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15:ルドラとの戦い~その時地上では・・・

 第三人称視点~


 それはまだリンネが、ルドラの呪いを破壊する直前の話だ。

 これはその時地上で起こっていた出来事と、リンネとその周囲の人々の未来に関する話である。



『クマさん、皆・・・もしかしたら私はこれでお別れになるかもしれません。私はルドラに禁呪を全力で叩き込み、破壊するつもりでいます。ルドラが死ねば、もしかしたらこの小惑星は・・・・』



 その時リンネの姿をした白い人形から、最後と思われる言葉が紡がれた。


 ここは大平原の遺跡とよばれる場所で、そこにはルドラの呪いと戦うリンネの様子を心配する彼女の友人達が集まっていた。


 そこには赤薔薇騎士団のメンバー、国王、エドマンド宰相、エインズワース侯爵、ゴドウィン宮廷魔導士、その他面識のある騎士やメイド、アルフォンス、ボビー、聖獣5柱が集まっていた。



「よせ! 嬢ちゃん!」


「お姉さま!!」


『ギギ・・・ガガガガ・・・』



 しばらくして雑音が響き、やがて黒焦げたリンネの白い人形は、バラバラとなって四散した。

 それがリンネの死を、皆に予感させた。



『小惑星の破壊を確認したよ。問題なのはその時の破片の中に、1キロメートル級のものがあることだけど、それは大気圏に突入した時に、僕達が何とかしよう・・・』



 小惑星を確認したキリンによると、小惑星は軌道を逸らすどころか、破壊されて破片となって散ったようだ。



「リンネの嬢ちゃんは・・・自らの死と引き換えに・・・この世界を守ったのだな・・・」



 国王は涙を堪えつつそう口にした。



「お姉さま・・・・」


「くっ・・・リンネ・・・」


「嬢・・・ちゃん・・・・」



 その悲しい出来事に、皆が涙を流す。

 クマジロウにいたっては、ショックで塞ぎこみ、動けなくなっている様子だ。



『泣くのは早いわよん! リンネはまだ生きているからん!』



 するとリンネの人形の破片から、フェニックスの声が響いてきたのだ。



「本当かい!? フェニックス!?」


「フェニックスが嬢ちゃんを見つけたのか!?」


「お姉さま!!」


『最速でそちらに戻るわよん! まっていてちょうだい!』



 そして1時間後、全員が見守る中、フェニックスが何かをくわえて空から帰って来たのだ。



『リンネよ・・・皆見てあげてちょうだい・・・』


「こ・・・こりゃあ・・・」


 

 フェニックスがそれを地面に置くと、クマジロウは悲し気にそれを見つめた。



「嘘・・・リンネ・・・」



 マルスリーヌが、フェニックスの置いたそれを見て、今にも泣きだしそうな顔でそう呟いた。


 それはリンネと思われる少女の、眠った顔の形をした岩だったのだ。



「これが・・・あのお姉さま・・・?」



 アリスフィアは地面に座り込み、涙を流しながらじっとその岩を見つめる。



『これは熱と衝撃から自らを守るために、とっさに自らを硬い物質に変化させた結果だろうね。この岩からは、リンネの膨大な魔力と、魂を感じるよ。これがあればきっとリンネは復活できる』



 リンネはルドラの呪いへ行く前に、残機と表現された卵を生み出しており、魂さえ残っていれば、それによって復活が可能なのだ。



「それじゃあお姉さまは・・・!?」



 それを聞いた皆は、希望に満ちた表情で聖獣キリンを見た。

 


『でも残念ながら、その復活がいつになるかはわからないんだ。ここまで原型をなくしてしまっていては・・・・そうだね・・・リンネが復活するのは、君達がとっくに寿命をむかえた後になるかもしれないね・・・・』


「これがお別れなんてそんな・・・」


「リンネ様!!」「リンネ殿・・・」「リンネ!!」


 

 その聖獣キリンの言葉を聞いた皆から、次々とリンネを惜しむ声が上がる。



「嫌よ! お姉さまとこれで最後なんて!! うわあああああ!! お姉さまあああああ!!」


 

 アリスフィアは泣いた。その事実を耳にして大声で泣いた。



「アリスは嬢ちゃんをいつも慕って、その背中を追いかけて来たんだ。その嬢ちゃんと会えなくなるのは、そりゃあつれえだろう・・・」



 クマジロウはアリスフィアの背中をさすりつつそう口にした。



『でも安心するといい。君達はリンネの忘れ形見には会うことが出来るよ。君達人間はそうして次の世代を残しつつ、命をつないできたのだろう?』



 そう言うと聖獣キリンは、2つの輝く玉を浮遊させ、アリスフィア達のもとへもってきた。

 それはリンネが生み出した3つの卵のうちの2つの卵であった。

 その2つの卵は、リンネの復活には、使われない卵なのだ。



「うぅ・・・これは・・・?」



 アリスフィアは涙をぬぐいつつ、姉の忘れ形見と言われる2つの卵を見つめた。



『聖獣全員で儀式を行って、リンネが産み落とした卵さ』


「お姉さまの・・・卵?」


「ば、馬鹿な・・・人が卵を産んだというのか?」



 その聖獣キリンの言葉に、皆が驚愕する。



『これはもしもの時のためにとっておいたものなんだけど。アリスフィア・・・この卵をリンネを慕っていて、なおかつ君の信頼のおける女性に渡してほしいんだ』


「この卵を? なぜ?」


『これを成人女性がお腹に抱えて、尊く思うと、スッとお腹に吸い込まれるんだ。すると3、4ヶ月後に、その女性はリンネの赤ちゃんをお腹に宿すんだよ。安全のために、成人と認められる女性以外には、反発される仕様にしているんだけどね』



 その卵は、リンネが次の世代への希望を託すための、希望の卵だったのだ。



「これが・・・・お姉さまの・・・・」



 アリスフィアはその卵を、いとおしそうに抱き抱えた。



「あの・・・キリン様。この卵はどれくらいの間もつんですか?」


『リンネの時は、200年くらいふよふよとあちこちさ迷っていたみたいだから、200年まではもつことがわかってはいるけど、2、3年も放置すれば、そのまま意思をもって、どこかに飛んでいく可能性もあるから、早めに宿主を見付けることをお勧めするよ。』



 アリスフィアはその2つの卵を、大事そうに鞄の中にしまい込むと、再び聖獣5柱を見据える。



「嬢ちゃんはオイラ達が必ず責任をもって復活させるから、お前にはその卵のこと・・・任せるぜ・・・」


 

 クマジロウは風呂敷に包んだリンネを背負いつつそう口にした。



「じゃあなアリス、皆・・・元気でな」


 

 クマジロウはいつものように、片手をあげて軽いのりで挨拶をする。



「クマちゃんとの別れは悲しいけど・・・うぅ・・・お姉さまの忘れ形見があれば・・・アリスは強くいられる・・・」



 少し幼児退行した口調のアリスフィアは、涙を流しつつも、笑顔でそう口にした。



『それでは息災でね。リンネの親しい人達・・・』



 聖獣キリンがそう言うと聖獣5柱は、滑るように遠ざかり、やがて地平線の彼方に消えていった。


 

「クマジロウ様。今までお世話になりました。お姉さまのこと・・・頼みました・・・」



 リンネの卵が入ったカバンを抱えながら、アリスフィアは涙ながらに、最後にクマジロウの消えた地平線の向こうに、そう別れの挨拶をした。


 そして皆が聖獣5柱の消えた地平線の向こうを、大平原の風をその身に受けながら、悲し気に、見つめていたのだった。


【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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