であっても、F級まで上り詰めれば、後見冒険者になることが可能であるようだ。
それはF級まで上がれば、冒険者ギルドからの信用を得て、一人前の冒険者として認められるからである。
「なるほど。それでは私が後見冒険者になればすべては解決ですね!」
「ええ!? リンネ冒険者登録しているのか!?」
その私の言葉に、リンデルが驚愕の声を上げる。
「何を言っているのですか貴方は? これでも私はA級冒険者の、リンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤーですよ!」
私はA級冒険者の証を、皆の前に掲げながら得意げにそう口にした。
「うお!? 嘘だろ!?」「本物か!?」
「ドラゴンスレイヤー?」「ぎゃあああ!」
「ひゃあ!」
すると孤児達が、声を上げて騒ぎ出す。
「ちょっと!! 冒険者ギルド証の偽造なんてしたら、大変なことになるわよ!」
リアナちゃんが、大きな声でそう騒ぎ出す。
「ふっふ~ん! 偽造かどうかは、今から冒険者ギルドに行けばわかりますよ!」
私は自信たっぷりにそう言い放った。
そんなわけで昼食後は、皆で冒険者ギルドに行くことになったのだ。
「ゴックさん! ひつじさん! この建物の護衛をお願い!」
出かける前にゴックさん1号と、羊さんを出して留守番を頼んでおく。
そこでまた一悶着あったが、なんとか冒険者ギルドを目指すことが出来た。
「おや? 貴方は? す?」
冒険者ギルドの受付まで行くと、そこには見覚えのあるエルフがいた。
「スリーオンだ! いい加減名前を覚えろ!」
スリーオンはそんな私にそう不満を漏らした。
私はスまで出ていたのだが、そこからが思い出せなかった。
スリーオンは今から20年くらい前に、私が聖女リリスに魔力を奪われて、クマさんに連れられて逃亡しているときに助けてくれたエルフの1人だ。
そして新エルフ派のメンバーであった過去をもっている。
スリーオンは同じエルフのエドラヒルとともに、冒険者ギルド長のファロスリエさんの部下となって、王都の冒険者ギルドの職員となっているのだ。
ちなみに元新エルフ派リーダーのアラグノールは、宿場町の太陽の木漏れ日亭というところで料理人となっている。
「貴様こそ以前より縮んだようだが、体の方は大丈夫なのか? ファロスリエにはエルフの里に、しばらく滞在していたことは聞いているが、完全復活は出来たのか?」
なんという失礼なエルフだ。
完全復活はしたが、私の背は縮んではいない・・・いないよね?
どうやらスリーオンは、同じエルフのファロスリエさんに聞き、私の事情を知っているようだ。
「あ、あの。今日はこの子達を冒険者登録させようと思いまして・・・」
これでは話が進まないので、私は本題にうつるとする。
「ほう? そういえば貴様も高名なA級冒険者だったな? 弟子でも育てる気になったのか?」
「ぎゃああ! やっぱり本物か!」
「嘘信じられない!」「本物のドラゴンスレイヤーだったの!?」
「本物はちっちゃいね」
そのスリーオンの言葉を聞いて、リンデルや孤児達が騒ぎ出す。
今ちっちゃいって言ったのどいつだ!?
「なんだ貴様、弟子に偽物だと思われていたのか? まあそう思う気持ちも否定しないが・・・」
「じゃあ劇で活躍しているドラゴンスレイヤーは、偽りの姿なのか?」
そんなスリーオンに、リンデルが尋ねる。
「劇などは人気が出ないと人は見ないからな。あの配役がこれでは見る者がいないだろ? それに幼女がドラゴンを倒したなどと、誰が信じる?」
「なるほどな・・・」「このちっちゃい方が本物なのか・・」
「リンネ・・・疑ってごめん・・・」「しゅん・・・」
そのスリーオンのもっともな言い分に、孤児達が納得し、あからさまにがっかりする。
これで悪かったな!
「何やら騒がしいから来てみれば、貴様だったのか。リンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤー・・・」
そこへ現れたのは久々のファロスリエさんだ。
相変わらずたくましい体つきで、ダークエルフな見た目だ。
彼女がこの王都の冒険者ギルド長だ。
もう90歳は超えているはずだが、相変わらず若々しい見た目を保っている。
「すこし縮んだのではないか? ちゃんと飯は食べているのか?」
「ほほほほ・・・。あの頃と一ミリも変わっていませんわよ?」
「それはそれで問題だと思うのだがな?」
そんな会話を交わしつつ、孤児達の冒険者手続きを進めていった。
ジャラ!!
「支払いはこれでいいですか?」
そう言いつつ大銀貨六枚と、小銀貨六枚をテーブルの上にまき散らす。
「こら! お金はもっと丁寧に扱え!」
するとファロスリエさんから叱られてしまった。
私は何も悪くない。すべてはこの、紅葉のような可愛らしい私のお手てが原因なのだ。
「リンネ悪い・・・金は皆で働いて、これから返すから・・・」
冒険者ギルドから帰宅する道すがら、アイデンくんがそんなことを口にした。
「いいですよそんなの・・・。これでも私は貴方達の師匠になったのですよ! もっと頼ってください!」
私は胸をそらしつつ、孤児達にそう言った。
「リンネ・・・・オレまで登録して良かったのか?」
実はあの時リンデルも、冒険者登録させていたのだ。
まあ後から建物のことも含めて、そのこともアリスちゃんに相談しないといけないんだけどね。
「まあ! お姉さまったら! 目を離すとすぐにこれですから!」
その後アリスちゃんにはクドクドと色々言われたが、孤児のために建てた建物の件は、あの場所が国有地であることと、孤児達の保護を目的にしていたことから、あっさりと建築を認められた。
土地の税金などの細かい問題は、後々話し合った結果、いい方向に話がまとまったとだけ言っておこう。
【★クマさん重大事件です!】↓
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